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二百十八話馬鹿な真似はするな

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地上へ戻る前にザハークに顔を隠せるロープを着せた為、あまり騒がれる事は無かった。

いくら従魔といえどゴブリンは基本見る者に良い感情は与えない。
他にも理由は幾つかあるのだが、それらを理由に他のパーティーと手を組むのは避けようとソウスケは考えていた。

地上へ戻ったソウスケ達はやはり周囲から視線を集めるが、初日に比べればその数はかなり減った。
そしてザハークにギルドの表に待つように指示をして中へと入る。

時間は丁度午後を夕方と言える時間帯で依頼を終えた冒険者達がかなりいる。
そのため外で歩いている時以上に視線が集まる。
視線の種類は主にソウスケへの嫉妬とミレアナへの欲望の籠ったもの。

それらの視線にはある程度慣れて来た二人は特に表情を変える事無く受付の列へと並び、依頼の完了を伝える。
依頼達成の報酬を貰った二人はザハーク様に必要な従魔の首飾りを受付嬢に申請する。

その時に受付嬢は従魔の首飾りを渡すのは構わないが、出来ればモンスターの詳細を教えて欲しいと申し出て来た。

(ここでザハークの事を話したら悪い意味で目立って絡まれそうだから教えるメリットは無しだな)

ソウスケはミレアナへ目で合図を送り、それをミレアナがそのまま受付嬢へ伝える。

「申し訳ありませんが従魔の詳細を話しても私達やギルドにとって特にメリットがある訳では無いので、従魔の詳細は伏せさせて貰います」

「あ、あの・・・・・・一応規則なので教えて貰えるとこちらとしては有難いのですが・・・・・・」

規則という言葉を聞き、ミレアナは自分の判断で解決してはならないと思い、ソウスケに指示を仰ぐ。
ソウスケも規則と言われれば仕方がないと思い、言葉には出さず紙に書いて詳細を教えろと指示を出す。

受付嬢からペンと紙を借り、ザハークの詳細を書き出す。
そしてミレアナが書き終えた紙に受付嬢が目を通すと、モンスターの種族名を見た途端に目を大きく見開きミレアナの方を見る。

「何も問題は無いですよ。紙に書いた通りなので」

「そ、そうですか。解りました、少々お待ちください」

数分後、受付嬢が持ってきたホブ・ゴブリンの体格に合う従魔の首飾りを受け取り、受付嬢から従魔も一緒に止める事が出来る宿を教えて貰ってから二人はギルドを出ようとする。

しかしそんな二人に絡もうとする冒険者がいない訳無く、座っていた椅子から立ち上がり二人の元へ向かおうとするが、それは一人の冒険者によって止められる。

「おうてめぇら、今何しようとしてんだ」

「じ、ジーラスの旦那」

「おい、質問に答えろよ。今何をしようとしたんだぁ」

「そ、それは・・・・・・」

ソウスケ達へ絡もうとした四人の冒険者達のランクはD。対してジーラスのランクはBランク。
例え四対一で戦ったとしても四人に勝ち目はない。実力と潜り抜けて来た修羅場の数が違い過ぎる。

「もしかしてあの少年が綺麗なエルフの姉ちゃんと一緒にパーティーを組んでるのが気に入らないからって理由で、あの二人に絡みに行こうとしたんじゃねぇよなぁ?」

ジーラスの言葉に四人組の冒険者以外にもソウスケ達へ絡みに行こうとしていた冒険者達は図星を突かれ、肩を震えさせた。
そんな情けない男の同業者たちを見て、女の冒険者達はやれやれといった表情で男達に冷たい視線を向けている。

「一度だけしか言わねぇからな。ガキみたいな動機で馬鹿な真似はするな。解ったな?」

決して大きな声ではないが、重みのある声に四人は顔を何回も縦に振る。
用が済んだジーラスはその場から離れて元居た席へと戻る。

(あの二人の従魔か・・・・・・正直気になると言えば気になるな。ただあの様子だと自身達の実力と同様にあまり周囲に知られたくはないみたいだな)

ソウスケ達と敵対したいとは思っていないジーラスは無理に訊くと言う選択肢は捨て、一先ず仲間が集合場所であるギルドの酒場に来るのを待った。
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