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不運
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(こいつ……いったい、いつまで続けられるのよ!!!)
既に二人っきりのタイマン勝負が始まってから五分が経過。
大剣使いの女性が使用した呪術はノーリスクの強化技ではなく、リスク有りの強化。
当然ながら、悠長に戦い続けられない。
ラストの様に心の奥底が燃え滾る様な熱い戦いが大好物というわけではなく、可能ならさっさと終わらせたい。
しかし……ラストは違う。
「どうした! これからが、更に熱くなる、ところだろ!!!!!」
(クソ、ウザい!!! さっさとぶった斬られないさいよ!!!!)
元々持久力はあった。
ティールと共に行動するようになってから、休日の朝から昼にはよく模擬戦をするようになった。
そしてその休日が少なく……他の冒険者からハイペース過ぎる、もっと休めと言われるぐらい探索に出る日数が多い。
そんな環境が確実にラストの持久力を鍛え、底上げした。
「オオォォアアアアアアッ!!!!」
「っ!!!??? 嘗めんじゃ、ないよ!!!!」
「嘗めては、いないぞ!!!!!」
大剣という大きな得物を使っているが、女の仕事は短期決戦。
場合によっては役立つという利点もあり、大剣を使用している。
スタミナに優れている訳ではなく……ラスト並みの戦闘者と長時間戦い続けるのは振りでしかない。
それでも……これまで身に付けた戦闘力が裏切ることはない。
だからこそ、口にした通りラストは大剣使いの女を嘗めてなどいない。
際どく、ナイスタイミングで竜化を使用して踏ん張り、ぶった斬る、耐える。
今……ラストは斬り合っている女が自分の主人の命を狙っていたという事も忘れて、戦いに熱中していた。
それは裏で生きる人間にとって、殆ど解らない感情。
同じ冒険者であっても、解らない者が多いその感情に困惑するのは無理もなく……その揺らぎが戦闘に現れるのは、至極当然と言えた。
「ぬぅあああああッ!!!!!」
(チッ!!! 防ぐしかない!!)
女自身が土魔法を覚えており、魔力技術の範囲で自身の体に岩石を纏うことが可能。
当然、岩石を体に纏えばスピードが下がる。
ラストとの戦闘においてそのデメリットは致命的だが、それでもナイス過ぎるタイミングで斬り上げられた斬撃を耐えるにはそれしかなかった。
「ッ!!!! ………………本当に、なんなの、よ。あんた、達」
女の判断は悪くなかった。
一瞬で切り替えられた思考はまさに一流。
だが、誤算があるとすれば……大剣であれば防げた一撃も、土の魔力で生み出した岩石と魔力だけでは防げなかったこと。
「俺たちは……戦闘力が高い冒険者、とだけ言っておこうか。あまり自分を上の存在として発言するのはマスターのスタイルに反する……俺も、まだまだ高みに到達してるとは言えない」
「……不運、としか、言えない……わ、ね」
岩石を越えて外套、皮、筋肉、骨……内臓。
全てをぶった斬られた女はそこから回復出来る手段はなく、完全に崩れ落ちた。
「不運、か……俺としては、不運なのではなく、お前たちの仲間に日頃から狂気を持つ者がいたことが不運だったと思うぞ」
もう聞こえていないであろう死体に、それは違うぞと伝え……ようやく、張りつめていた闘志、緊張の糸が緩む。
(あの時、本当にあの四人組が俺たちに手を出さなければ、ぶつかり合うことはなかった。まぁ、ギルドに戻ればマスターは職員に怪しい奴らがいたと伝えるだろうがな)
ラストの考えている通り、いきなり仕掛けてこなければ、本当にティールはあの場で黒い外套を身に纏った四人組をどうこうしようとは考えていなかった。
「さて、もう終わっているか、それともアキラが優勢なまま続いているかは分からないが、とりあえず戻るか」
死体、武器を回収した後、ラストは直ぐに緩んだ心を正した。
そういった相手が自分たちを狙ったとなれば、そこを狙われてもおかしくない。
予想外の連戦ではあったが、今回の戦いでまた少し前に進めたラスト。
そして投げ飛ばされる前に戦っていた場所に戻ると……後者の予想が当たっていた。
既に二人っきりのタイマン勝負が始まってから五分が経過。
大剣使いの女性が使用した呪術はノーリスクの強化技ではなく、リスク有りの強化。
当然ながら、悠長に戦い続けられない。
ラストの様に心の奥底が燃え滾る様な熱い戦いが大好物というわけではなく、可能ならさっさと終わらせたい。
しかし……ラストは違う。
「どうした! これからが、更に熱くなる、ところだろ!!!!!」
(クソ、ウザい!!! さっさとぶった斬られないさいよ!!!!)
