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三百五十三話 いやいや本業ですよ

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「トレントの木の次は鉱石ですか。もしかしてソウスケ君にとって、冒険者の方が副業だったりするのかな?」

「いや、別にそういう訳じゃ無いですよ」

「でもでも、ソウスケ君が身に付けているグラディウスはまだまだ全然使えそうだし、ミレアナさんの弓に関しては買い替える必要性を全く感じないよ」

「それはまぁ・・・・・・あれですよ。そこら辺のモンスターが相手なら剣を使う必要は無いんで」

メルには自身の強さを知っており、今周囲には人がいないのでぶっちゃける。

(まぁ、小石の投擲が通用しない相手は結構多いけど。間違った事は言っていない)

相手の動きが良く視えている魔物や、反射神経に優れている魔物は例えレベルがそこまで高くなくともソウスケの投擲を躱す。もしくは狙いをずらす事が出来る。

「それもそうかもしれませんね。それで鉱山のある街でしたね。ちょっと待っててくださいね」

「わかりました。急いではいないので慌てないでくださいね」

(あざとく転びそうな気がするんだよな。本人にその気が無くても)

メルが待機室を出て数秒後に人が転んだ音が聞こえた。

「急がなくて良いって言ったのに」

「何となくですが、よく転びそうな方ですよね」

「俺もそう思う。まっ、何度も転べばそのうち何かに躓いても転ばずに済むようになるんじゃないか?」

(というか、何時までもそういうキャラが染みついていたら流石に周囲からの、特に同性からの印象は悪くなるだろうからな)

そこまで関わりがある訳では無いが、それでも一緒に飯を食べた仲であるメルの将来がソウスケは少し心配だった。色々な意味で。

「ソウスケさんは何かお目当ての鉱石はあるんですか?」

「一応俺が造ったチェスを欲しいと言ってるんだから、黒曜石と白光石かな。黒と白だし丁度良い。今回の採掘に関してはそれ以外はボチボチ手に入れば問題無い」

「そうですか。それならいつかは鉱石が手に入りやすいダンジョンに挑むのも良いかもしれませんね」

ダンジョンには多くの種類があり、ミレアナの言うような宝箱からは鉱石が手に入りやすく、鉱山のエリアが多いダンジョンが存在する。

「それは良いな。また楽しみが一つ増えたな」

娯楽が少ない分、目的が多ければ多い程それがソウスケにとっては娯楽になる。

「お待たせしました!!!」

ノックもせずに勢いよく中に入って来たメルに特にツッコむ事無く二人は説明を聞く。

「前回と比べてかなりの距離になるけど、その辺りが多くの鉱石が採れる鉱山なんですね」

「はい!!!! 国内ではトップクラスの鉱山です!! 本当はもう少し良いところもあるんですが、そこは少し訳アリなのであまりお薦めできないんですよ」

メルが意地悪で教えない訳では無いと解っているので、特に追及はしない。

そして十分程メルから説明を聞いた二人はこれ以上ギルドに用は無いので外に出ようと思ったが、メルから三人でご飯を食べないかと誘わた。

(巨乳ロリ美人と巨乳エルフ美人の二人と昼食。断る理由は無いな)

メルにどういった意図があって昼食に誘ってきたのかは解らないが、そんな事は一切気にせずソウスケは二人と喫茶店に入って昼食を取った。

「・・・・・・よくそれでお腹いっぱいになりますね」

喫茶店なので料理一つ一つの量はあまり多くないので、ソウスケは四つほど料理を頼んで下品に見えない様に料理を口に運んでいく。

「午後からもお仕事はあるから、あんまりお腹いっぱい食べると眠くなっちゃうんだよね」

「あぁーー、なるほど。それなら納得です」

(それでも少ない気がするが、あんまりこれ以上はマナー的に聞かない方が良いんだろうな。単純に胃袋が小っちゃいだけかもしれないし)

料理を食べながら会話を始める三人。

ソウスケはメルが食事に誘って来た意図が喫茶店に着いてかたらようやく気になりだし、もしかしたら個人的な依頼があるのかと構えていた。

(・・・・・・単純にどんな冒険だったのか訊きたかっただけか)

メルは自分の些細な行動で余計な面倒事を生み出してしまうのを理解している。
なので自分に好意を持たなさそうなソウスケから冒険譚を聞こうとした。

ソウスケに面倒事が降りかかるとは考えてはいないのか?

そんな事はメルも理解している。しかしソウスケは武器を使わずモンスターを倒せると言っていた。
ワイバーンを本当にソウスケ自身が倒したのかは未だに確信を持てないが、ソウスケの言葉が嘘には思えなかった。

なのでソウスケならちょっとした面倒事などささっと片付けられるだろうという結論に至った。

(でも、本当に面倒な迷惑を掛けちゃったら、ど、どどどどうやってお詫びしたらいいんだろ)

ソウスケがランク不相応の力を持ち、規格外の仲間がいる。
そんな人物に迷惑を掛けた場合、どうやって詫びれば良いのか。

思考は何故かピンク色の方向に向かい、メルの頬は一気に赤くなった。
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