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三百四十七話 道が平坦でなければ

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ダンジョンに潜り、最下層のボスを倒して休日を挟んでまたダンジョンに潜る。

それを繰り返して最下層のボスを倒すこと計三回ほど繰り返した。
ソウスケ、ミレアナ、ザハークが一人でパラデットスコーピオンを倒す事に成功し、ソウスケのアイテムボックスの中にはパラデットスコーピオンの死体が三つもある。

攻撃を喰らった事で真っ新な状態で残っている訳では無いがそれでも魔石には傷一つ付いておらず、尻尾や大きな触肢も残っている。

パラデットスコーピオンの部位はどれも武器や防具の素材に、錬金術の素材にも使えるのでソウスケとしては良い実験材料が増えてこの上なく嬉しい。

そしてこの街での目的を完全に終えたソウスケ達は世話になったジーラス達に挨拶をした後、モバールへと向かった。

「行は馬車だったが、帰りは歩き。時間は掛かるがこうやってのんびり向かうのも悪くないな」

スタミナに関しては全く問題が無く、眠くはなるがソウスケだって頑張れば一晩寝ずとも行動は出来る。
それを二人に伝えると、ザハークは「もし夜も歩を進めるなら俺がソウスケさんを背負って歩こう」といった。

それに対してミレアナは良い案だといった表情になり、ならば自分が周囲の警戒役を務めると宣言する。

(それは有難いが、俺だけ楽をするのはちょっとなぁ~~。車とかはそう簡単に造れないが、フライカーペットみたいな魔道具を造るのはありだよな)

エアーホッケーの様に事前に魔力を貯蔵すれば魔力を消費する事無く、疲れることも無く移動する事が出来る。
そして魔力を消費してでも移動しなければならない状況の時は、自身の魔力を消費しながら移動出来る魔道具。

(そんな感じに魔道具が量産できれば、危機的状況での生き残れる確率が変わってくるよな)

勿論、その魔道具が動く速度がある程度速くなければ話にならない。

「何か面白そうな事を思い付いたという表情をしていますね。今度はどんな事が出来る魔道具が浮かんだんですか?」

「ほら、マムさんからフライカーペットをスパイロードの代金として貰っただろ。あれみたいな移動系の魔道具を造れたら良いなって思ったんだよ」

「ソウスケさんは楽をして移動したいのか?」

「別にそういうことじゃない。いや、そうしたい気分の時もあるかもしれないけどな。でも、なんとく造ってみたくなったってのが一番かな」

自分で素材を元に何かを造る。
それがソウスケにとって以外にも楽しい感覚だった。
ただし同じ作業の繰り返しは基本的に面倒に感じる。

(仕事で大金を貰えるとはいえ、何度もエアーホッケーを造るのはめんどくさかったな。何度も造り続けているお陰で一つのエアーホッケーを造り上げる時間は短縮されているけど)

仕事の時間が減ればそれだけ他の事に時間が使える。

(移動系の魔道具・・・・・・あれも移動系に入る、か? でもあれは地面が平坦でないと使いづらいだろうし、そもそも体力を使わずに移動する物じゃないしな)

ソウスケの頭の中に浮かんだ物はこの世界ではあまり移動に適していない物だった。

(そもそも日本でも街中で移動するのに使われていた物って訳でも無いからな)

「ソウスケさん、少し離れた場所に十人程の気配がします」

「それは誰かが怪我をして治そうとしてるからその場から動いていないのか?」

「いえ、意図的に気配を消そうとしている者かと」

「そんな奴らが十人ねぇ・・・・・・こりゃ確定かな?」

おそらく通行人を襲う山賊。
それがソウスケの予想だが万が一、万が一そうで無い場合があるかもしれない。

なので遠距離からの奇襲は行わず、とりあえず相手の姿が見えるまで普通に歩く事にした。
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