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伐採
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「はぁ、はぁ…………」
「お疲れ様、ラスト」
最初のラミア戦から始まり、既に五戦以上殆ど一人で戦っていた。
短時間で終わった戦いもあったが、魔力や体力を温存して戦っていた訳ではなく、確実に疲労が溜まっていた。
「あぁ……ありがとう、マスター。アキラ」
「礼なら、さっきも聞いたぞ」
「それでも、だ」
ラストが倒し終えたキラータイガーの死体を回収。
すると……ラストが怒り狂って斬り倒していた石柱が地面に沈んでいき、元の状態に戻った。
そして、トラップを突破した褒美である宝箱が……出現しなかった。
(えぇ~~~~~、まだ終わってないの?)
その通り。
まだ試練は続いており、今度は石柱ではなく木々が生え始めた。
「やってられるかって話だよね」
ある程度木々が生えた時点で、ティールは疾風瞬閃を抜いて斬撃刃を放った。
そこら辺に生えている木々よりは丈夫であるものの、疾風瞬閃から放たれた斬撃刃に耐えるほどの耐久力はなく、あっという間に切り株だらけになった。
「……アキラ、もしくはマスター。戦るか?」
「良いのか?」
「あぁ。俺はもう……十分戦わせてもらった」
決して、最後に現れたモンスターが特にタイプのモンスターではなかったから譲る、というわけではない。
「では、私が戦ろうか。いいか、ティール」
「えぇ。やっちゃってください」
「…………」
最後に現れたモンスターは、エルダートレント。
Bランクのモンスターであり、以前アキラがティールたちと一緒に戦ったことがある強敵。
当然ながら、前回戦った個体よりもあらゆる面で上をいっている。
そんな強敵であるエルダートレント……目の前の光景に、木の怪物という生物上、虫系モンスターと同じく感情はないに等しいのだが、ダンジョンから戦略を授かっていたこともあって……目の前の状況は、いったいどういう状態なのかと疑問符が大量に浮かび上がる。
戦場には大きくの木々が存在する。
それを吸い取れば、体の再生も魔力の回復も容易に行える。
無限にも思える戦闘時間で探索者たちの体力も魔力も、道具まで全て削り切る。
ゆっくりとゆっくりと地獄を見せる筈だったにもかかわらず、何故か目の前にたちょっとした森ではなく、切り株だらけの状態となっていた。
「お前の相手は私だ。さぁ……戦ろうか」
さぁ、戦ろうか。ではない。
何故か目の前は大量の木々ではなく、大量の切り株であり、切断されて転がっている木々を一人の人間が次々に回収しており、もう一人の人間が切り株をどんどん引っこ抜いている。
トレントやエルダートレント、フォレストゴーレムなどにとって、自身が傷付いていれば、魔力が不足していれば木々が持つ生命力を吸収して回復することが出来る。
つまり……逆に言えば、自身が消費していたり傷付いていなければ、木々が存在する意味は殆どない。
「よそ見しているのか?」
「ッ!!??」
迫る斬撃刃をギリギリで反応し、数本の枝を犠牲にすることで致命傷には至らなかった。
「しっかりしてほしい。私は……お前というモンスターと再び遭遇できたことを、幸運だと思っているのだから」
以前エルダートレントと戦った際、アキラはティールたちと共に戦った。
Bランクモンスターの中でも、非常に手数に優れた個体であることを考えれば、アキラという実力者であっても他者と協力して戦うことは全くおかしいところはなく、寧ろ当然。
それはアキラも理解しているが……それでも、あの時よりもティールたちと共に行動し始め、強くなった自信がある。
「だから、本気で戦ってくれ。頼むぞ」
それが、最終警告であった。
前回戦った個体より強い。それは本能が理解していた。
だからこそ、余裕ぶっこいていれば返り討ちに合い、ティールたちの手を借りることになる。
再度、地面をも切り裂く斬撃刃が放たれ、エルダートレントはようやくアキラとの戦いに集中し始めた。
「お疲れ様、ラスト」
最初のラミア戦から始まり、既に五戦以上殆ど一人で戦っていた。
短時間で終わった戦いもあったが、魔力や体力を温存して戦っていた訳ではなく、確実に疲労が溜まっていた。
「あぁ……ありがとう、マスター。アキラ」
「礼なら、さっきも聞いたぞ」
「それでも、だ」
ラストが倒し終えたキラータイガーの死体を回収。
すると……ラストが怒り狂って斬り倒していた石柱が地面に沈んでいき、元の状態に戻った。
そして、トラップを突破した褒美である宝箱が……出現しなかった。
(えぇ~~~~~、まだ終わってないの?)
