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全体で見ても、トップクラス

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「ふっふっふ……マスター、今度は俺一人で戦っても良いだろう」

「そうだね。それじゃあ、俺たちは周囲を警戒しておくから、存分に戦って良いよ」

主人から許可が出してもらったラスト。
嬉々とした笑みを浮かべながら、目の前のモンスターに向かって駆け出す。

「……ティール。次あのモンスターと遭遇することがあれば、今度は私が一人で戦っても良いか?」

「えぇ、勿論良いですよ」

現在の時刻は昼過ぎ頃……昼食を食べ終えてから数十分後にティールたちが遭遇したモンスターは、ディレッドビートル。

そう、以前偶々三人が滞在している街を襲撃した大型の昆虫モンスター。

「ありがとう。しかし、あの火を扱うタイプのモンスターがいるとはな……木々に燃え移ったら、大火事になるのではないか?」

「ん~~~……普通の林、森ならそうかもしれませんけど……この樹海という場所に生えてる木々は、あまり火が移っても燃え広がることはないタイプじゃないでしょうか」

「ふむ、そういうタイプの木々か。であれば、ティールも遠慮せずに火や雷の魔法を使えるな」

「そうですね。まぁ、あまり遠慮なさ過ぎる火力の攻撃魔法は使わない方が良さそうですけど」

ティールの主な戦闘スタイルはロングソードを使う、もしくは疾風瞬閃と豹雷を使用した接近戦スタイル。

だが、元々それなりの魔法の才を持っており、モンスターが持っていたスキルを奪い……後衛職としても十分な戦力を有している。

「そういえば、アキラさんは二刀流というスタイルで戦おうとは思わないんですか?」

「……二刀流か。正直なところ、憧れている部分はある。私の兄は、二刀流を修めている。親戚の叔父も同じく……だからこそ、昔は密かに訓練をしていたが、これがまた難しくてな」

「刀、という武器だからこそ難しそうですね」

疾風瞬閃と豹雷の二刀流で戦うことがあるティールだが、アキラとはやや戦闘スタイルが異なることもあり、ティールだからこそ成立しているところがある。

「でも……そうだな。こちらに居る間に、修めたいものだ」

「…………それなら、実戦あるのみですね」

こちらに居る間。
その言葉を聞いて、ティールは改めてアキラとはずっと共に冒険出来る訳ではないと思い知らされた。

(運、って言って良いのか解らないけど、俺って結構そういう運はないよな~~~…………そういえば、ミレットの奴はちゃんとレントの心を掴めてるのかな?)

自身の恋愛運について考え始めたティールは、初恋の人物をふと思い出した。

ミレットはティールの初恋の女の子であり、ティールにモテるのイケメンという現実を突き付けた人物でもある。

(レントは中身までイケメンだからな~~。確か、学園に合格して入学でき女の子は、ミレット以外にいたし……当たり前だけど、学園に入学すればたくさん女の子……女子学生? がいるよな)

村という狭い地域から飛び出し、一年弱の間にそれなりに旅をして各地を渡り歩いたティール。
多くの人物を見て、出会ってきたティールから見ても……レントのイケメン具合は、村という小さな規模から抜けても、トップクラスに入るイケメンだった。

対して、ミレットが可愛い部類に入る女の子であることは間違いないが、それでも全体的に入ると……トップクラスに入るか否かといった容姿レベル。

(レントがそう簡単に顔が良いからって理由で誰かにコロっと一目惚れするとかはないと思うけど、どういったタイプが好みなのか……そういう細かい部分は俺やミレットも……あのバカマックスの奴も知らなかったよな?)

自分が好きだった女の子の恋が成就してほしいなという思いはありながらも、ティールはレントにそれを強制するつもりはない。

「………………気持ち次第、か」

「?」

小さくポロっと零したティールの言葉に、アキラは何のことかと首を傾げるも、二人の意識は佳境に迫ったラストの戦いに向けられた。
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