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六百六十一話 普通は足りないのだが……
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「「ッ!!!」」
ソウスケが亜空間の中から取り出した魔剣と短刀を見た瞬間に、二人の眼の色が変わった。
まだ二つとも鞘から抜いていない。
だが、それでもソウスケが造り上げた武器がいかほどの物か……二人はそれを肌で感じ取った。
「これが……私の、為に」
「はい! ターリアさんの為に造った魔剣と短刀です」
「ッ……抜いてみても、よろしいでしょうか」
「えぇ、勿論。既に代金は受け取っているので、この二つはもうターリアさんの物です」
制作者からそう言われ、ターリアはゆっくり……まずは魔剣の方から抜いた。
「ほぅ……これはまた、中々お目に掛かれない一品だ」
レガースは鑑定のスキルを持っていない。
しかし、長年の経験から一目見ればどれほどのレベルなのか……ある程度解かる。
解ってしまうからこそ、正直……ターリアが羨ましいと感じた。
(常識では測れない者だとは思っていたが、まさかこれほどの武器を造り上げる腕を持つとは……ターリアが羨ましい限りだ)
鞘から魔剣……フレイザーを抜いたターリアは感触を確かめるようにその場で何度か剣を振り、無意識の内に口角が上がっていた。
剣を振るのにジャストな重さ、空を斬る音。
どれもターリアにとって好感触。
そして一旦フレイザーを鞘に戻し、今度は短刀……火竜・焔を抜く。
「ッ!? ……ソウスケさん、この短刀はもしや……」
「あ、分かりますか。火竜・焔にはファイヤドレイクの素材を使いました」
ソウスケが担当の制作材料を口にした瞬間……耳を澄ませていた門下生たちもビックリ仰天。
鞘から抜かれた短刀を見て、もしやと思ったレガースとターリアも驚きを隠せない。
レガースは驚きながらも、門下生の中で鑑定のスキルを持つ者を呼び、ターリアの許可を取ってフレイザーと火竜・焔を視てもらった。
「ッ!!!??? そ、ソウスケさん。これは、その……本当に、ソウスケさんが造ったん、ですか?」
「あぁ、その二つは本当に俺が造ったぞ。魔剣の方にはヒートミノタウロスの素材を使ったから、我ながら会心の出来だと思ってる」
ソウスケの言葉通りだと鑑定スキル持ちの門下生は思った。
フレイザーのランクは六。
所有者に腕力強化と火耐性、牛殺しの効果を付与。
そして火炎城壁といった防御技と、バーンレイズといった専用技を使える。
火竜・焔のランクもフレイザーと同じく六。
斬れ味強化と火吸収、放出の効果を持つ。
フレイザーと比べればやや見劣りするが、それでもターリアやレガースを驚かせる質を持っている武器に変わりない。
「……ソウスケさん。その、お金は足りましたか?」
門下生から魔剣と短刀に秘められた力と質を聞き、ターリアは思わず問うた。
自分が事前に払った金額で二つの制作費は足りたのかと。
ソウスケが造った武器は二つとも以上に満足のいく物。
だが、それ故に渡したお金だけで足りるのか不安になる。
「それは勿論大丈夫ですよ。制作に使った素材は全てダンジョンで手に入れましたし。ファイヤドレイクの素材だけは倒したザハークからちょっと貰いましたけどね」
サラッとザハーク一人だけでBランクモンスターであるファイヤドレイクを倒したという事実を告げ、門下生たちは一瞬だけ驚いたが……門下生たちは実際にザハークと模擬戦をを行い、その強さの一端を知っている。
なので、驚きは直ぐに収まり……ザハークさんなら別におかしくないか。
という結論に至った。
(ふむ……冒険者として活動しているソウスケ君からすれば、ターリアが渡した料金で満足なのかもしれないが、これは……)
一つの武器を大切に扱うレガースだが、様々な武器を眺めることが趣味の一つ。
気ままに武器屋に置かれている商品を見るので、どのランクの武器が大体幾らほどするのか、ある程度理解している。
(まぁ、ソウスケ君が満足しているのであれば問題無い、か)