その通り。
まだ試練は続いており、今度は石柱ではなく木々が生え始めた。
「やってられるかって話だよね」
ある程度木々が生えた時点で、ティールは疾風瞬閃を抜いて斬撃刃を放った。
そこら辺に生えている木々よりは丈夫であるものの、疾風瞬閃から放たれた斬撃刃に耐えるほどの耐久力はなく、あっという間に切り株だらけになった。
「……アキラ、もしくはマスター。戦るか?」
「良いのか?」
「あぁ。俺はもう……十分戦わせてもらった」
決して、最後に現れたモンスターが特にタイプのモンスターではなかったから譲る、というわけではない。
「では、私が戦ろうか。いいか、ティール」
「えぇ。やっちゃってください」
「…………」
最後に現れたモンスターは、エルダートレント。
Bランクのモンスターであり、以前アキラがティールたちと一緒に戦ったことがある強敵。
当然ながら、前回戦った個体よりもあらゆる面で上をいっている。
そんな強敵であるエルダートレント……目の前の光景に、木の怪物という生物上、虫系モンスターと同じく感情はないに等しいのだが、ダンジョンから戦略を授かっていたこともあって……目の前の状況は、いったいどういう状態なのかと疑問符が大量に浮かび上がる。
戦場には大きくの木々が存在する。
それを吸い取れば、体の再生も魔力の回復も容易に行える。
無限にも思える戦闘時間で探索者たちの体力も魔力も、道具まで全て削り切る。
ゆっくりとゆっくりと地獄を見せる筈だったにもかかわらず、何故か目の前にたちょっとした森ではなく、切り株だらけの状態となっていた。
「お前の相手は私だ。さぁ……戦ろうか」
さぁ、戦ろうか。ではない。
何故か目の前は大量の木々ではなく、大量の切り株であり、切断されて転がっている木々を一人の人間が次々に回収しており、もう一人の人間が切り株をどんどん引っこ抜いている。
トレントやエルダートレント、フォレストゴーレムなどにとって、自身が傷付いていれば、魔力が不足していれば木々が持つ生命力を吸収して回復することが出来る。
つまり……逆に言えば、自身が消費していたり傷付いていなければ、木々が存在する意味は殆どない。
「よそ見しているのか?」
「ッ!!??」
迫る斬撃刃をギリギリで反応し、数本の枝を犠牲にすることで致命傷には至らなかった。
「しっかりしてほしい。私は……お前というモンスターと再び遭遇できたことを、幸運だと思っているのだから」
以前エルダートレントと戦った際、アキラはティールたちと共に戦った。
Bランクモンスターの中でも、非常に手数に優れた個体であることを考えれば、アキラという実力者であっても他者と協力して戦うことは全くおかしいところはなく、寧ろ当然。
それはアキラも理解しているが……それでも、あの時よりもティールたちと共に行動し始め、強くなった自信がある。
「だから、本気で戦ってくれ。頼むぞ」
それが、最終警告であった。
前回戦った個体より強い。それは本能が理解していた。
だからこそ、余裕ぶっこいていれば返り討ちに合い、ティールたちの手を借りることになる。
再度、地面をも切り裂く斬撃刃が放たれ、エルダートレントはようやくアキラとの戦いに集中し始めた。
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