600 / 729
尽きない楽しみ
しおりを挟む
「二人共、俺の目的に付き合ってくれてありがとう。乾杯!」
「「乾杯!!!」」
地上に戻って来た三人はギルドへ向かい、不必要な大量の素材を売却。
素材はギルドの解体場で放出したため、いったい三人がどれほど多くのモンスターたち戦い続けていたのかは……買取を担当した受付嬢たちしか知らない。
買取金額の硬貨も袋に入れて渡されたため、買取金額に関しても受付嬢たちしか知らない。
そして、買取金額を考えれば高級店に入っても全く問題無いのだが、三人ともなんとなく酒場で呑みたい、食べたいという思いが揃った。
「何にしても、あれだな。二十一階層から二十五階層に出現するモンスターの全てと戦えたんじゃないか?」
「そう、だな……雷鳥と遭遇するまで、割と珍しいモンスターとも遭遇できたもんね」
珍しいイコール強さではなく、素材の価値が高いDランク、Cランクのモンスターとも探索中に遭遇することが出来た。
中には……敵から逃げる時だけ、Bランクモンスター並みに速く移動できるモンスターなどもいたが、本気になったティールの前には無力。
無事補足され、がっつり仕留められた。
「次は確か……樹海、だったか」
「そうですね。樹海…………樹海って、森林とは違うんですよね」
これまで何度も森の中、あるいは山の中を探索してきたティール。
森林、山中では非常に戦い慣れているが、樹海と呼ばれる地域での戦闘はまだない。
「高低差がそれなりにある場所、のようだな」
「……あそこが樹海と呼べる場所であれば、確かに戦い辛い場所だったな」
アキラは樹海らしき場所での戦闘を思い出し、やや苦い表情を浮かべる。
「ふ~~~ん。それなら、二十六階層からは慎重に探索した方が良さそうですね」
まるで二十五階層までは全く慎重に探索してなかったかのような口ぶりに、周りで聞き耳を立てていた冒険者たちは……表情がばらけた。
ティールが本当の事を喋っているのか、それとも見栄を張って喋っているのか。
そもそもあの子供は二十五階層でまともに戦えるだけの実力を持っているのかと、まだティールがBランクの冒険者だと知らない冒険者たちは疑っていた。
ただ、色々と疑いこそすれ……同じテーブルで食べている竜人族の男と、麗しい黒髪の女性には敵うイメージが湧かず、誰もバカ絡みすることはなかった。
「慎重に、か……いざとなれば、マスターが強烈な斬撃刃を叩き込めば問題無いのではないか?」
「ティールなら、雷鳥を倒した投擲でも危機を回避できそうだな」
「「「っ!!??」」」
聞き耳を立てていた冒険者たちは、その会話内容を聞いて、思わず食事の手を止めてしまった。
(あの黒髪の女、今なんつった?)
(話の流れからして……ティールという人物は、あの少年……で合っている、のだよな?)
(しかも投擲で雷鳥を倒したですって? あんな……本当にまだ、少年の様な子が……もしかして、とんでもない腕力強化系のスキルか、それともとんでもない強化系マジックアイテムを持ってる?)
