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個人間で済めば……
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「え、えっと……まだ、ありますか?」
「はい、まだあります」
既にダンジョン内で解体は終えている。
売れない素材は捨てているが、それでもティールが亜空間に収めている素材の数はカウンターの上に収まりきらず……解体部屋として使われている倉庫に移動。
「っと、こんな感じですね」
「か、かしこまりました。少々お待ちください」
「分かりました」
ダンジョン内では、モンスターを倒しても倒しても、時間が経過すればまた現れる。
それ故に受付嬢達も多くの素材を査定することに慣れてはいたが、それでもティールが亜空間の中から取り出した素材の数は彼女たちの予想を遥かに超えていた。
「先輩……あの子、アイテムリングやバッグからじゃなくて、亜空間から取り出していましたよね」
「そうね。リングやバッグから取り出してても、それはそれで十分驚きなのだけどね」
「で、ですよねぇ…………あの子、これから不味くないですか?」
そういったアイテムを装備してるのではなく、ティール自身が空間収納というスキルを有しており、その容量が半端ではない。
冒険者としては、その力だけでも十分取り合いになる能力である。
「そうね。でも、傍にあの二人がいるなら、大丈夫じゃないかしら」
「竜人族の人と、あの黒髪の……ヒツギ君に顔立ちが似てる女性、ですよね。確か、二人にバカ絡みした人が竜人族の人にあっさりとのされたって話を聞きましたけど、それって本当なんですか?」
「本当よ。雰囲気からして普通ではないと思ってたけど、あの時はさすがに注意するべきかと感じたけど、本当に無駄な心配だったわ」
先輩受付嬢は今でもラストがあっさりと複数の冒険者を叩き伏せた光景が頭に残っている。
「それに、あの子供の方だけど……ギルドの記録には、Bランクのモンスターを一人で倒した経歴があるのよ」
「………………えっ」
後輩受付嬢は、思わず最低の手を止めてしまった。
現在、軽く会話をしているが、それでも仕事中。
「ほら、手が止まってるわよ」
「あ、はい!」
ちゃんと仕事をしてこそ、軽い話を仕事中にしてても許されるのだ。
「え、えっと……先輩、あの少年がBランクのモンスターを倒したって話は本当、なんですか?」
「あなたがそう思うのは解る。私も……あの子が普通じゃないようには思えるけど、どう普通じゃないのかまでは解らない。だから、どうやってBランクの怪物たちを倒したのかも解らない」
「ッ……でも、ギルドの資料には、あの子がBランクのモンスターを、ソロで倒したと……載ってるんですよね」
「そうなのよね。人は見かけによらないとはいうけど、あの子ほど極端な冒険者は殆どいないでしょうね」
「まさに見た目で侮れば、痛い目に合うことになりそうですね…………あれ、そういえば私、軽く噂なんですけど、ヒツギ君がある少年? と言い争いをしたって話を聞いたんですよ」
「それは……なんと言うか、それはそれで信じられない光景ね」
美男子、クール、優しい、強い。
モテる条件を全て揃えた様な男、それがヒツギという男。
ひょろっとした体に見えなくもないが、脱げば立派な筋肉を身に付けていることは受付嬢たちも全員知っており、そこまた良きギャップであり、高評価に繋がっている。
「それで、その近くに竜人族の人が居たらしいんですよ」
「…………あぁ~~~~、ちょっと頭が痛くなってきたわね」
そう言いながらも査定を勧めるあたり、彼女がプロであると解る。
「も、もしかしなくても、やっぱり問題に発展しそうですか?」
「……どういった問題に発展するかは解らないわね。あの子とヒツギ君だけの問題で済むなら良いけど……」
「個人同士のあれこれで済まなかったら……やっぱりヒツギ君が関わってるクランが動くでしょうか」
「あそこのクランマスターは決して話が通じないタイプではないと思うけど……はぁ~~~、もう今日は仕事が終わったら呑むわ」
