585 / 693
合法的に
しおりを挟む
大きな収入が入り、いつもよりお高い店で料理を満腹になるまで食べた翌日、三人は前回と同じく、一日だけ休日を
挟んだ。
「マスター、今日はどうする? 先日と同じく、街を散策するか?」
「…………どうしようかな」
前回と同じく、初めて訪れた街を散策。
それは街から街に転々と移動するティールの楽しみ。
この世界には……部屋の中で時間を潰せる娯楽が、あまりにも少ない。
「? 散策には行かないのか」
「ありと言えばありなんですけど、昨日の一件もあって、もしかしたらと思ってしまって」
またヒツギに絡まれようとも、もう遠慮なく対応出来る。
それが解った今、全くもって怖くも面倒とも思わない相手。
しかし、それが何かの切っ掛けになる可能性は捨てきれない。
「ふむ、ではギルドの訓練場にでも行って体を動かすか?」
「ラスト…………いや、別には悪いことではないんだが、それはそれでなぁ……」
「ティール、ラストの言う通りギルドの訓練場で今日一日を過ごすのであれば、そこで起こった面倒事はその場で…合法的に解決出来るぞ」
アキラの言葉に、ティールと……訓練場で訓練をしないかと提案したラストも、なるほどといった表情を浮かべる。
「それは、悪くないですね」
「そうだろ。とはいえ、それが面倒の切っ掛けに繋がることにはなるかもしれないが……苛立ちが溜まることなく、その場でスッキリすることは出来る筈だ」
「…………ですね」
ティールは、正直諦めている部分がある。
なるべく無駄な争いは起こさず、同じ冒険者たちとは……ゴミ屑以外とは仲良くなりたい。
その気持ちは今でも変わりないが、結局自分がこの先、面倒が近寄ってこなくなることはないのではと。
(……なんて言うか、これ以上考えても仕方ないこと、なのかな)
これまで、自分たちは全く悪い事はしてない。ただ、向こうから勝手にやって来て、面倒事に発展したのだと。
「それじゃ、朝食を食べ終えたら訓練場に行こう」
朝からがっつり朝食を食べ終えた後、三人は決めた通りギルドの訓練場へと向かう。
いつもより多くの視線が向けられていようと、気にせず向かう。
(ぬっ……やっぱり、ここら辺はダンジョンを持つ冒険者ギルドだよな~)
以前滞在していたダンジョン、森林暗危を保有する冒険者ギルドでも同じ体験をしたことがある。
バラつきはあれど、訪れる冒険者たちはダンジョンに潜むモンスターの素材、宝箱……攻略することで得られる名誉を狙いに向かう。
とはいえ、一度に全員の冒険者たちがダンジョンに潜るわけではない。
ダンジョンの難易度は階層数が全てではない。
階層上の問題で十五層でボスと戦う事になるとはいえ、森林暗危のラスボス……アサルトレパードは、二つ目のボスとして登場するには、珍しくランクが高く……部屋の環境もアサルトレパードの強味を活かすのに適している。
だが……それでも階層数が多いダンジョンを攻略したという事実は、冒険者たちにとってより大きな実績となる。
その為、イガルディスの冒険者ギルドよりも多くの冒険者たちが集まっている。
「……全員倒せば関係無い、そうだろマスター」
「それはそうなのかもしれないけど、一応俺たち他の冒険者たちと喧嘩しに来たわけじゃないからな、ラスト」
「あぁ、それは解っている。ただ……こうも視線を向けられると、な」
ダンジョンに潜るつもりはなくとも、ギルドに訪れる冒険者の数が他の街よりも多くなる。
結果、先日のヒツギやそのパーティーメンバーとの一件もあって、ギルド内にいる同業者……だけではなく、職員たちからも視線を向けられることになる。
(ったく。とはいえ、都合の良い考えかもしれないけど、ラストがやんのかオラ? だったらかかってこいや!! ってな感じのオーラに勝手に委縮してくれたら有難いな)
仕方ないと受け入れつつも、やはり根っこは変わらないティールだった。
挟んだ。
「マスター、今日はどうする? 先日と同じく、街を散策するか?」
「…………どうしようかな」
前回と同じく、初めて訪れた街を散策。
それは街から街に転々と移動するティールの楽しみ。
この世界には……部屋の中で時間を潰せる娯楽が、あまりにも少ない。
「? 散策には行かないのか」
「ありと言えばありなんですけど、昨日の一件もあって、もしかしたらと思ってしまって」
またヒツギに絡まれようとも、もう遠慮なく対応出来る。
それが解った今、全くもって怖くも面倒とも思わない相手。
しかし、それが何かの切っ掛けになる可能性は捨てきれない。
「ふむ、ではギルドの訓練場にでも行って体を動かすか?」
「ラスト…………いや、別には悪いことではないんだが、それはそれでなぁ……」
「ティール、ラストの言う通りギルドの訓練場で今日一日を過ごすのであれば、そこで起こった面倒事はその場で…合法的に解決出来るぞ」
