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助け合う存在だから
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(解ってたつもりだったけど……いえ、解ってたつもりなんて言えないわね。強化されたCランクモンスターをあんなにあっさりと、素早く倒してしまうなんて……本当に私より歳下なのかしら?)
正真正銘、ティールはまだ十五歳を越えていないガキである。
(流石……流石ティールさんだ! 多分、形は異なると思うけど、それでも……いずれ僕もあの強さにっ!!)
ティールの戦いっぷりに疑問を持つ者、憧れを持つ者など様々な反応を見せるシャーリーたち。
そんな中……常人よりは聴覚が優れているラストが、とある音を聞き逃してしまう。
「…………ッ! チッ!!!」
ワンテンポ、確実に遅れてしまったと後悔しながらも、仕留める為の刃を振るう。
「ハッ!!!!!」
「ギチチチヂっ!!??」
血中を移動してオリアスを狙おうとしていたマーダーセンチネル。
当然ながら、マーダーセンチネルに狙われていたオリアスは目の前の光景に意識を奪われ、棒立ちしていたため全く気付いていなかった。
護衛の騎士魔術師たちも左右、後ろ……上に関しては警戒の針を向けていたが、下には意識が向いておらず、ラストと同じく反応がワンテンポ遅れる。
しかし、そんな中で……たった一人だけ、誰よりも速くオリアス狙うマーダーセンチネルの襲撃に気付いた者がいた。
それがオリアスの兄であるヴァルター。
「良くやった!!!!!」
「ギジャっ!!!???」
「うぉらッ!!!」
狂暴性と攻撃力の高いマーダーセンチネルだが、奇襲はヴァルターの聖剣技と暗黒剣技のダブルスラッシュによって失敗し、間に合ったラストの剛斬によって叩き斬られた。
センチネル系のモンスターの特徴を知っているシャーリーが即座に長い胴体を細切れにし、被害をゼロに抑えることが出来た。
「はぁ~~~~、終わった終わった。ったく、いったいどんな薬を使ったんだか」
鑑定を使って調べたところで、興奮状態ということまでは解ったが、いったいどのような薬を使用した結果興奮状態になったのかまでは解らない。
「ティール殿、今回の一件……誠に感謝いたします!!!!」
「「「「「感謝いたします!!!!」」」」」
元々ヴァルターの護衛を担当していた者に加えて、シャーリーと共にオリアスの護衛をしていた者たちは片膝を付き……首を垂れて感謝の言葉を伝えた。
「ど、どうも……って、礼ならラストに言ってくれ。ラストの耳が悲鳴を拾ってくれなかったら、暴走したモンスターがあなた達を襲ってることに気付かなかったんで」
いきなり振られたラストが戸惑うのを無視し、向きを変えて騎士や魔術師たちは再度声を揃えて感謝の言葉を述べた。
「……分かった。感謝の意は受け取った」
騎士や魔術師たちとしては、まだまだ感謝したりなかったが、まずは当主に報告しなければならない。
「なんでCランクのモンスターたちが暴走してたのか、詳しい要素までは解らないから……死体はいくつかノンビーラ家の方に渡した方が良いですか?」
「そうしてもらえると有難い」
死体の所有権は殆ど一人で倒してしまったティールにあるが、討伐した本人としてはスキルを奪えた後は今のところそこまで価値はないため、数体ぐらいタダで渡しても問題無かった。
「……ヴァルター兄さん」
「ん? どうしたんだ、オリアス」
「…………何故、僕を助けたんですか」
自分が兄を嫌っている。
そんな事は兄も解っている筈。
なのに……どうしてそんな自分を身を挺して守ったのか解らない。
下手をすれば、聖剣技や暗黒剣技などの強力なスキルを持っていようと、本当に死んでしまうかもしれない。
「それは……それは、僕がオリアスの家族だからさ。家族は、お互いに助け合って生きていくものだろ。だから、僕がオリアスを助けたのは別に変なことじゃなく、当然のことだよ」
「ッ…………」
弟は兄の言葉を聞き、その表情を見て……零れる涙を抑えきれなくなった。
正真正銘、ティールはまだ十五歳を越えていないガキである。
(流石……流石ティールさんだ! 多分、形は異なると思うけど、それでも……いずれ僕もあの強さにっ!!)
