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七百三十九話 育てないのは勿体ない
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既にエルダーリッチを倒し終えて、待機していたソウスケとミレアナの気配が変わった。
おそらく、自分の援護の準備を行った。
この件に関して、ザハークはふざけるな! という思いはない。
自分の身を案じてくれている……その気持ちが解る為、二人の思いが邪魔だとは思わない。
しかし……目の前のナイトから進化したジェネラルは自分だけの獲物。
絶対に自分の力のみで倒す。
そんなザハークの想いが要因となり、ザハークに新しいスキルが発言した。
そして、そのスキルを無意識の内に発動。
結果……ザハークの身体能力が爆発的に上がり、先程まで中々攻めきれなかったクリムゾンリビングジェネラルをぶった切った。
「これは……っ!?」
自分の力で、クリムゾンリビングジェネラルをぶった切ることに成功した。
それは解っている。
だが、何が起こっていきなり形勢を動かしたのか……頑丈だったあの鎧をぶった切ることに成功したのか、解らなかった。
しかし……体の節々に痛みを感じる。
絶対に動けない、という程の痛みではない。
それでも先程までの動きを行えるかと言われれば、絶対に無理だと答える。
「やったじゃないか、ザハーク!!!!」
「お見事でした」
「あ、あぁ……ありがとう」
仲間自分の元に駆け寄り、労ってくれた。
つまり、目の前で起こったことや自分の身に起きていることが、嘘ではないと改めて理解した。
「しかも……魔石は運良く残ってるみたいだな」
「そう、みたいだな」
正直、最後の一撃を放つ瞬間……魔石の無事か否かなど、これっぽっちも頭に残っていなかった。
なので、魔石が無事に残っていたのは、まさに奇跡と言える。
ただ……ザハークは覚えていないが、最後に放った一撃はいつも以上の身体能力を発揮しながらも、剣を振るうという基本的な動作は疎かになっていなかった。
故に、クリムゾンリビングジェネラルは非常に綺麗に切断されていた。
「とりあえず回収するとして、ザハーク。最後のはなんだったんだ?」
「それは気になりますね」
ソウスケとミレアナもしっかりと戦いの様子を見ていたので……ザハークの身体能力が一瞬、爆発的に上がったのは確認した。
ただ、いったいどのような理由で爆発的に上昇したのかまでは分からない。
「俺も、それは分からない……いや、一度ステータスを視れば分かるか」
何かを使った、なんとなくそういった感覚は感じていた。
その感覚が正しければ……予想通り、習得しているスキル欄に、新しいスキルが増えていた。
「ソウスケさん、どうやら新しいスキルを覚えたようだ」
「おっ、どんなスキルを覚えたんだ?」
「限界突破、という名前のスキルらしい」
「限界突破か……いかにもそれらしい名前のスキルだな」
鑑定を使って詳しく調べると、使用時にスキルレベルによって使用者の身体能力を上昇させる割合が変化。
そしてスキルレベルによって、限界突破の持続時間も変わる。
加えて、持続時間が終了すると反動が体に返ってくる。
(ん~~~、まさに切り札と言うべきスキルだな)
ソウスケは界〇拳のようなスキルだなと思い、ひとまずザハークの成長を喜んだ。
「良かったな、ザハーク。これでクリムゾンリビングジェネラルより強い敵と遭遇しても、このスキル次第では勝てるぞ」
「…………そうかもしれないな。ただ、普段から使うことはないだろう」
確かに有能なスキルだと、習得した本人も思った。
それでも、あまり頼って良いスキルではないと同時に感じた。
(普段から使っていれば……いざという時に、頼り癖が付いてしまう。このスキルがあれば大丈夫……そういった思いは、良くない)
自身の成長の妨げになると感じたザハーク。
その考えは決して間違ってはいないだろう……ただ、スキルである以上、何度も使わなければ成長しない。
「いや、折角ダンジョンがあるんだから、ここでは使っても良いんじゃないか? ボスは本当に丁度良い実戦相手になりそうだし、育てないと勿体ないと思うぞ」
「ソウスケさんの言う通りですね。また新しい強敵と出会った時は、使用を禁じれば良いだけの話ですよ」