酒場で夕食を食べている冒険者たちの中には、勿論あのティールという少年がBランクの冒険者である事実を知っている者もいる。
だが、間近でティールの強さを観た者は、ジラーニに滞在している冒険者たちの中でも殆どいない。
故に……あの見た目、年齢でBランクという事実を知っていたとしても、雷鳥を投擲で倒したという内容は……中々すんなりとは受け入れられない。
「……無理じゃないとは思うけど、それじゃあ成長に繋がらないんでしょ」
「成長、か。密林でも雷鳥やゲイルワイバーンの様な強敵が現れないとは限らないとなれば、確かに慎重に動いた方が良さそうだな」
「樹海に現れる強敵、か……ふふ、楽しみは尽きないな」
「それに関しては同感ですね」
「俺もだ」
バーサーカーの様な会話を平然とした表情で続ける三人を見て、同業者の冒険者たちは益々三人どういったパーティー、集団なのか解らなくなった。
「「乾杯!!!」」
地上に戻って来た三人はギルドへ向かい、不必要な大量の素材を売却。
素材はギルドの解体場で放出したため、いったい三人がどれほど多くのモンスターたち戦い続けていたのかは……買取を担当した受付嬢たちしか知らない。
買取金額の硬貨も袋に入れて渡されたため、買取金額に関しても受付嬢たちしか知らない。
そして、買取金額を考えれば高級店に入っても全く問題無いのだが、三人ともなんとなく酒場で呑みたい、食べたいという思いが揃った。
「何にしても、あれだな。二十一階層から二十五階層に出現するモンスターの全てと戦えたんじゃないか?」
「そう、だな……雷鳥と遭遇するまで、割と珍しいモンスターとも遭遇できたもんね」
珍しいイコール強さではなく、素材の価値が高いDランク、Cランクのモンスターとも探索中に遭遇することが出来た。
中には……敵から逃げる時だけ、Bランクモンスター並みに速く移動できるモンスターなどもいたが、本気になったティールの前には無力。
無事補足され、がっつり仕留められた。
「次は確か……樹海、だったか」
「そうですね。樹海…………樹海って、森林とは違うんですよね」
これまで何度も森の中、あるいは山の中を探索してきたティール。
森林、山中では非常に戦い慣れているが、樹海と呼ばれる地域での戦闘はまだない。
「高低差がそれなりにある場所、のようだな」
「……あそこが樹海と呼べる場所であれば、確かに戦い辛い場所だったな」
アキラは樹海らしき場所での戦闘を思い出し、やや苦い表情を浮かべる。
「ふ~~~ん。それなら、二十六階層からは慎重に探索した方が良さそうですね」
まるで二十五階層までは全く慎重に探索してなかったかのような口ぶりに、周りで聞き耳を立てていた冒険者たちは……表情がばらけた。
ティールが本当の事を喋っているのか、それとも見栄を張って喋っているのか。
そもそもあの子供は二十五階層でまともに戦えるだけの実力を持っているのかと、まだティールがBランクの冒険者だと知らない冒険者たちは疑っていた。
ただ、色々と疑いこそすれ……同じテーブルで食べている竜人族の男と、麗しい黒髪の女性には敵うイメージが湧かず、誰もバカ絡みすることはなかった。
「慎重に、か……いざとなれば、マスターが強烈な斬撃刃を叩き込めば問題無いのではないか?」
「ティールなら、雷鳥を倒した投擲でも危機を回避できそうだな」
「「「っ!!??」」」
聞き耳を立てていた冒険者たちは、その会話内容を聞いて、思わず食事の手を止めてしまった。
(あの黒髪の女、今なんつった?)
(話の流れからして……ティールという人物は、あの少年……で合っている、のだよな?)
(しかも投擲で雷鳥を倒したですって? あんな……本当にまだ、少年の様な子が……もしかして、とんでもない腕力強化系のスキルか、それともとんでもない強化系マジックアイテムを持ってる?)
酒場で夕食を食べている冒険者たちの中には、勿論あのティールという少年がBランクの冒険者である事実を知っている者もいる。
だが、間近でティールの強さを観た者は、ジラーニに滞在している冒険者たちの中でも殆どいない。
故に……あの見た目、年齢でBランクという事実を知っていたとしても、雷鳥を投擲で倒したという内容は……中々すんなりとは受け入れられない。
「……無理じゃないとは思うけど、それじゃあ成長に繋がらないんでしょ」
「成長、か。密林でも雷鳥やゲイルワイバーンの様な強敵が現れないとは限らないとなれば、確かに慎重に動いた方が良さそうだな」
「樹海に現れる強敵、か……ふふ、楽しみは尽きないな」
「それに関しては同感ですね」
「俺もだ」
バーサーカーの様な会話を平然とした表情で続ける三人を見て、同業者の冒険者たちは益々三人どういったパーティー、集団なのか解らなくなった。
229
お気に入りに追加
1,804
あなたにおすすめの小説
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
没落貴族の異世界領地経営!~生産スキルでガンガン成り上がります!
武蔵野純平
ファンタジー
異世界転生した元日本人ノエルは、父の急死によりエトワール伯爵家を継承することになった。
亡くなった父はギャンブルに熱中し莫大な借金をしていた。
さらに借金を国王に咎められ、『王国貴族の恥!』と南方の辺境へ追放されてしまう。
南方は魔物も多く、非常に住みにくい土地だった。
ある日、猫獣人の騎士現れる。ノエルが女神様から与えられた生産スキル『マルチクラフト』が覚醒し、ノエルは次々と異世界にない商品を生産し、領地経営が軌道に乗る。
はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~
さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。
キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。
弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。
偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。
二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。
現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。
はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる