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七百六十八話 三人……だけではない?
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シラブルを治める貴族が私兵を使って、自分たちの元に来るかもしれない。
もしかしたら、裏の人間を使って無理矢理奪おうとするかもしれない。
そんな事を頭の片隅に置いていた三人だが、十日経ってもそういった連中がやって来ることはなかった。
(心配し過ぎだったか)
ソウスケがそう思うのも無理はない……が、本日シラブルに領主からの依頼を受けたAランクの冒険者が到着。
実力的に申し分なく、運良くAランクに上がれたラッキーパーティーではない。
その為、シラブルに滞在する同業者たちも期待を寄せている。
彼らの実力なら、ミスリルゴーレムが居た部屋まで辿り着くこと自体は、大した難易度ではない。
そうなれば……既にミスリルゴーレムは消されており、槍があったであろう台座に、槍がないことにも気付かれる。
遠くない未来、自分たちに疑いの目が向けられるかもしれない……という事を忘れかけている三人は、パルスというシラブルより少し小さい街に到着。
特に用事はないので、二・三日滞在したら次の街に移ろうと考えていた。
「なぁ、ルーキーたちの臨時講師になってくれないか」
「……それは、ギルドから俺たちに伝えてくれって言われたのか?」
一応冒険者ギルドで依頼を受け、仕事していた三人。
活動中、パルスで唯一のBランク冒険者であるべリウスと知り合い、夕食の席でいきなり臨時講師の仕事を頼まれた。
「そうだな。ギルドとしても、お前たちにルーキーの奴らに色々と教えてやってほしい考えてる」
「ん~~、それはべリウスでも良いんじゃないか?」
パルスで唯一のBランクとなれば、そういった仕事でも頼れる存在。
しかし、べリウスはそんなソウスケの言葉に首を横に振って答える。
「いや、俺はもう随分冒険をしていない」
パルス出身の冒険者であり、ベテランと呼ばれる年齢までは多くの街を周り、冒険という名の修羅場を潜り抜けていた。
しかし、故郷であるパルスに戻ってからは特に冒険することはなく、後進の育成に努めるのが主な仕事。
もう後輩たちに伝えられる新しいものがない。
そう思っていた時、ソウスケたちを見かけた。
「だから、ソウスケたちに頼みたいと思ってね。勿論、強制じゃない。何か用事があるなら、そちらを優先してくれ」
「……」
と言われたが、今の三人には本当に予定がない。
既に臨時教師経験はあるため、べリウスとパルスの冒険者ギルドからの頼みを受けることにした。
勿論依頼という形なので、報酬は出る。
「結構集まったな」
べリウスが事前に声を掛けていたこともあり、三人がルーキーたちに臨時教師を行う日に、ギルドにはEランクやDランクの冒険者が二十人近く集まった。
(うんうん、そういう表情になるよね)
今までの経験から、自分が教師の様な立場に立てば、どうしても不満を持つ者が現れる。
それは予想していたので、訓練場でザハークと三分ほど模擬戦を行った。
「嘘、だろ」
「は、速ぇ」
「武器の扱いだけじゃなくて、体術まで……」
「え、詠唱してない……本当に人、なの?」
槍やロングソード、五体や攻撃魔法を使いつつ、三分間の模擬戦が終了。
「観てもらったから解ると思うけど、こんな見た目でもそれなりに戦えるんだ。という訳で、改めてよろしくな」
「「「「「「よ、よろしくお願いします」」」」」」
ソウスケを小さな声で馬鹿にしていた者、そうでない者も含めて、気合の入った返事を行う。
しっかり態度を改めてもらえば、ソウスケとしても何も言うことはない。
武器の扱いはソウスケ。
体術などはザハーク。
魔法系はミレアナが担当。
三人の体験談などを伝えながら、その日の授業は無事に終了。
今度は三日後に行うのだが……その間、ソウスケたちは三人とも嫌な予感を感じる視線が、自分たちに向けられていると確信。
