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四百八十六話 学校に対しての感情

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問題無く街に入れたソウスケ達は学園までリアス達を無事に護衛することができた。

「「「本当にお世話になりました!!」」」

「いやいや、こっちこそありがとな。三人がミレアナに提案してくれたお陰で珍しい素材が手に入ったんだし」

「ソウスケさんの言う通りですよ。ですから頭を上げてください」

「三人のお陰で熱い戦いを体験出来た。礼を言うぞ」

お互いに感謝の言葉を伝え、そこで両社は別れた。

「さて……どうしようか」

ソウスケの気持ちとしては、面白そうな場所に来た。その一言だった。

「そう、ですね……少しはこの街に滞在してもよろしいのではないでしょうか」

ミレアナとしても直ぐにこの街から離れるのは惜しいと思えた。

「少しどころか長い間滞在しても良いんじゃないか?」

ダンジョンが三つもあると知ったザハークは是非ともダンジョンで暴れ回りたいと考えている。

「日が暮れてはいないけど……とりあえず今日はのんびりと過ごそう」

まずは適度に快適そうな宿を見つけ、先にお金を支払って直ぐに街に繰り出す。
学習都市というだけあって、制服を着ている学生が多く街中を歩いている。

「学生、か……懐かしいな」

「そういえば、ソウスケさんも前は学生だったのですよね」

「そうだよ。学ランっていう服を着て毎日通ってたなぁ~……学校に行くなんて面倒だと思ってたけど、こうして学生服を着て楽しく友達と笑ってる人を見ると色々と思い出す」

学校に行くのが嫌いというよりは、学校に行ってつまらない授業を受けるのが嫌い。
なので、授業以外の学校生活はそこそこ楽しく送れていた。

(失ってから気付く楽しさ……って感じか? 多分そんな感覚だよな。でも、やっぱり学校にもう一度通いたいかって聞かれると……答えはノーだな)

好きな時間に寝ることができ、楽しいという感覚を持ちながらモンスターをハントし、依頼を受けてお金を稼ぐ。
そして得た金で好きな料理を食べ、ムラムラしたら歓楽街に向かって性欲を発散。

それらを考えれば学生に戻りたいかもしれない……なんて考えは徐々に薄れてきた。

「学生と言うのは楽しかったのか?」

「楽しいところが無い訳じゃないけど……どちらかといえば、面倒な事の方が多かったな」

勉強なんてなんでしなければいけないのか、ずっと疑問に感じていた。
一般常識として算数、国語が必要なのは分る。
英語も将来就く仕事によっては必要かもしれない、だが……理科と社会に関してはマジで要らないと思っていたソウスケ。

成績は可も無く不可も無く、そんなソウスケにとって勉強に楽しさを感じていなかったので、退屈な時間であった。

(それに中学生にもなれば大概の奴の心の中に黒い部分があるからな)

学校は社会の縮図、そう思うのに時間は掛からなかった。
虐めはパワハラと近いだろう。

学生が数学や国語を学ぶように、社会人は業務内容を学ぶ。

違うところがあるとすれば、それは結果を出さなくても良いのか……それとも出さなければ自分の今後に響くのか。
テストでの成績がまるっきり今後の人生、特に受験に関わらないとは言わない。

ただ、逆転出来るチャンスは多い。
それに比べて社会人は結果を出さなければ給料に関わってくる。

(俺は学生だったから知らないけど、営業マンとかマジで結果出さないとクビにされたりするのかな?)

大人の世界の内容に関しては解らないことが多いソウスケだが、楽な職業はきっとないんだろうなと子供ながらに考えていた。

「学校なんて基本的に黒い部分が多いんだよ」

「……人の腹の様にか?」

「そうだよ、まさにそんな感じだ。楽しい思い出が残る場所でもあるかもしれないけど、半分……はちょっと多すぎか。それでも四分の一や五分の一ぐらいの生徒は嫌な思い出の方が多いんじゃないか?」

「ソウスケさんは嫌な思い出の方が多かった、ということでしょうか」

「おう、そもそも勉強が好きじゃ無かったからな」

学ぶ内容に楽しいと思える感覚、もしくは何か目標がなければ大半の授業がつまらないと感じる。
それに比べ、この世界での冒険は楽しさで溢れている……深くそう思えた。
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