ティールの戦いっぷりに疑問を持つ者、憧れを持つ者など様々な反応を見せるシャーリーたち。
そんな中……常人よりは聴覚が優れているラストが、とある音を聞き逃してしまう。
「…………ッ! チッ!!!」
ワンテンポ、確実に遅れてしまったと後悔しながらも、仕留める為の刃を振るう。
「ハッ!!!!!」
「ギチチチヂっ!!??」
血中を移動してオリアスを狙おうとしていたマーダーセンチネル。
当然ながら、マーダーセンチネルに狙われていたオリアスは目の前の光景に意識を奪われ、棒立ちしていたため全く気付いていなかった。
護衛の騎士魔術師たちも左右、後ろ……上に関しては警戒の針を向けていたが、下には意識が向いておらず、ラストと同じく反応がワンテンポ遅れる。
しかし、そんな中で……たった一人だけ、誰よりも速くオリアス狙うマーダーセンチネルの襲撃に気付いた者がいた。
それがオリアスの兄であるヴァルター。
「良くやった!!!!!」
「ギジャっ!!!???」
「うぉらッ!!!」
狂暴性と攻撃力の高いマーダーセンチネルだが、奇襲はヴァルターの聖剣技と暗黒剣技のダブルスラッシュによって失敗し、間に合ったラストの剛斬によって叩き斬られた。
センチネル系のモンスターの特徴を知っているシャーリーが即座に長い胴体を細切れにし、被害をゼロに抑えることが出来た。
「はぁ~~~~、終わった終わった。ったく、いったいどんな薬を使ったんだか」
鑑定を使って調べたところで、興奮状態ということまでは解ったが、いったいどのような薬を使用した結果興奮状態になったのかまでは解らない。
「ティール殿、今回の一件……誠に感謝いたします!!!!」
「「「「「感謝いたします!!!!」」」」」
元々ヴァルターの護衛を担当していた者に加えて、シャーリーと共にオリアスの護衛をしていた者たちは片膝を付き……首を垂れて感謝の言葉を伝えた。
「ど、どうも……って、礼ならラストに言ってくれ。ラストの耳が悲鳴を拾ってくれなかったら、暴走したモンスターがあなた達を襲ってることに気付かなかったんで」
いきなり振られたラストが戸惑うのを無視し、向きを変えて騎士や魔術師たちは再度声を揃えて感謝の言葉を述べた。
「……分かった。感謝の意は受け取った」
騎士や魔術師たちとしては、まだまだ感謝したりなかったが、まずは当主に報告しなければならない。
「なんでCランクのモンスターたちが暴走してたのか、詳しい要素までは解らないから……死体はいくつかノンビーラ家の方に渡した方が良いですか?」
「そうしてもらえると有難い」
死体の所有権は殆ど一人で倒してしまったティールにあるが、討伐した本人としてはスキルを奪えた後は今のところそこまで価値はないため、数体ぐらいタダで渡しても問題無かった。
「……ヴァルター兄さん」
「ん? どうしたんだ、オリアス」
「…………何故、僕を助けたんですか」
自分が兄を嫌っている。
そんな事は兄も解っている筈。
なのに……どうしてそんな自分を身を挺して守ったのか解らない。
下手をすれば、聖剣技や暗黒剣技などの強力なスキルを持っていようと、本当に死んでしまうかもしれない。
「それは……それは、僕がオリアスの家族だからさ。家族は、お互いに助け合って生きていくものだろ。だから、僕がオリアスを助けたのは別に変なことじゃなく、当然のことだよ」
「ッ…………」
弟は兄の言葉を聞き、その表情を見て……零れる涙を抑えきれなくなった。
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