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普通じゃない提案?
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(相変わらず綺麗というか可愛い笑みというか……でも、まだこの階層だとな~~)
初めてのダンジョンでテンションが上がってしまう気持ちは、十分解る。
解るのだが……ラストとアキラが購入してきてくれたダンジョンの情報を確認した結果、基本的に出現するモンスターのレベル、強さなどは森林暗危とさほど変わらない。
つまり……………一階層から十階層までは、比較的楽~~~~に進めてしまう。
「……ティール、これがダンジョン、なのか?」
「言いたい事は解ります」
ダンジョンに入ったばかりの時とは違い、目に見えてテンションが下がっているアキラ。
とはいえ、これに関しては本当にしょうがないと言うしかない。
「ですがアキラさん、浅い階層からそれなりに強いモンスターばかり徘徊していたら、ルーキーたちは全く活動できませんよ」
「むっ、そうか。そうだな……確か、ダンジョンとは探索者たちを奥へと誘惑する存在でもあったな」
「一応そうらしいです。なので、やはり浅い階層では自分たち的には骨のないモンスターばかりかと」
そう、ティールたちにとってはどいつもこいつも骨のないモンスター。
しかしルーキーたちにとっては全くそんなことはなく、五階層ぐらいでもDランクのモンスターが出現することがあるため、危険な彼らにとってはどの階層も危険な場所であることに変わりはなかった。
(十階層のボスが……えっと、メタルスケルトンソルジャーだったっけ? Cランクのモンスターだったよな。確か森林暗危の十層のボスもCランクのモンスターだったし……やっぱり十階層まではDランクのモンスターまでしか出現しないだろうな)
もっと強いモンスターが現れてほしい。
三人共同じ考えを持ちながら最短距離で次の階層へ続く階段へ移動しているが……ひとまずティールは、それがどれだけ自分勝手な考えなのかは理解している。
(とはいえ、四十階層まで続くダンジョンだと、十一階層を越えてもCランクのモンスターは頻繁に出現はしないみたいだし………って言うか、あんまりほいほいCランク以上のモンスターが出現したら、おちおち探索してられないっていうのが他の冒険者たちの感覚だよな………うん、我慢我慢)
そもそもダンジョンに潜る冒険者たちのメインは、苦労の先に手に入る宝箱。
勿論時間経過によるが、無限に出現するモンスターの素材や魔石は非常に魅力的であり、攻略した階層数が自身のステータスにもなる。
「どうせならアキラさん、十階層のボスモンスターはアキラさん一人で戦いますか」
一般的にはあり得ない提案だが、ここにいる三人は少々普通ではない。
その証拠に……十階層のボスモンスター戦で、一人で戦いますか? と提案されたアキラはとても嬉しそうな表情を浮かべていた。
「良いのか! 十階層のボスモンスターは……メタルスケルトンソルジャーだったか」
「鋼鉄の骨? を持つ骸骨戦士ですね」
「戦ったことがないモンスターだ。私としては嬉しいが、本当に良いのか?」
「俺は大丈夫です」
「俺も構わない。上層では強敵と戦う機会はないと解っていたからな」
「そうか……ではお言葉に甘えさせてもらおう」
Cランクのボスモンスター、メタルスケルトンソルジャーとソロで戦うことが決まったアキラのテンションはそこそこプラスにまで戻り、遭遇するモンスターたちを元気良く切り裂いていく。
「それじゃ、少し待っててくださいね」
「あぁ……」
最短距離を進み続けた三人は一気に三階層のセーフティーポイントまで到着。
(解ってはいたが、これが普通だと思ってはいけないのだろうな)
実力のある者同士がパーティーを組み、最短ルートを進み続ければ一日で数階分進むことが出来る。
それは他の冒険者と組んでも実行可能であるが……肉だけではなく、野菜まで揃った温かい食事。
(うん、相変わらず美味い。私は侍……侍だが、少し悔しいのは何故だろう)
