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縛りたくはない
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「幾らになるだろうな」
「討伐した数を考えれば、白金貨何枚……もしくは十数枚か?」
「ん~~~…………そうだな。それぐらいいくかもしれないな」
Dランクのモンスター、一体分では需要と供給の問題もあるが、そこまで金にはならない場合が多い。
しかし……ティールたちの場合、約ニ十体分の素材がある。
加えて、それが五セットほどあり、転移トラップに自ら跳んだ前、後にもモンスターを討伐しているので、ティールが考えるほどの金が入って来てもおかしくない。
「……そういえば、ゲイルワイバーンの頭は、俺が吹き飛ばしてしまったな。済まなかった」
牙竜の専用技、スラッシュバスターを頭部にぶち込んだことで、頭部は見事に吹き飛んだ。
その結果、当然といえば当然だが、眼玉や脳といった素材は完全に消え去った。
錬金術の素材としては使える素材であるため、それなりに良い値段で取引される。
「そんな気にしなくても良いって、ラスト。俺は援護だけしかしてなかったけど、あれはあんまり悠長に戦い続けられる相手じゃなかっただろ」
「それはそうだが……倒し方には、アキラに嫉妬するな」
「武器の性質の違い、というだけだ。ラストの大剣をぶった斬る、私の刀は切断……もしくは綺麗に一刀両断するのが目的の得物。その差を考えれば、素材の一部を消し飛ばしてしまうのは致し方ないだろう」
「……そうだな」
冒険者としては、それで良いのか?
そう考えてしまうが、ティールの様に細かい武器も扱えるようになる?
ラストの根性、やる気等を考えれば会得出来なくもない。
しかし……一番得意な得物が大剣という事実は変わらない。
(役割の問題……そう納得するしかないだろう)
自分は迫る敵をぶった斬り、主に害を為す攻撃を防ぐ。
それが……ラストの役割である。
「やぁ、アキラさんじゃないか」
(この声は、この前の男か)
モヤっとしていた気持ちが晴れ、自分の役割に関して改めて納得して良い気分だった……目の前の男、ヒツギが現れるまでは。
当然ながら、ラストにとって好ましい相手ではない。
何故なら……ティールが嫌いな相手だから。
「ヒツギ、だったか」
「僕の名前を覚えてくれてたんですね、光栄です」
ニコニコと近づいてくるヒツギ。
因みに、今回は街中で出会った時と違い、一人ではない。
(……マスターは、一応まだ耐えているようだな)
チラッと主の方に顔を向けると、敢えて……わざと、無を貫こうとしてるのが解る。
「今日はダンジョン帰りですか」
「あぁ、そうだ」
「奇遇ですね! 僕達も今日ダンジョンから戻って来たんですよ」
ヒツギはジラーニにで活動する冒険者たちの中でも、名が知れている部類の有望な若手。
故に、ヒツギが自ら……ニコニコとしながら誰かに話しかけているとなれば、自然と視線が集まってしまう。
「どうですか、素材の買取が終われば僕たちと食事でも」
「それは私に頼まれても、困るな」
これまでアキラは異性の冒険者と共に食事をしたことがないわけではなかった。
確かに許嫁という名の婚約者、未来の旦那はいる。
しかし、それはそれでこれはこれ。
冒険者という人生を楽しむ上で……そこを気にしたくはなかった。
だが、今現在……これまでと違い、明確にパーティーを組んでいる者がいる。
そしてそのパーティーでは……アキラがリーダーではなく、ティールという見た目まだ少年である冒険者がリーダーである。
「ティール、どうする」
「…………」
悩んでいた……ティールは物凄く悩んでいた。
(俺が嫌って言えば、アキラさんは素直に従ってくれそうだけど……それは違うよな)
ティールとしては、自分の私情であまりアキラの行動を縛りたくなかった。
「えっと、もしかしてそっちの子が……パーティーのリーダーなのかな?」
(っ!!!!! ンの野郎!!!!!)