元々持久力はあった。
ティールと共に行動するようになってから、休日の朝から昼にはよく模擬戦をするようになった。
そしてその休日が少なく……他の冒険者からハイペース過ぎる、もっと休めと言われるぐらい探索に出る日数が多い。
そんな環境が確実にラストの持久力を鍛え、底上げした。
「オオォォアアアアアアッ!!!!」
「っ!!!??? 嘗めんじゃ、ないよ!!!!」
「嘗めては、いないぞ!!!!!」
大剣という大きな得物を使っているが、女の仕事は短期決戦。
場合によっては役立つという利点もあり、大剣を使用している。
スタミナに優れている訳ではなく……ラスト並みの戦闘者と長時間戦い続けるのは振りでしかない。
それでも……これまで身に付けた戦闘力が裏切ることはない。
だからこそ、口にした通りラストは大剣使いの女を嘗めてなどいない。
際どく、ナイスタイミングで竜化を使用して踏ん張り、ぶった斬る、耐える。
今……ラストは斬り合っている女が自分の主人の命を狙っていたという事も忘れて、戦いに熱中していた。
それは裏で生きる人間にとって、殆ど解らない感情。
同じ冒険者であっても、解らない者が多いその感情に困惑するのは無理もなく……その揺らぎが戦闘に現れるのは、至極当然と言えた。
「ぬぅあああああッ!!!!!」
(チッ!!! 防ぐしかない!!)
女自身が土魔法を覚えており、魔力技術の範囲で自身の体に岩石を纏うことが可能。
当然、岩石を体に纏えばスピードが下がる。
ラストとの戦闘においてそのデメリットは致命的だが、それでもナイス過ぎるタイミングで斬り上げられた斬撃を耐えるにはそれしかなかった。
「ッ!!!! ………………本当に、なんなの、よ。あんた、達」
女の判断は悪くなかった。
一瞬で切り替えられた思考はまさに一流。
だが、誤算があるとすれば……大剣であれば防げた一撃も、土の魔力で生み出した岩石と魔力だけでは防げなかったこと。
「俺たちは……戦闘力が高い冒険者、とだけ言っておこうか。あまり自分を上の存在として発言するのはマスターのスタイルに反する……俺も、まだまだ高みに到達してるとは言えない」
「……不運、としか、言えない……わ、ね」
岩石を越えて外套、皮、筋肉、骨……内臓。
全てをぶった斬られた女はそこから回復出来る手段はなく、完全に崩れ落ちた。
「不運、か……俺としては、不運なのではなく、お前たちの仲間に日頃から狂気を持つ者がいたことが不運だったと思うぞ」
もう聞こえていないであろう死体に、それは違うぞと伝え……ようやく、張りつめていた闘志、緊張の糸が緩む。
(あの時、本当にあの四人組が俺たちに手を出さなければ、ぶつかり合うことはなかった。まぁ、ギルドに戻ればマスターは職員に怪しい奴らがいたと伝えるだろうがな)
ラストの考えている通り、いきなり仕掛けてこなければ、本当にティールはあの場で黒い外套を身に纏った四人組をどうこうしようとは考えていなかった。
「さて、もう終わっているか、それともアキラが優勢なまま続いているかは分からないが、とりあえず戻るか」
死体、武器を回収した後、ラストは直ぐに緩んだ心を正した。
そういった相手が自分たちを狙ったとなれば、そこを狙われてもおかしくない。
予想外の連戦ではあったが、今回の戦いでまた少し前に進めたラスト。
そして投げ飛ばされる前に戦っていた場所に戻ると……後者の予想が当たっていた。
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