アキラの言葉に、ティールと……訓練場で訓練をしないかと提案したラストも、なるほどといった表情を浮かべる。
「それは、悪くないですね」
「そうだろ。とはいえ、それが面倒の切っ掛けに繋がることにはなるかもしれないが……苛立ちが溜まることなく、その場でスッキリすることは出来る筈だ」
「…………ですね」
ティールは、正直諦めている部分がある。
なるべく無駄な争いは起こさず、同じ冒険者たちとは……ゴミ屑以外とは仲良くなりたい。
その気持ちは今でも変わりないが、結局自分がこの先、面倒が近寄ってこなくなることはないのではと。
(……なんて言うか、これ以上考えても仕方ないこと、なのかな)
これまで、自分たちは全く悪い事はしてない。ただ、向こうから勝手にやって来て、面倒事に発展したのだと。
「それじゃ、朝食を食べ終えたら訓練場に行こう」
朝からがっつり朝食を食べ終えた後、三人は決めた通りギルドの訓練場へと向かう。
いつもより多くの視線が向けられていようと、気にせず向かう。
(ぬっ……やっぱり、ここら辺はダンジョンを持つ冒険者ギルドだよな~)
以前滞在していたダンジョン、森林暗危を保有する冒険者ギルドでも同じ体験をしたことがある。
バラつきはあれど、訪れる冒険者たちはダンジョンに潜むモンスターの素材、宝箱……攻略することで得られる名誉を狙いに向かう。
とはいえ、一度に全員の冒険者たちがダンジョンに潜るわけではない。
ダンジョンの難易度は階層数が全てではない。
階層上の問題で十五層でボスと戦う事になるとはいえ、森林暗危のラスボス……アサルトレパードは、二つ目のボスとして登場するには、珍しくランクが高く……部屋の環境もアサルトレパードの強味を活かすのに適している。
だが……それでも階層数が多いダンジョンを攻略したという事実は、冒険者たちにとってより大きな実績となる。
その為、イガルディスの冒険者ギルドよりも多くの冒険者たちが集まっている。
「……全員倒せば関係無い、そうだろマスター」
「それはそうなのかもしれないけど、一応俺たち他の冒険者たちと喧嘩しに来たわけじゃないからな、ラスト」
「あぁ、それは解っている。ただ……こうも視線を向けられると、な」
ダンジョンに潜るつもりはなくとも、ギルドに訪れる冒険者の数が他の街よりも多くなる。
結果、先日のヒツギやそのパーティーメンバーとの一件もあって、ギルド内にいる同業者……だけではなく、職員たちからも視線を向けられることになる。
(ったく。とはいえ、都合の良い考えかもしれないけど、ラストがやんのかオラ? だったらかかってこいや!! ってな感じのオーラに勝手に委縮してくれたら有難いな)
仕方ないと受け入れつつも、やはり根っこは変わらないティールだった。
30
お気に入りに追加
1,798
あなたにおすすめの小説
星の記憶
鳳聖院 雀羅
ファンタジー
宇宙の精神とは、そして星の意思とは…
日本神話 、北欧神話、ギリシャ神話、 エジプト神話、 旧新聖書創世記 など世界中の神話や伝承等を、融合させ、独特な世界観で、謎が謎を呼ぶSFファンタジーです
人類が抱える大きな課題と試練
【神】=【『人』】=【魔】 の複雑に絡み合う壮大なるギャラクシーファンタジーです
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から「破壊神」と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
3年F組クラス転移 帝国VS28人のユニークスキル~召喚された高校生は人類の危機に団結チートで国を相手に無双する~
代々木夜々一
ファンタジー
高校生3年F組28人が全員、召喚魔法に捕まった!
放り出されたのは闘技場。武器は一人に一つだけ与えられた特殊スキルがあるのみ!何万人もの観衆が見つめる中、召喚した魔法使いにざまぁし、王都から大脱出!
3年F組は一年から同じメンバーで結束力は固い。中心は陰で「キングとプリンス」と呼ばれる二人の男子と、家業のスーパーを経営する計算高きJK姫野美姫。
逃げた深い森の中で見つけたエルフの廃墟。そこには太古の樹「菩提樹の精霊」が今にも枯れ果てそうになっていた。追いかけてくる魔法使いを退け、のんびりスローライフをするつもりが古代ローマを滅ぼした疫病「天然痘」が異世界でも流行りだした!
原住民「森の民」とともに立ち上がる28人。圧政の帝国を打ち破ることができるのか?
ちょっぴり淡い恋愛と友情で切り開く、異世界冒険サバイバル群像劇、ここに開幕!
※カクヨムにも掲載あり
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる