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五百十二話 過保護な二人?

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「なぁ……俺達が見たあれは事実、だよな?」

「そ、そうね。私もこの目で見たわ」

「自分もしっかりとこの目で見たが……他の冒険者に伝えても信じてもらえなさそうではあるな」

「投擲だけでモンスターを倒して階層を降りていく……えっと、よっぽど高名な冒険者なのでしょうか?」

ソウスケ達が進みながら投擲だけでモンスターを倒す姿を見た冒険者の一団は、あまり自分達が見た光景が信じられなかった。

上層とはいえ、厄介なモンスターは多少なりとも存在する。
しかし弱いモンスターや厄介なモンスターを関係無しに石ころを使った投擲だけで倒していった。

「てか、あのまま下に降りてるってことは多分俺達以外の冒険者だって目撃する筈だよな」

「その可能性が高いな。なら、俺達が目撃した情報を他の奴らに話しても完全に信じてもらえないって訳じゃなさそうだな」

正直そんなのは信じてもらえなくても信じてもらえても、どちらでも良い話だ。
だが、それよりも現実として投擲だけでモンスターたちを始末したという内容がリアルで見たが、四人にとっては中々信じられない内容だった。

「それより……投擲であんなに簡単にモンスターを倒せるものなんだな」

「確か俺らよりちょっと年下の男とエルフの女……それと鬼人族? いや、オーガ? どっちか分からねぇや」

「投擲だけで十階層までのモンスターを倒してるとしたら、それなりに有名どころのパーティーの筈よね」

「だと思うけど……そういったパーティーがいるって話はあまり聞かないな」

実質、ソウスケとミレアナはまだEランクの冒険者。
そしてソウスケ達がコボルトキング、パラデットスコーピオンやその上位種、赤い皮膚を持つアシュラコングを倒したという話は広まっていない。

なので三人のパーティーを多く冒険者が知らないのだ。

だが、全く噂がない訳ではない。

「でもエルフの女性と鬼人族の男性……もしくは従魔のオーガが、同じパーティーメンバーの男の子を過剰に守っている……そんなパーティーがあると噂で聞いたことがあります」

「……確かにそんな噂が耳に入ってたような、そうでもないような気がするな。でも、男の方もじゃんじゃん投擲してモンスターを倒してたよな。それってちょっと間違いがあるんじゃね?」

「過保護に育てられた結果、上層のモンスターなら問題無く倒せるようになった……そういう可能性もあるだろうが、そうでない場合もある」

「私からすれば、あまり過保護には見えなかったけどね」

四人はそこまで長い間ソウスケ達の戦いぶりを見ていないが、ソウスケがミレアナとザハークに守られるように戦っている様には思えなかった。

「てことはよ……全員が超強いパーティーなのに、あんまり有名ではないってことか」

「最近冒険者になったばかりのパーティーかもしれない……でも、それだとどうやってあんなに高い実力を身に着けたのかが気になるね」

ギルドに登録したばかりのルーキーの実力が飛び抜けている、なんて事例はそこまで少なくはない。
その者の過去によって、既にそこそこの実力を得ることは出来る。

ソウスケ達三人の中でソウスケとザハークに関しては例外中の例外だ。

神によってスキルレベル五のスキルを大量に手にし、それのお陰でダンジョンの下層に生息するモンスターを倒すことで楽々とレベルを上げて実戦の経験値も得た。

そしてザハークも元々はゴブリンの希少種であり、傍にはミレアナとソウスケがいたので死を心配することなくレベルを上げて確かな実力を得ることに成功した。

二人の強さの習得方法はあまり他の人には参考にならない。

「まっ、俺達は俺達のペースで進もうぜ」

「それもそうだな。焦らずに行こう」

四人はソウスケ達の圧倒的な探索速度に感化されることはなく、マイペースに探索を進め始めた。

そんな自分達の行動に衝撃を受けていた者がいるとは思わずに進んでいた三人は十階層のボスモンスターである二体のオークとその上位種であるオークウォーリアーを倒し、一旦地上に戻っていた。
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