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二百六十四話自然と気付く事

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「け、結婚したら基本的に遊ばない方が良いんですね」

「まぁ・・・・・・基本的にそうだろうな。他の貴族に弱みを見せる事に繋がるかもしれないし」

結婚後、基本的に遊ばない方が良い。
それは常識だろうとソウスケは思っているが、それでも若くて綺麗な女と遊びたくなるのが男の性かもしれないと思う時もある。

(だって、芸能人とか不倫や浮気をしてたら今の立場が危ぶまれる事ぐらい解ってるのにそういう事するもんな。プロポーズの後日に浮気とか。よくそんな事する度胸あるよな)

そんな事をする有名人を馬鹿だなぁと思いながら、そんな決定的瞬間を収めるパパラッチの事を同時に凄いとも感じたソウスケだった。

「情報屋って奴らもいるんだろ」

「はい。色々な職業の人間の弱みや秘密を握っていて、それを客に売って生活してる人達です」

「その情報屋にとったら家名が特定できる既婚者が歓楽街に来てるなんて今後売れるであろう好情報な筈だ。だから結婚した後はそこら辺考えて動けよ」

「・・・・・・そうですね。自分は長男じゃないですけど、一番上の兄に迷惑がかかるような事は避けたいですし」

長男だからしっかりとしなければいけない、次男三男だからそこまで努力する必要は無い、けどみっともない恥だけは見せない様にしなければならない。

一般庶民だったソウスケにはあまり解らない感覚だった。

「ん? さっきの少年達じゃねぇか」

「あっ、さっきはどうも。お陰様で良い思いが出来ました」

「そうかそうか。そりゃ俺も教えた甲斐があったぜ。二人はここを拠点にしてる冒険者なのか?」

ソウスケから情報料を貰い、お勧めの娼館や娼婦の情報を教えた男は近くの椅子に腰を下ろしてウェイトレスに酒を注文した。

「俺は違います。ここのダンジョンに用があったんで」

「自分はまだここから違う街に行ってみようとかは考えていません」

「へぇ~~~、じゃあ今日こうやって一緒に歓楽街に来ているのは偶然って事か?」

「・・・・・・そうですね。偶然といえば偶然ですね」

(俺からフォルスに頑張った褒美として歓楽街に連れて来た訳だが、ダンジョンの中で俺とフォルスが出会ったのは・・・・・・まぁ偶然だよな)

「そうなのか。黒髪の兄ちゃんはまだこの街にいるのか?」

「一応目的は達成したんですけど、もう少しダンジョンを探索しても良いかなって思って」

「ダンジョン探索なぁ。俺も偶に野良パーティーで潜ってるけど、日によって成果がまちまちなんだよなぁーーー。そっちの中々かっこいい少年はパーティーを組んでるのか?」

「はい。自分以外の二人とパーティーを組んでます」

スキルの書を渡した二人をソウスケは思い出し、スキルの書から習得出来るスキルを使いのなせるようになったのか少し気になった。

(つっても渡したのは盾術と命中が習得出来るスキルの書。命中に関してはおそらくスキルを任意で発動する事で効果が表れるんだろうけど、盾術に関しては実践あるのみだろうからな。ちゃんと教える人がいなかったら三日やそこらで使いこなせるようにはならないか?)

任意で直ぐに使えるようになる命中。しかしスキルレベルが上がるごとに出来る事が増えていくので、直ぐに使いこなす事はよっぽど才能がある者以外には不可能。

「二人か・・・・・・それはどっちも男か?」

「は、はい。どっちも男ですけど・・・・・・それがどうかしましたか?」

「いや、別に悪い事じゃないんだ。ただ片方が女だった場合この先もしかしたらの可能性はあるからな」

ソウスケは男の言葉を何となくだが理解した。

(・・・・・・あぁ、なるほど。恋の三角関係って奴か。う~~~~ん。確かにその女の子によってはそういう関係に発展しても可笑しくはないか)

それが原因でパーティーを恋に破れた男の方が去る・・・・・・そんな事も無きにしも非ずだなとうんうんと頷きながら思うソウスケ。

「まぁーーあれだぞ。恋愛するのは勿論個人の自由だが、それでパーティーの関係がゴタゴタする可能性もあるからそこら辺は気にしておいた方が良いぞ」

「わ、分りました。アドバイス有難うございます」

「はっはっは、気にすんな気にすんな。こんなのアドバイスでもなんでもねぇよ。冒険者を数年やってれば自然と気付く事だ。けどまぁ・・・・・・そういった事でちょっと大事になった問題もあるからな」

やっぱり恋愛って難しい物だとソウスケは男の言葉を聞いて感じた。
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