温かい食事を食べて体は温まった筈なのに、何故かほんの少し心は寒くなるアキラだった。
初めてのダンジョンでテンションが上がってしまう気持ちは、十分解る。
解るのだが……ラストとアキラが購入してきてくれたダンジョンの情報を確認した結果、基本的に出現するモンスターのレベル、強さなどは森林暗危とさほど変わらない。
つまり……………一階層から十階層までは、比較的楽~~~~に進めてしまう。
「……ティール、これがダンジョン、なのか?」
「言いたい事は解ります」
ダンジョンに入ったばかりの時とは違い、目に見えてテンションが下がっているアキラ。
とはいえ、これに関しては本当にしょうがないと言うしかない。
「ですがアキラさん、浅い階層からそれなりに強いモンスターばかり徘徊していたら、ルーキーたちは全く活動できませんよ」
「むっ、そうか。そうだな……確か、ダンジョンとは探索者たちを奥へと誘惑する存在でもあったな」
「一応そうらしいです。なので、やはり浅い階層では自分たち的には骨のないモンスターばかりかと」
そう、ティールたちにとってはどいつもこいつも骨のないモンスター。
しかしルーキーたちにとっては全くそんなことはなく、五階層ぐらいでもDランクのモンスターが出現することがあるため、危険な彼らにとってはどの階層も危険な場所であることに変わりはなかった。
(十階層のボスが……えっと、メタルスケルトンソルジャーだったっけ? Cランクのモンスターだったよな。確か森林暗危の十層のボスもCランクのモンスターだったし……やっぱり十階層まではDランクのモンスターまでしか出現しないだろうな)
もっと強いモンスターが現れてほしい。
三人共同じ考えを持ちながら最短距離で次の階層へ続く階段へ移動しているが……ひとまずティールは、それがどれだけ自分勝手な考えなのかは理解している。
(とはいえ、四十階層まで続くダンジョンだと、十一階層を越えてもCランクのモンスターは頻繁に出現はしないみたいだし………って言うか、あんまりほいほいCランク以上のモンスターが出現したら、おちおち探索してられないっていうのが他の冒険者たちの感覚だよな………うん、我慢我慢)
そもそもダンジョンに潜る冒険者たちのメインは、苦労の先に手に入る宝箱。
勿論時間経過によるが、無限に出現するモンスターの素材や魔石は非常に魅力的であり、攻略した階層数が自身のステータスにもなる。
「どうせならアキラさん、十階層のボスモンスターはアキラさん一人で戦いますか」
一般的にはあり得ない提案だが、ここにいる三人は少々普通ではない。
その証拠に……十階層のボスモンスター戦で、一人で戦いますか? と提案されたアキラはとても嬉しそうな表情を浮かべていた。
「良いのか! 十階層のボスモンスターは……メタルスケルトンソルジャーだったか」
「鋼鉄の骨? を持つ骸骨戦士ですね」
「戦ったことがないモンスターだ。私としては嬉しいが、本当に良いのか?」
「俺は大丈夫です」
「俺も構わない。上層では強敵と戦う機会はないと解っていたからな」
「そうか……ではお言葉に甘えさせてもらおう」
Cランクのボスモンスター、メタルスケルトンソルジャーとソロで戦うことが決まったアキラのテンションはそこそこプラスにまで戻り、遭遇するモンスターたちを元気良く切り裂いていく。
「それじゃ、少し待っててくださいね」
「あぁ……」
最短距離を進み続けた三人は一気に三階層のセーフティーポイントまで到着。
(解ってはいたが、これが普通だと思ってはいけないのだろうな)
実力のある者同士がパーティーを組み、最短ルートを進み続ければ一日で数階分進むことが出来る。
それは他の冒険者と組んでも実行可能であるが……肉だけではなく、野菜まで揃った温かい食事。
(うん、相変わらず美味い。私は侍……侍だが、少し悔しいのは何故だろう)
温かい食事を食べて体は温まった筈なのに、何故かほんの少し心は寒くなるアキラだった。
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