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今のところ空振り三振
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(もしかしたら、割と複雑な事情から原動力がきてるのかと思ってたんだけど、まさか失恋して……その結果、強くなればモテるようになるから、っていう原動力に行き着いたとはね…………超優秀な冒険者であることに変わりはないけど、子供らしくて可愛いところもあるんだね)
ティールから今よりも幼い頃の原動力を尋ねたジェンは、その内容を聞いて笑うことはなかったが、それでも本当に予想外な理由であり、多少驚いていた。
「そう思って冒険者になって一年と少しってところか。どうだい、良い人は見つかったかい?」
「……冒険を始めて、半年ぐらいは初めて村から出たということもあって、そういう出会いに一喜一憂することが何度もありました。ただ……こう、全員相手がいたと言いますか」
「既にパートナーがいたのかい?」
「パートナー……とまではいかないですね。ただ、付き合ってるとは明言してないけど、俺から見ても互いに心の奥底では想い合ってるんだろうな~って幼馴染の男女。五つぐらい? 歳上の女性冒険者の事を気になったこともあったんですけど、街で仲良くなった歳が近い男の子の冒険者がその人に憧れてて……後、直ぐにこれは恋愛感情とは違うって解ったんですけど…………そこそこ歳上の方を気になったこともありました」
「なるほど…………うん、初めて多くの人と出会っていけば、そうなるものだろうね」
ある程度の内容まで赤裸々に語ってくれたことに対し、ジェンは割と自分はティールからの信用を得ている? と思い、それは嬉しいなと思うと同時に、これまでの子供なのに大人に近い考えなどを持っているイメージから離れているところもあると知り、そういう部分もあったのだと勝手にホッとしていた。
「けど、そうなると……アキラさんと現在、固定でパーティーを組んでるのは、ティール君としては珍しいこと……なのかな」
「まぁ、そうですね」
(……一度フラれて、でも互いに仲は良い? から行動は続けてるって感じかな)
ティールの表情から何故か嬉しさよりも哀愁を感じ、一瞬である程度の事情を察したジェン。
(まぁ、仮にティール君が本気で同世代の女性冒険者を好きになって、告白して付き合うことになってそのままパーティーを組んでも……戦力としては、足を引っ張ることになるだろうから、アキラさんぐらいの実力がないと色々と厳しいのかな)
ティールは前衛をこなせる上に、超有能な移動砲台として活躍出来る。
そして完全に固定でパーティーを組んでいるラストは、頼れる高火力持ちの前衛。
いざという時にはタンクにもなれる、ティールの頼れる仲間。
そこに割って入るとなると、超優秀な弓使いか優れた回復魔法を持つヒーラーしかいない。
ただ、大前提としてそこに最低限の自己防衛が出来るという条件が付けくわえられる。
ティールだけではなくラストもまだ歳若い冒険者ではあるが、それほどまで彼等は優れた戦闘力を有しており、戦闘価値が高い。
「……これからも、積極的にそういう人を探していくのかい?」
「まぁ、その………………そうですね。不純ですけど、元々それが目標みたいなところがありましたから。ただ、こう……今の自分に近寄ってくる人は、まず疑ってしまうかもしれないと言うか」
「そうか……そうだね。正直なところ、そんな事しなくても大丈夫だよ、とは言えないね」
現在、ティールの冒険者ランクはB。
数多くいる冒険者たちの中でも、一握りの者たちしか到達できないランク。
そんなランクに、ティールはまだ十五歳以下という年齢で到達。
優良物件……という言葉では生温いほどの将来性を持っている。
(確か、まだ十五歳にもなっていないんだったよね……そうなると、女性冒険者たちからモテるだけじゃなくて、まだ婚約者たちがいない貴族令嬢たちからラブコールが来てもおかしくないね…………強者の宿命ではあるかもしれないけど、この年齢でそこまで考えなきゃいけないのは、かなり酷だね)
ティールは農村出身の冒険者……平民である。
ずっと過去まで遡れば可能性はあるかもしれないが、ここ何世代かは全く貴族の血が入っていない。
だが、冒険者として活動を始めてからティールは何人かの貴族と関わってきた。
