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似合わないなりの強さ

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「ティール、オーガにメイジって、中々に似合わないと思わないか」

「同感です。後、アーチャーも超似合わないと思います」

複数のツインヘッドベアーの遺体回収後、今度は四体の上位種オーガが出現。

ナイト、タンク、メイジ、アーチャーと冒険者の様な構成で現れた四体は……これまでダンジョンに訪れた冒険者たちの動きから学んだのか、本当に冒険者たちの様なパーティー連携でラストを攻める。

後衛であるアーチャーとメイジには竜人族の奥にいる二人の人族を狙うという手段もあるのだが、モンスターとしての本能が、まずは全力で竜人族の男を狙って潰さなければならないと叫んだ。

「弓は……弦の張り? が強ければ強いほど速さと飛距離が増すので、オーガの筋力があればと思いますけど、メイジは…………本当にちょっとどうなのかなと思ってしまいますね」

魔力量は少なくないものの、Cランクの中で特別多い部類ではない。
メイジという上位種に進化すればそれなりに増えるものの、結局はそれなりといった程度。

現状では派手に動きながら攻撃魔法は放っておらず、魔法砲台の様な活躍も見せていない。

「……いや、見方によっては魔法が使えなくなっても、凶悪な身体能力を持つファイターとして戦うことも出来る……のか?」

「なるほど。油断の突き方としては、良いやり方ですね」

自身の考えに同意したティールに視線を向け……アキラは再度、離れた場所から攻撃魔法を発動しているオーガに目を向ける。

(………………そうだな。悪くはないのだろうな。ただ…………直ぐ傍にそれが可能な上位互換と言える仲間がいると、どうしても存在感が霞んでしまう)

実際のところ、メイジが魔法を撃てなくなった瞬間、チャンスだと思って飛び出した前衛冒険者が堅い拳を腹に食らって返り討ちにあったという例が存在する。

そういった例もあり、似合う似合わないは置いておき、魔法を扱えるオーガというのは非常に厄介な存在であるのは間違いなかった。

だが……そんなオーガの攻撃魔法は、まだラストに一撃も直撃していなかった。

「……疾ッ!!!」

「ヌガっ!!??」

そしてタイミングを見切って放たれた斬撃が、オーガナイトの脚を深く斬り裂いた。

切断こそしなかったものの、ラストの斬撃は脚の骨まで届いていた。

「ガァアアアアアアッ!!!!」

「フンッ!!!!!!!!」

オーガタンクは次に飛来する攻撃からナイトを守るのではなく、大盾を使ってラストを吹き飛ばすという攻撃を選択。

これまた上手く不意を突く一手ではあったが、なんとなくそういった選択を取るだろうと予想していたラストは一旦牙竜を地面に突き刺し……迫る大盾に向かって、渾身の正拳突きをぶちかました。

「「ッ!!!!!!!!」」

一瞬……拮抗したのはほんの一瞬であり、大盾を持ったオーガが敗北。
大盾にはラストの拳跡が刻まれ、後方に吹き飛ばされた。

「っ!!??」

その直後、反応が遅れたアーチャーは吹っ飛んできたオーガタンクに激突。

「ふっ!!! ッ、破ッッッッッ!!!!!!!!」

アーチャーはタンクのシールドタックルとラストの正拳突きが激突した瞬間には、数本の矢を同時に放っていた。

ラストはそれらを躱し、突き刺していた牙竜を引き抜き、なんとか弾き飛ばした。
そんなナイス反応に被さる様に……超巨大な火球が迫っていた。

見事な連携に多少驚くも、気合で自身を一喝し……超巨大火球を越え、その先のオーガメイジを斬り裂く一刀を放った。

「ッ!!!!! ッ、ギ、ァ……」

魔力が切れたとしても、オーガとしての凶悪な身体能力が残っている。
加えて、オーガメイジが持っていた杖は打撃用にも使える頑丈な作りとなっている。

そのため、魔力の大量消費による避けられない疲労によって回避できずとも、迫る斬撃刃に対抗できる手段はあったものの……それと弾ける、耐えられるかはまた別問題。

「最後は、弓使いだけだな」

「ゥ、ウガアアアアアッ!!!!」

さすがに弾き返された仲間にぶつかって死ぬほど脆くはなく、まだまだ体を動かせる状態であったアーチャーだが、気付いた時には仲間たちが半壊状態。

焦りを感じるも、剛矢を放つが……そこには先程までの精度がなかった。

「っ!? ァ、ガ……」

片足が殆ど動かせなくなろうとも、力を振り絞って背後から斬り掛かろうとしたナイトに、剛矢が突き刺さる。

やってしまった……アーチャーがそう思った時には、首元に刃が迫り、ナイトが逝った場所と同じところに連れていかれた。
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