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三百四十五話 自信が持てる

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ゆっくりと、それでも着実に階層を下って行くソウスケ達。
探索中のダンジョンに生息するモンスターの攻撃には殆ど慣れ、奇襲を受けることが無くなった。

そして無事に最下層まで降りる事が出来、再び最下層のボスであるパラデットスコーピオンが構える部屋へと入る。

特に休憩する事無くボス部屋に入った三人だが、そこで前回とは部屋の様子が少し違う事に気が付く。

「もしかして俺達が来る前に他のパーティーが戦っていたみたいだな」

部屋は所々に傷跡があり、パラデットスコーピオンの体も傷らしい傷は見えないが、それでも傷が治った跡は見える。

「体は緑で尻尾は一本。ちゃんと通常種みたいだな」

「その様ですね。どう致しますか?」

パラデットスコーピオンは先程までの冒険者との戦いからいきなりソウスケ達に襲い掛からず、その場から動く事無く警戒している。

「いや、三人で叩く」

パラデットスコーピオンの上位種よりは威圧感を感じられない。ただそれでも油断をすれば一発で毒を盛られそうなことだけは理解出来た。

初撃はミレアナの風矢から始まる。
それを簡単に喰らうパラデットスコーピオンでは無いが、攻撃を弾く好きにソウスケとザハークが距離を詰め、逃がさないように攻撃を開始。

ザハークは正面からの連撃に時折水魔法を混ぜてパラデットスコーピオンの体を砕き、凹ませ、切断する。
ソウスケも基本的にやる事はザハークと変わりないが、パラデットスコーピオンが逃げる方に遠距離攻撃を混ぜて逃げ道を塞ぐ。

そこで怯んだ瞬間にミレアナの氷槍が放たれ、ザハークの水槍拳がぶち込まれる。

前回と同じように息つく暇もない連撃な事に変わりはないが、それでも三人の表情には余裕があった。
そして三分も経たない内にパラデットスコーピオンの命は尽きた。

「前回の上位種の強さが圧倒的だっからか、通常種にはそれほど恐怖心を抱かなかったな」

「そうですね。油断してはいけないそれは解っていますが、それでも余力を残して勝つ事が出来る相手でした。まぁ、個人で戦えばそう簡単にはいかないでしょうが」

「個人戦か・・・・・・今度はそれも良いかもな」

パラデットスコーピオンを相手に一人で勝てる様になれば確実に強くなった自信になる。
元々はあと一回だけパラデットスコーピオンに挑んで街を去ろうと考えていたが、もう少しこの街に居ても良いかと思い始めた。

(エアーホッケーの制作は順調、最初に造ると決めた数には既に届いている。でも俺があの街を離れてから商会にどれほどの依頼数が来ているのかは解らないから、もう少し造ってから戻った方が良いかもしれないな)

こうして今回倒したパラデットスコーピオンは蛇腹剣に食べさせ、宝箱を回収して地上へと戻った。

後日、連続でダンジョンに潜るのを控えているソウスケ達はバラバラで行動している。

組み合わせは少し珍しく、ソウスケが一人でミレアナとザハークの二人で行動している。
ただザハークに関してはミレアナに阿呆共が寄って来ない為のボディーガードとしての役割がある。
それだけの為に自分の予定に付き合わせるのは悪いと思い、美味い飯を食わせると約束した。

そして一人で行動しているソウスケは街の外に出て森の中に入っていた。

「・・・・・・ここら辺で良いか」

周囲に誰もいない事を確認してソウスケはパラデットスコーピオンの能力を蛇腹剣に反映させる。

「おおぉーーーー!! これは、中々に毒々しい見た目になったな」

刃は一本から三本へと変わり、白骨の柴骨と色を変え、刃からは見るかに有害な色をした液体が零れ落ちている。

「おいおい、マジかよ。地面が溶けちゃってるんだが」

流石にこのまま放置するのは駄目だと思い、なんとか液体を漏らさないようにコントロールする。
液体を止めることに成功したソウスケは早速訓練を始める。
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