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二十三話期待のルーキーに対して不安だらけ?

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解体士達が、勢いよく作業に取り掛かるのを見たソウスケは、もう自分は必要ないなと思った。

「えっと・・・・・・それじゃぁ、自分はもう必要なさそうなんで、戻っても良いですか?」

「そうですね。後はこちらに任せてください。それと、倒されたモンスターについてなんですが、後今ある量の三分の一程で合ってますか?」

残りの量について質問されたソウスケは、そうですと、答えてしまいそうになったが、最下層のワイバーンを思い出し、言い直した。

「そ・・・・・・、えっとですね。一体だけかなり体が大きいモンスターがいます。あーーーでも、そこまで大きくはないんで安心してください」

もの凄い良い笑顔で安心してくださいと言ったソウスケだが、セーレはその笑顔が逆に不安だった。

「・・・・・・分かりました。取りあえず今回、解体するモンスターについて話は明後日にしたいと思いますので、明後日の・・・・・・そうですね、お昼頃に来てもらっても良いですか?」

「? 分かりました。明後日のお昼頃ですね」

ソウスケは、何故明日ではなく、明後日なのか疑問に思ったが、解体した後にまた色々確認しなければならないんだろうと予想し、勝手に納得した。

「それじゃぁ、僕は戻りますね。後はお願いします」

「ええ、任せてください。ソウスケさん、無理しない範囲で冒険してくださいね」

「セーレちゃんの言う通りだぞソウスケ、若いうちに出来ることはやっておくもんだぞ。しっかり冒険して来い!!!」

「はい!!!」

セーレとガンディスの言葉の中の、冒険という部分に高揚したソウスケは、元気よく返事をしてから解体所から出て行った。

ソウスケが元気よく出て行く様子を見たガンディスは大きくため息を吐いた。

「はぁ~~~~~、確かに期待のルーキーが現れたみたいだが・・・・・・あいつはそんな言葉で収まらないと思うんだがな。セーレちゃん、あいつの持っているスキルは幾つなんだ?」

「用紙上は五つですね。今六つに増えましたが、おそらくは・・・・・・」

解体士達に続々と解体されているモンスターを見ながら、セーレは少し言葉を濁した。

「俺の見る目が狂ってなければ、おそらく十・・・・・・いや、二十ぐらいはあってもおかしくはない」

「っっっ!!?? そんなには・・・・・・いえ、ソウスケ君ならそれだけ持っていてもおかしくは無さそうですね。ダンジョンのモンスターをこんなに、これ以上の数を一人で倒したんですからね。ただ・・・・・・少し彼のこの先が不安ですね」

「・・・・・・俺も同意見だ」

(ソウスケの奴はパッと見じゃ、ある程度実力があるようには見えない。あいつがまだ幼く、外見的に見えないってのもあるが、それだけじゃない。あいつには確かな強さがある。だが、ある程度強さを持っている奴からでる風格・・・・・・って言えばいいのか? そういった物が感じられない。俺もパッと見じゃあいつの強さを把握出来なかったからな。だからある程度実力が把握できる奴でも、あいつの力を見誤るかもしれねぇ。まぁ、まだそこら辺は良いんだが。問題はあれだな)

ガンディスは、モンスター達の死体の状態を見ながらセーレに声を掛けた。

「セーレちゃん。ソウスケのアイテムボックスのスキルは・・・・・・」

「ガンディスさん思っている通り、中の時間が止まっているという可能性は、十分にあると思います」

「そうだよな・・・・・・」

もう一度モンスターの死体の状態を見ながら、ガンディスは難しい顔をした。

「もしこの事が知れたらどうなると思う」

「間違いなく強欲な冒険者が、商人が、貴族が、下手をしなくても国が動く可能性だってあります」

セーレの答えを聞いて、ガンディスはもう一度大きくため息を吐いた。

(セーレちゃんの言う通りだな。間違いなく強欲なバカどもが動く。俺らの国の王様はそんな事はしないとは思うが、冒険者、商人、貴族はそうもいかないはずだ。絶対にソウスケの事を狙うクソ野郎が出るはずだ。いや、それもそれで問題だが、肝心なのはそこじゃない。ソウスケがそう言ったアホ共にどう対処するかだ。見た感じ、田舎から出てきた少年って感じだ。用紙に嘘をついてスキルを五つって書くところを見ると、頭が回らないわけではないようだが・・・・・・俺の直観が正しければ、あいつは自分に襲い掛かって奴に容赦する気は全く無い気がする。俺の知り合いに、国を相手に歯向かう奴はいなかったが、貴族に理不尽な理由で襲われ、結果逆に返り討ちにして、その貴族を殺した奴がいた。そいつとソウスケは見た目、雰囲気は全く似ていないが。なんていうか、芯があるところが似ている気がする。あぁ~~~、考えるだけで頭が痛くなってくるな。ソウスケの見た目がもう少し威圧感がある感じだったら、まだそういったことを防げたかもしれないんだがな)

ソウスケのこれから巻き込まれるかもしれない未来に対して、深く考え込んでいたガンディスにセーレが安心させるように声を掛けた。

「そこまで心配しなくても大丈夫ですよガンディスさん。ソウスケさんには人前でアイテムボックスを使うのはBかAランクになってからにした方が良いと、忠告しておきましたから。ソウスケさん自体、目立ちたいわけでもないそうですし、心配しなくても大丈夫ですよ。それに・・・・・・冒険者をやっていた者としての感ですけど、ゼルートさんは予想外の切り札を持っている、そんな気が私はします」

「そうか、なら大丈夫そうかもな。・・・・・・いや待てよ、そんだけの力を持っていたら、大きな権力を持つ奴とぶつかった時、余計にまずいことにならないか?」

「・・・・・・確かにそうかもしれません」

二人はそろって大きなため息を吐いた。
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