基本的に良い印象を持たれていることもあり、少しずつティールの名前は貴族界隈にも広まりつつあり……今後、本当にティールとジェンが考える通りの試練が襲いかかる……かもしれない。
ティールから今よりも幼い頃の原動力を尋ねたジェンは、その内容を聞いて笑うことはなかったが、それでも本当に予想外な理由であり、多少驚いていた。
「そう思って冒険者になって一年と少しってところか。どうだい、良い人は見つかったかい?」
「……冒険を始めて、半年ぐらいは初めて村から出たということもあって、そういう出会いに一喜一憂することが何度もありました。ただ……こう、全員相手がいたと言いますか」
「既にパートナーがいたのかい?」
「パートナー……とまではいかないですね。ただ、付き合ってるとは明言してないけど、俺から見ても互いに心の奥底では想い合ってるんだろうな~って幼馴染の男女。五つぐらい? 歳上の女性冒険者の事を気になったこともあったんですけど、街で仲良くなった歳が近い男の子の冒険者がその人に憧れてて……後、直ぐにこれは恋愛感情とは違うって解ったんですけど…………そこそこ歳上の方を気になったこともありました」
「なるほど…………うん、初めて多くの人と出会っていけば、そうなるものだろうね」
ある程度の内容まで赤裸々に語ってくれたことに対し、ジェンは割と自分はティールからの信用を得ている? と思い、それは嬉しいなと思うと同時に、これまでの子供なのに大人に近い考えなどを持っているイメージから離れているところもあると知り、そういう部分もあったのだと勝手にホッとしていた。
「けど、そうなると……アキラさんと現在、固定でパーティーを組んでるのは、ティール君としては珍しいこと……なのかな」
「まぁ、そうですね」
(……一度フラれて、でも互いに仲は良い? から行動は続けてるって感じかな)
ティールの表情から何故か嬉しさよりも哀愁を感じ、一瞬である程度の事情を察したジェン。
(まぁ、仮にティール君が本気で同世代の女性冒険者を好きになって、告白して付き合うことになってそのままパーティーを組んでも……戦力としては、足を引っ張ることになるだろうから、アキラさんぐらいの実力がないと色々と厳しいのかな)
ティールは前衛をこなせる上に、超有能な移動砲台として活躍出来る。
そして完全に固定でパーティーを組んでいるラストは、頼れる高火力持ちの前衛。
いざという時にはタンクにもなれる、ティールの頼れる仲間。
そこに割って入るとなると、超優秀な弓使いか優れた回復魔法を持つヒーラーしかいない。
ただ、大前提としてそこに最低限の自己防衛が出来るという条件が付けくわえられる。
ティールだけではなくラストもまだ歳若い冒険者ではあるが、それほどまで彼等は優れた戦闘力を有しており、戦闘価値が高い。
「……これからも、積極的にそういう人を探していくのかい?」
「まぁ、その………………そうですね。不純ですけど、元々それが目標みたいなところがありましたから。ただ、こう……今の自分に近寄ってくる人は、まず疑ってしまうかもしれないと言うか」
「そうか……そうだね。正直なところ、そんな事しなくても大丈夫だよ、とは言えないね」
現在、ティールの冒険者ランクはB。
数多くいる冒険者たちの中でも、一握りの者たちしか到達できないランク。
そんなランクに、ティールはまだ十五歳以下という年齢で到達。
優良物件……という言葉では生温いほどの将来性を持っている。
(確か、まだ十五歳にもなっていないんだったよね……そうなると、女性冒険者たちからモテるだけじゃなくて、まだ婚約者たちがいない貴族令嬢たちからラブコールが来てもおかしくないね…………強者の宿命ではあるかもしれないけど、この年齢でそこまで考えなきゃいけないのは、かなり酷だね)
ティールは農村出身の冒険者……平民である。
ずっと過去まで遡れば可能性はあるかもしれないが、ここ何世代かは全く貴族の血が入っていない。
だが、冒険者として活動を始めてからティールは何人かの貴族と関わってきた。
基本的に良い印象を持たれていることもあり、少しずつティールの名前は貴族界隈にも広まりつつあり……今後、本当にティールとジェンが考える通りの試練が襲いかかる……かもしれない。
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