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三百三十四話 まだまだ遊びたい年頃

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「またせたな、ザハーク」

「む、どうやら楽しめたようだな。俺もこいつらと楽しめたぞ」

ソウスケがレイナとよろしくやっていた間、ザハークはソウスケに教えて貰ったババ抜きと神経衰弱に大富豪の三種類のゲームで永遠と遊んでいた。

ルールはいたって簡単なので、従業員たちも直ぐに覚える事が出来、ソウスケ達の行為が終わる時間など一切忘れて楽しんでいた。

「今日はとても楽しい一夜だったわ」

「そう言って貰えて光栄だ。もう遅いから家まで送ってくよ。それともどこかに寄ってから帰るのか?」

もし途中でどこかに寄るならば時間的に送るのは辞めようかと考えるソウスケだが、特にこの後予定は無いレイナはソウスケの提案にのった。

「家まで送って行ってくれるのは嬉しいけど、お仲間が待っているんじゃないの?」

「さっきも同じ事を言ったかもしれないけど今日は完全に別行動なんだよ」

「そういえばそんな事を言ってた気がするわね。下世話かもしれないけど、お仲間の美人エルフさんにそういった興味は無いの?」

「・・・・・・無い訳じゃない、というか普通にあるよ。ただ、そういった関係になったら何かなぁ・・・・・・いつも通りにいられそうにない気がするんだ」

「その人の事ばかりを考えて仕事に集中できないとか?」

「そんな事は無い、と思いたい」

ソウスケはこの世界で特に誰かと今のところ恋人という関係を持ちたいとは思っていない。
なので、仲間であるミレアナとそういった関係になってしまった場合、責任を取らなければならないかもしれないという考えに至ってしまう。

(ミレアナは仲間としては最高だ。最近はしっかりと自分の意見を言うし、戦いの中でも背中を任せられる。ただ、ミレアナと恋人関係になりたいかと聞かれれば・・・・・・答えはノーなんだよな。今のところ)

ミレアナはずっと自分に着いて来るかもしれないと思っているソウスケ。
その考えは正しく、ミレアナはソウスケが死ぬまでずっと傍に居ようと考えている。

(ミレアナと〇〇〇みたいな関係を持つのはなぁ・・・・・・嫌だ。色々と嫌だ。ただ、冒険者間で仲間同士で恋人関係では無いのにそういった事をするのはどうなんだ?)

冒険者のそういった事情に疎いソウスケには全く予想が付かない。

(・・・・・・はぁーーーー。とりあえず一旦考えるのは止めよう)

思春期真っ盛りなソウスケとしてはこの世界で色事に関しては自由にやりたいと思っている。

「まだまだ盛りたい年頃なんだし、とりあえず二十歳までは遊んでみたらどうかしら? 男の人はそこまで結婚するのに年齢は気にしないでしょう」

「結婚とかは全くもって考えも想像もしてないけど、そんな感じで良いのか・・・・・・ザハークはどう思う?」

「俺はソウスケさんの私生活に口を出すつもりは無い。冒険者として適度に依頼を受け、金を稼いでいる。俺はその過程の冒険で満足している。ただ、ミレアナはソウスケといる時は幸せそうな顔をしていると思うぞ」

「そう、か」

ミレアナは今の生活に不満は持っていない。
それを知れてソウスケは安心する。

「ここが私が住んでいる宿よ」

「中々良いところ、なのか?」

そこまで多くの宿を見て来た訳では無いソウスケにとって目の前の宿が一般的な基準で良い宿なのかは解らなかった。

「この辺りの宿では良いところだと私は思ってる。それじゃ、送ってくれてありがとね。また会う時があれば、その時は楽しみましょう」

最後のソウスケの唇に自分の唇を重ね、レイナは宿の中へと入った。

「・・・・・・女ってこえ~~よな」

「その女と少し前まで楽しんでいたんじゃないのか?」

「まだ俺に耐性が無いからだろうけど、さりげない行動で男の動きを完全に止めるところが怖いんだよ」

「確かに完全に動きを止められると怖いな。ただ、ソウスケさんなら完全に動きを止められても、そこら辺の武器や低級魔法なら大した怪我を負う事は無いだろう」

ソウスケとは怖いと思う基準が違った。
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