明らかに見下している。
普段のティールであればまだしも、この…………今の、年齢相応の精神年齢状態になってしまってるティールにとっては、もろアウトな態度だった。
「討伐した数を考えれば、白金貨何枚……もしくは十数枚か?」
「ん~~~…………そうだな。それぐらいいくかもしれないな」
Dランクのモンスター、一体分では需要と供給の問題もあるが、そこまで金にはならない場合が多い。
しかし……ティールたちの場合、約ニ十体分の素材がある。
加えて、それが五セットほどあり、転移トラップに自ら跳んだ前、後にもモンスターを討伐しているので、ティールが考えるほどの金が入って来てもおかしくない。
「……そういえば、ゲイルワイバーンの頭は、俺が吹き飛ばしてしまったな。済まなかった」
牙竜の専用技、スラッシュバスターを頭部にぶち込んだことで、頭部は見事に吹き飛んだ。
その結果、当然といえば当然だが、眼玉や脳といった素材は完全に消え去った。
錬金術の素材としては使える素材であるため、それなりに良い値段で取引される。
「そんな気にしなくても良いって、ラスト。俺は援護だけしかしてなかったけど、あれはあんまり悠長に戦い続けられる相手じゃなかっただろ」
「それはそうだが……倒し方には、アキラに嫉妬するな」
「武器の性質の違い、というだけだ。ラストの大剣をぶった斬る、私の刀は切断……もしくは綺麗に一刀両断するのが目的の得物。その差を考えれば、素材の一部を消し飛ばしてしまうのは致し方ないだろう」
「……そうだな」
冒険者としては、それで良いのか?
そう考えてしまうが、ティールの様に細かい武器も扱えるようになる?
ラストの根性、やる気等を考えれば会得出来なくもない。
しかし……一番得意な得物が大剣という事実は変わらない。
(役割の問題……そう納得するしかないだろう)
自分は迫る敵をぶった斬り、主に害を為す攻撃を防ぐ。
それが……ラストの役割である。
「やぁ、アキラさんじゃないか」
(この声は、この前の男か)
モヤっとしていた気持ちが晴れ、自分の役割に関して改めて納得して良い気分だった……目の前の男、ヒツギが現れるまでは。
当然ながら、ラストにとって好ましい相手ではない。
何故なら……ティールが嫌いな相手だから。
「ヒツギ、だったか」
「僕の名前を覚えてくれてたんですね、光栄です」
ニコニコと近づいてくるヒツギ。
因みに、今回は街中で出会った時と違い、一人ではない。
(……マスターは、一応まだ耐えているようだな)
チラッと主の方に顔を向けると、敢えて……わざと、無を貫こうとしてるのが解る。
「今日はダンジョン帰りですか」
「あぁ、そうだ」
「奇遇ですね! 僕達も今日ダンジョンから戻って来たんですよ」
ヒツギはジラーニにで活動する冒険者たちの中でも、名が知れている部類の有望な若手。
故に、ヒツギが自ら……ニコニコとしながら誰かに話しかけているとなれば、自然と視線が集まってしまう。
「どうですか、素材の買取が終われば僕たちと食事でも」
「それは私に頼まれても、困るな」
これまでアキラは異性の冒険者と共に食事をしたことがないわけではなかった。
確かに許嫁という名の婚約者、未来の旦那はいる。
しかし、それはそれでこれはこれ。
冒険者という人生を楽しむ上で……そこを気にしたくはなかった。
だが、今現在……これまでと違い、明確にパーティーを組んでいる者がいる。
そしてそのパーティーでは……アキラがリーダーではなく、ティールという見た目まだ少年である冒険者がリーダーである。
「ティール、どうする」
「…………」
悩んでいた……ティールは物凄く悩んでいた。
(俺が嫌って言えば、アキラさんは素直に従ってくれそうだけど……それは違うよな)
ティールとしては、自分の私情であまりアキラの行動を縛りたくなかった。
「えっと、もしかしてそっちの子が……パーティーのリーダーなのかな?」
(っ!!!!! ンの野郎!!!!!)
明らかに見下している。
普段のティールであればまだしも、この…………今の、年齢相応の精神年齢状態になってしまってるティールにとっては、もろアウトな態度だった。
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