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百七十二話使い捨てのつもりが

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コボルトキングの肉で作ったハンバーグを食べ終えた日から数日後、二人は街の鍛冶屋に向かってコボルトの上位種の牙や爪を使って短剣を多数、鉤爪を一つ。
そしてコボルトキングの牙や爪をを使ったグラディウスを二つ作って貰った。

鍛冶師の男性は三十代後半であり、ソウスケを見ても侮るような態度を取らずしっかりと客として対応した。
そしてソウスケから武器の素材として使って欲しいと言われた物を見て、代金はお金でなく武器の素材として使われる牙や爪にしてくれないかと頼む。

ソウスケとしてはどちらでも良かったので、男性が武器を作り終えてから代金の代わりとしてコボルトキングの牙や爪を数本、上位種の牙や爪を数十渡す。

「・・・・・・悪いな、代金の代わりとはいえこんなにたくさん貰って」

「いや、おっちゃんはしっかりと仕事をしてくれたんだから正当な報酬だと俺は思いますよ」

鑑定でグラディウスや短剣、鉤爪を調べた結果。ランクは四や五が殆どであり、二つにグラディウスに限ってはランク六と高水準の出来にソウスケはとても満足だった。

(鍛冶師にあったのはこの人が初めてだけど、たぶんかなりの腕だよな? この人の力量を考えれば俺が渡した報酬は結構妥当だろうな。本当は短剣なんて使い捨ての武器として扱うつもりだったんだけど、この出来栄えを見るとそんな粗末に扱う事は出来ないな)

ミレアナも短剣やグラディウスを手に取り、ソウスケの様に鑑定のスキルを持ってはいないが一目で使い捨てて良い武器ではないと理解した。

鞘も本数分貰った二人は鍛冶師に体を九十度に折って感謝の言葉を伝えた。
鍛冶師はそんな二人の対応に照れくさくなり、頬をかきながら、こちらこそ良い武器を作らせてくれて有難う、と伝える。

そして二日後、二人は一緒に商人の護衛をする二つのパーティーと顔を合わせる為にギルドへ向かっていた。

「・・・・・・・・・・・・」

「どうしたんですかソウスケさん。物凄く不機嫌な顔になっていますけど」

これから二つのパーティーと・・・・・・正確にはランクが自分よりも高く、先輩冒険者達と会う表情では無いとミレアナは思う。
ソウスケの事だから対面する頃にはポーカーフェイスで感情を隠しているだろうが、それでも少し心配になる。

「なんというか・・・・・・ほら、ミレアナは普通に顔大人というか、大体容姿が二十代ぐらいに見えるだろ。人族基準で」

「そう・・・・・・ですね。実年齢はもっと上ですが、見た目はそれぐらいだと思います」

ミレアナはそこまで多くの人族を見て来た訳では無いので明確な基準は分からないが、ギルドの受付嬢などの綺麗どころを見た感じ、大体同じレベルの容姿だと判断した。

「それに比べて俺は身長はそこまで小さくは無いけど顔がな・・・・・・なんというか、野性味がないんだよな」

ソウスケの容姿は世間一般の平均と比べると中より上であり、決して悪くは無い。
ただ男らしい容姿・・・・・・かと言えばそうでは無く、若干可愛いよりなのでしっかりと武器や防具を装備していなければ冒険者には見えない。

「あまり容姿どうこうで突っかかってこない人たちなら良いんだけど、俺の方がランクは低いから絶対に一悶着ある気がするんだよな」

「そ、そうですか」

ミレアナ自身、ソウスケの容姿があまり野性味があるようなタイプではないと思っているので、否定する事は出来なかった。

「しかし、本当に何かあった場合どうしますか?」

「そうだな・・・・・・取りあえず、一回目は警告だけ。二回目は一部を斬るか砕く。三回目は・・・・・・殺すのは不味いだろうから、二度と冒険者活動が出来なくなるような怪我? とかで良いんじゃないか」

「分かりました。・・・・・・ソウスケさん、無いとは思いますが一回目で重傷を負わせるような事はしない方がいいですよ」

「・・・・・・だな。簡単にキレない様に頭冷やしておくよ」

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