すると……その視線を向けられているのは、ソウスケたちだけではなかった。
もしかしたら、裏の人間を使って無理矢理奪おうとするかもしれない。
そんな事を頭の片隅に置いていた三人だが、十日経ってもそういった連中がやって来ることはなかった。
(心配し過ぎだったか)
ソウスケがそう思うのも無理はない……が、本日シラブルに領主からの依頼を受けたAランクの冒険者が到着。
実力的に申し分なく、運良くAランクに上がれたラッキーパーティーではない。
その為、シラブルに滞在する同業者たちも期待を寄せている。
彼らの実力なら、ミスリルゴーレムが居た部屋まで辿り着くこと自体は、大した難易度ではない。
そうなれば……既にミスリルゴーレムは消されており、槍があったであろう台座に、槍がないことにも気付かれる。
遠くない未来、自分たちに疑いの目が向けられるかもしれない……という事を忘れかけている三人は、パルスというシラブルより少し小さい街に到着。
特に用事はないので、二・三日滞在したら次の街に移ろうと考えていた。
「なぁ、ルーキーたちの臨時講師になってくれないか」
「……それは、ギルドから俺たちに伝えてくれって言われたのか?」
一応冒険者ギルドで依頼を受け、仕事していた三人。
活動中、パルスで唯一のBランク冒険者であるべリウスと知り合い、夕食の席でいきなり臨時講師の仕事を頼まれた。
「そうだな。ギルドとしても、お前たちにルーキーの奴らに色々と教えてやってほしい考えてる」
「ん~~、それはべリウスでも良いんじゃないか?」
パルスで唯一のBランクとなれば、そういった仕事でも頼れる存在。
しかし、べリウスはそんなソウスケの言葉に首を横に振って答える。
「いや、俺はもう随分冒険をしていない」
パルス出身の冒険者であり、ベテランと呼ばれる年齢までは多くの街を周り、冒険という名の修羅場を潜り抜けていた。
しかし、故郷であるパルスに戻ってからは特に冒険することはなく、後進の育成に努めるのが主な仕事。
もう後輩たちに伝えられる新しいものがない。
そう思っていた時、ソウスケたちを見かけた。
「だから、ソウスケたちに頼みたいと思ってね。勿論、強制じゃない。何か用事があるなら、そちらを優先してくれ」
「……」
と言われたが、今の三人には本当に予定がない。
既に臨時教師経験はあるため、べリウスとパルスの冒険者ギルドからの頼みを受けることにした。
勿論依頼という形なので、報酬は出る。
「結構集まったな」
べリウスが事前に声を掛けていたこともあり、三人がルーキーたちに臨時教師を行う日に、ギルドにはEランクやDランクの冒険者が二十人近く集まった。
(うんうん、そういう表情になるよね)
今までの経験から、自分が教師の様な立場に立てば、どうしても不満を持つ者が現れる。
それは予想していたので、訓練場でザハークと三分ほど模擬戦を行った。
「嘘、だろ」
「は、速ぇ」
「武器の扱いだけじゃなくて、体術まで……」
「え、詠唱してない……本当に人、なの?」
槍やロングソード、五体や攻撃魔法を使いつつ、三分間の模擬戦が終了。
「観てもらったから解ると思うけど、こんな見た目でもそれなりに戦えるんだ。という訳で、改めてよろしくな」
「「「「「「よ、よろしくお願いします」」」」」」
ソウスケを小さな声で馬鹿にしていた者、そうでない者も含めて、気合の入った返事を行う。
しっかり態度を改めてもらえば、ソウスケとしても何も言うことはない。
武器の扱いはソウスケ。
体術などはザハーク。
魔法系はミレアナが担当。
三人の体験談などを伝えながら、その日の授業は無事に終了。
今度は三日後に行うのだが……その間、ソウスケたちは三人とも嫌な予感を感じる視線が、自分たちに向けられていると確信。
すると……その視線を向けられているのは、ソウスケたちだけではなかった。
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