本当はターリアが渡した百枚近くの金貨では足りないのだが、ソウスケは武器造りでそこまで儲けようとは考えていなかった。
ソウスケが亜空間の中から取り出した魔剣と短刀を見た瞬間に、二人の眼の色が変わった。
まだ二つとも鞘から抜いていない。
だが、それでもソウスケが造り上げた武器がいかほどの物か……二人はそれを肌で感じ取った。
「これが……私の、為に」
「はい! ターリアさんの為に造った魔剣と短刀です」
「ッ……抜いてみても、よろしいでしょうか」
「えぇ、勿論。既に代金は受け取っているので、この二つはもうターリアさんの物です」
制作者からそう言われ、ターリアはゆっくり……まずは魔剣の方から抜いた。
「ほぅ……これはまた、中々お目に掛かれない一品だ」
レガースは鑑定のスキルを持っていない。
しかし、長年の経験から一目見ればどれほどのレベルなのか……ある程度解かる。
解ってしまうからこそ、正直……ターリアが羨ましいと感じた。
(常識では測れない者だとは思っていたが、まさかこれほどの武器を造り上げる腕を持つとは……ターリアが羨ましい限りだ)
鞘から魔剣……フレイザーを抜いたターリアは感触を確かめるようにその場で何度か剣を振り、無意識の内に口角が上がっていた。
剣を振るのにジャストな重さ、空を斬る音。
どれもターリアにとって好感触。
そして一旦フレイザーを鞘に戻し、今度は短刀……火竜・焔を抜く。
「ッ!? ……ソウスケさん、この短刀はもしや……」
「あ、分かりますか。火竜・焔にはファイヤドレイクの素材を使いました」
ソウスケが担当の制作材料を口にした瞬間……耳を澄ませていた門下生たちもビックリ仰天。
鞘から抜かれた短刀を見て、もしやと思ったレガースとターリアも驚きを隠せない。
レガースは驚きながらも、門下生の中で鑑定のスキルを持つ者を呼び、ターリアの許可を取ってフレイザーと火竜・焔を視てもらった。
「ッ!!!??? そ、ソウスケさん。これは、その……本当に、ソウスケさんが造ったん、ですか?」
「あぁ、その二つは本当に俺が造ったぞ。魔剣の方にはヒートミノタウロスの素材を使ったから、我ながら会心の出来だと思ってる」
ソウスケの言葉通りだと鑑定スキル持ちの門下生は思った。
フレイザーのランクは六。
所有者に腕力強化と火耐性、牛殺しの効果を付与。
そして火炎城壁といった防御技と、バーンレイズといった専用技を使える。
火竜・焔のランクもフレイザーと同じく六。
斬れ味強化と火吸収、放出の効果を持つ。
フレイザーと比べればやや見劣りするが、それでもターリアやレガースを驚かせる質を持っている武器に変わりない。
「……ソウスケさん。その、お金は足りましたか?」
門下生から魔剣と短刀に秘められた力と質を聞き、ターリアは思わず問うた。
自分が事前に払った金額で二つの制作費は足りたのかと。
ソウスケが造った武器は二つとも以上に満足のいく物。
だが、それ故に渡したお金だけで足りるのか不安になる。
「それは勿論大丈夫ですよ。制作に使った素材は全てダンジョンで手に入れましたし。ファイヤドレイクの素材だけは倒したザハークからちょっと貰いましたけどね」
サラッとザハーク一人だけでBランクモンスターであるファイヤドレイクを倒したという事実を告げ、門下生たちは一瞬だけ驚いたが……門下生たちは実際にザハークと模擬戦をを行い、その強さの一端を知っている。
なので、驚きは直ぐに収まり……ザハークさんなら別におかしくないか。
という結論に至った。
(ふむ……冒険者として活動しているソウスケ君からすれば、ターリアが渡した料金で満足なのかもしれないが、これは……)
一つの武器を大切に扱うレガースだが、様々な武器を眺めることが趣味の一つ。
気ままに武器屋に置かれている商品を見るので、どのランクの武器が大体幾らほどするのか、ある程度理解している。
(まぁ、ソウスケ君が満足しているのであれば問題無い、か)
本当はターリアが渡した百枚近くの金貨では足りないのだが、ソウスケは武器造りでそこまで儲けようとは考えていなかった。
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