あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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将来性込みで……

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「なんなんだい、そのクソ女は。欲しい男がいるなら、真正面から自分の力で奪えってんだ」

「ゼペラさん、それは正当なやり方ではありませんわ。そもそもラストさんにその気があるのかどうかも問題ですし。とはいえ……何も用意せず、ただ可哀想だから解放しろというのは……さすがに理解に苦しみますわね」

バルバラは貴族ではあるが、奴隷に対してただ見下す様な意識はない。

ラストに対しても、何かしらの理由があって今、奴隷として生きてるのだろうと思っている。

「最低限、受け取るだけの何かを用意しなければなりませんわ」

「バルバラの言う通りね。でも、ラスト程の冒険者をってなると……将来性も含めれば、白金貨何十枚……もしかしたら、黒曜金貨とかそういうレベルよね」

正々堂々と買い取るとしたら、黒曜金貨幾枚かのレベル。

そんなシャーリーの言葉をバカにする者は誰もいなかった。
少なくとも……バルバラたちはラストが一人でBランクのモンスターを倒せるだけの戦闘力を有していることを知っている。

Bランクという化け物を一人で倒すことが出来る。
それほどの戦闘力を考えれば、黒曜金貨幾枚かという買取金額は将来性も含めて妥当であった。

「それを何も用意せずに、ただ解放しろと言うのは傲慢というか……正義のヒーローにでもなったつもりかしら」

「であれば、随分と偽善にまみれたヒーローもいたものだな。なにはともあれ、恋に暴走した乙女は色々と恐ろしいな」

この中で一番の年長者であるゴルダは一番多くのものを見てきた。
当然……修羅場という光景を見てきたことも一度や二度ではない。

故に、ラストに恋をした乙女の行動は非常識だと思いながらも、そういったアホな行動を起こしてしまう者もいるだろうな……といった感じで、そこまで驚いてはいなかった。

「因みに、ラストはそれなりの金額を用意した相手であれば、そういう気はあるのかい?」

「ないな。まぁ……今以上の闘争が得られる環境、そしてマスターよりも強い人物がそういった交渉を持ちかけてきたのであれば考えなくもないが」

「はっはっは!!! んじゃ、絶対あり得ねぇってことだな!! あれだろ、そんな金を用意出来る奴なんて、商人のガキか貴族のガキのどっちかだろ。そんな奴らがティールにサシで勝つなんて、まず無理だろ」

そもそも権力者の子供とはいえ、黒曜金貨数枚を用意することも不可能に近い。

「でしょうね……ねぇ、ティール。あんた、Aランクのドラゴンと戦ったことがあるんでしょ」

「……訂正させてください。ただ、俺はそのドラゴンへ渾身の一撃を叩き込んで、防御されただけです。決して良い勝負をしたわけではなく、ましてや勝利したわけではありません」

「そんな細かい事は良いのよ」

細かくない!!! というツッコミは一旦置いておき、続く言葉を待つ。

「実際にAランクっていう怪物の力を肌で感じたんでしょ。それで、本当にマジで戦ったら……どれぐらい戦えそうなの」

「抽象的ですね…………そうですね。十秒間は、多分良い勝負が出来るかもしれません。Aランクの中にも差はあるでしょうけど、一応十秒は戦れます」

モンスターを殺してスキルを奪う。
その行為を繰り返し、ティールは多くの強化系スキルを手に入れてきた。

そんな中でも一際優れたスキル……Bランクのモンスター、アドバースコングが有していた剛拳無双。
腕力を超強化し、痛覚の遮断まで行えるため、接近戦タイプの戦闘者にはもってこいのスキル。

「……なんか、謙虚なのよね~。本当は一分ぐらい戦れると思ってるんじゃないの?」

「そんな事ありませんよ。まぁ、ラストと一緒ならそれぐらい戦れそうですけどね」

頼りになる仲間と共になら……そんな主人の言葉を耳にし、ラストの表情には薄っすらと嬉しさが表れていた。

「とりあえず、本気になったティールに勝てる我儘な子供は絶対にいないって言い切れるわね」

シャーリーの言葉に、他四人は納得した表情で頷いた。
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