本当に苦痛といった表情を浮かべながらも仕事を進める先輩に、後輩受付嬢を敬意を表しながら、お供しますと伝えた。
「はい、まだあります」
既にダンジョン内で解体は終えている。
売れない素材は捨てているが、それでもティールが亜空間に収めている素材の数はカウンターの上に収まりきらず……解体部屋として使われている倉庫に移動。
「っと、こんな感じですね」
「か、かしこまりました。少々お待ちください」
「分かりました」
ダンジョン内では、モンスターを倒しても倒しても、時間が経過すればまた現れる。
それ故に受付嬢達も多くの素材を査定することに慣れてはいたが、それでもティールが亜空間の中から取り出した素材の数は彼女たちの予想を遥かに超えていた。
「先輩……あの子、アイテムリングやバッグからじゃなくて、亜空間から取り出していましたよね」
「そうね。リングやバッグから取り出してても、それはそれで十分驚きなのだけどね」
「で、ですよねぇ…………あの子、これから不味くないですか?」
そういったアイテムを装備してるのではなく、ティール自身が空間収納というスキルを有しており、その容量が半端ではない。
冒険者としては、その力だけでも十分取り合いになる能力である。
「そうね。でも、傍にあの二人がいるなら、大丈夫じゃないかしら」
「竜人族の人と、あの黒髪の……ヒツギ君に顔立ちが似てる女性、ですよね。確か、二人にバカ絡みした人が竜人族の人にあっさりとのされたって話を聞きましたけど、それって本当なんですか?」
「本当よ。雰囲気からして普通ではないと思ってたけど、あの時はさすがに注意するべきかと感じたけど、本当に無駄な心配だったわ」
先輩受付嬢は今でもラストがあっさりと複数の冒険者を叩き伏せた光景が頭に残っている。
「それに、あの子供の方だけど……ギルドの記録には、Bランクのモンスターを一人で倒した経歴があるのよ」
「………………えっ」
後輩受付嬢は、思わず最低の手を止めてしまった。
現在、軽く会話をしているが、それでも仕事中。
「ほら、手が止まってるわよ」
「あ、はい!」
ちゃんと仕事をしてこそ、軽い話を仕事中にしてても許されるのだ。
「え、えっと……先輩、あの少年がBランクのモンスターを倒したって話は本当、なんですか?」
「あなたがそう思うのは解る。私も……あの子が普通じゃないようには思えるけど、どう普通じゃないのかまでは解らない。だから、どうやってBランクの怪物たちを倒したのかも解らない」
「ッ……でも、ギルドの資料には、あの子がBランクのモンスターを、ソロで倒したと……載ってるんですよね」
「そうなのよね。人は見かけによらないとはいうけど、あの子ほど極端な冒険者は殆どいないでしょうね」
「まさに見た目で侮れば、痛い目に合うことになりそうですね…………あれ、そういえば私、軽く噂なんですけど、ヒツギ君がある少年? と言い争いをしたって話を聞いたんですよ」
「それは……なんと言うか、それはそれで信じられない光景ね」
美男子、クール、優しい、強い。
モテる条件を全て揃えた様な男、それがヒツギという男。
ひょろっとした体に見えなくもないが、脱げば立派な筋肉を身に付けていることは受付嬢たちも全員知っており、そこまた良きギャップであり、高評価に繋がっている。
「それで、その近くに竜人族の人が居たらしいんですよ」
「…………あぁ~~~~、ちょっと頭が痛くなってきたわね」
そう言いながらも査定を勧めるあたり、彼女がプロであると解る。
「も、もしかしなくても、やっぱり問題に発展しそうですか?」
「……どういった問題に発展するかは解らないわね。あの子とヒツギ君だけの問題で済むなら良いけど……」
「個人同士のあれこれで済まなかったら……やっぱりヒツギ君が関わってるクランが動くでしょうか」
「あそこのクランマスターは決して話が通じないタイプではないと思うけど……はぁ~~~、もう今日は仕事が終わったら呑むわ」
本当に苦痛といった表情を浮かべながらも仕事を進める先輩に、後輩受付嬢を敬意を表しながら、お供しますと伝えた。
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