「そうか……そうだな」
ひとまず上級者向けダンジョンを攻略し、報酬の宝箱をしまった三人は地上へと戻った。
おそらく、自分の援護の準備を行った。
この件に関して、ザハークはふざけるな! という思いはない。
自分の身を案じてくれている……その気持ちが解る為、二人の思いが邪魔だとは思わない。
しかし……目の前のナイトから進化したジェネラルは自分だけの獲物。
絶対に自分の力のみで倒す。
そんなザハークの想いが要因となり、ザハークに新しいスキルが発言した。
そして、そのスキルを無意識の内に発動。
結果……ザハークの身体能力が爆発的に上がり、先程まで中々攻めきれなかったクリムゾンリビングジェネラルをぶった切った。
「これは……っ!?」
自分の力で、クリムゾンリビングジェネラルをぶった切ることに成功した。
それは解っている。
だが、何が起こっていきなり形勢を動かしたのか……頑丈だったあの鎧をぶった切ることに成功したのか、解らなかった。
しかし……体の節々に痛みを感じる。
絶対に動けない、という程の痛みではない。
それでも先程までの動きを行えるかと言われれば、絶対に無理だと答える。
「やったじゃないか、ザハーク!!!!」
「お見事でした」
「あ、あぁ……ありがとう」
仲間自分の元に駆け寄り、労ってくれた。
つまり、目の前で起こったことや自分の身に起きていることが、嘘ではないと改めて理解した。
「しかも……魔石は運良く残ってるみたいだな」
「そう、みたいだな」
正直、最後の一撃を放つ瞬間……魔石の無事か否かなど、これっぽっちも頭に残っていなかった。
なので、魔石が無事に残っていたのは、まさに奇跡と言える。
ただ……ザハークは覚えていないが、最後に放った一撃はいつも以上の身体能力を発揮しながらも、剣を振るうという基本的な動作は疎かになっていなかった。
故に、クリムゾンリビングジェネラルは非常に綺麗に切断されていた。
「とりあえず回収するとして、ザハーク。最後のはなんだったんだ?」
「それは気になりますね」
ソウスケとミレアナもしっかりと戦いの様子を見ていたので……ザハークの身体能力が一瞬、爆発的に上がったのは確認した。
ただ、いったいどのような理由で爆発的に上昇したのかまでは分からない。
「俺も、それは分からない……いや、一度ステータスを視れば分かるか」
何かを使った、なんとなくそういった感覚は感じていた。
その感覚が正しければ……予想通り、習得しているスキル欄に、新しいスキルが増えていた。
「ソウスケさん、どうやら新しいスキルを覚えたようだ」
「おっ、どんなスキルを覚えたんだ?」
「限界突破、という名前のスキルらしい」
「限界突破か……いかにもそれらしい名前のスキルだな」
鑑定を使って詳しく調べると、使用時にスキルレベルによって使用者の身体能力を上昇させる割合が変化。
そしてスキルレベルによって、限界突破の持続時間も変わる。
加えて、持続時間が終了すると反動が体に返ってくる。
(ん~~~、まさに切り札と言うべきスキルだな)
ソウスケは界〇拳のようなスキルだなと思い、ひとまずザハークの成長を喜んだ。
「良かったな、ザハーク。これでクリムゾンリビングジェネラルより強い敵と遭遇しても、このスキル次第では勝てるぞ」
「…………そうかもしれないな。ただ、普段から使うことはないだろう」
確かに有能なスキルだと、習得した本人も思った。
それでも、あまり頼って良いスキルではないと同時に感じた。
(普段から使っていれば……いざという時に、頼り癖が付いてしまう。このスキルがあれば大丈夫……そういった思いは、良くない)
自身の成長の妨げになると感じたザハーク。
その考えは決して間違ってはいないだろう……ただ、スキルである以上、何度も使わなければ成長しない。
「いや、折角ダンジョンがあるんだから、ここでは使っても良いんじゃないか? ボスは本当に丁度良い実戦相手になりそうだし、育てないと勿体ないと思うぞ」
「ソウスケさんの言う通りですね。また新しい強敵と出会った時は、使用を禁じれば良いだけの話ですよ」
「そうか……そうだな」
ひとまず上級者向けダンジョンを攻略し、報酬の宝箱をしまった三人は地上へと戻った。
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