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生真面目さあっての成果
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シャーリーから指導についてアドバイスを求められた翌日以降、ティールやラストも監視する者などは現れず、平穏な日々を過ごすことが出来ていた。
(ん~~~…………もう、割と教えられることは教えたよな)
最初の内に聖剣技と暗黒剣技に関しては自身の感覚を伝えることで、ヴァルターは徐々に感覚を掴み始めた。
それ以降、聖剣技と暗黒剣技の他にもアドバイス出来ることはアドバイスし、自身の感覚で良ければと多くの情報を提供。
遭遇する相手によっては、という思いから大戦斧やハンマーの振り下ろし方まで教えた。
ヴァルターもそれには少々戸惑いの表情を浮かべた。
しかし、直ぐに二人が岩窟竜という……もう名前からして堅そうな敵と遭遇したという話を思い出し、もしものことを考えて真剣に話を聞き、真面目に素振りを行った。
高速移動をしながら魔法を発動するというのも、徐々にではあるが慣れ始めていた。
まだ指導期間が終了するまで数日あるものの、既に教えられることは皆無。
であれば、もう自分たちが指導係でいる必要はないのでは? そう思った二人はヴァルターの父親であるギャルバに一応事実を伝えた。
「ふむ……本当に教えることはないのか?」
「はい、本当にありません。要らないお世話かもしれないがと思いながら様々なことをお伝えしましたが、こう……本当に呑み込みが早いんです。応用的な動きはともかく、基礎的な動きはその日の夕方ごろにはある程度出来るようになっていました」
「つまり、専門外の武器を使っても相手の不意を突くことぐらいは出来る、ということかな」
「問題無く行えるかと。ただ、あの呑み込みの速さは才能と言うよりも、ヴァルター様の学ぶ姿勢……学べる事に対しての貪欲さが影響しているかと思います」
ティールはヴァルターの勤勉さ、素振り一つに対して納得がいかない部分に対して疑問を持つ、ティールやラスト、一応現場に居る騎士に意見を求め、動きを修正する取り組み。
それらの行動、努力などをセンスや才能という言葉では済ませたくなく、敢えて「ヴァルター様は超弩級の天才です!!!!」なんて伝え方はせず……心の内の強さなどの凄さを当主であるギャルバに伝えた。
「そうか。では、一応ヴァルターに聞いてみよう」
こうしてギャルバがヴァルターに話を要約すると、真正面から却下された。
「僕は……まだ、ティールさんとラストさんと、一緒にいたいです」
「…………分かった。指導係の期間が終わるまではお前の指導係でいてくれるように伝えよう」
珍しく……本当に珍しく、控えめな我儘だった。
その報告を受けたティールは……それはそれで嬉しいと思い、無意識にニヤけていた。
とはいえ、教えることがなくなったというのは事実。
なので二人は残りの数日間、現場でヴァルターを鍛えることにした。
つまり……実戦につぐ実戦で戦闘中の勘を養い、経験値を得る。
最後の数日を噛みしめ、ヴァルターは気合を入れて戦い続ける。
ただ、その気合が空回りすることはなく、冷静にダッシュボアのタックルを受け流し、暗黒剣技で止めを刺す。
(この辺りに生息しているモンスターのレベルがそこまで高くはないとはいえ、まだ十歳……まだ十歳の子供がダッシュボアをほぼノーダメージで倒すって、超凄いよな)
感心しながら弟子の戦闘光景を眺める師、二人。
「どうでしたか!!!」
「見事なカウンターでしたよ」
「あぁ、そうだな。あそこで躱されては、ダッシュボアとしてはお手上げ状態だろう」
その戦いで一度休憩と昼食時間に入り、解体を終えたダッシュボアの肉にかぶりつく。
「ティールさん、ラストさん。これから……強くなる為に、続けることはありますか」
「………………戦う者にとって体が資本です。毎日肉を良く食べる人は筋肉モリモリといった印象は強いですが、野菜などもキッチリ取っておいた方が良い? という話を師であるエルフの女性から聞いたことがあります」
「つまり、食事は人並み以上に食べた方が良い、という事ですね」
「無理なさらない程度で大丈夫だと思いますよ」
貴族であるため、肉も野菜も大量に食べられる。
加えて、この世界には夜更かしするような娯楽もないため、成長のゴールデンタイムを邪魔する物は殆どなかった。
(ん~~~…………もう、割と教えられることは教えたよな)
最初の内に聖剣技と暗黒剣技に関しては自身の感覚を伝えることで、ヴァルターは徐々に感覚を掴み始めた。
それ以降、聖剣技と暗黒剣技の他にもアドバイス出来ることはアドバイスし、自身の感覚で良ければと多くの情報を提供。
遭遇する相手によっては、という思いから大戦斧やハンマーの振り下ろし方まで教えた。
ヴァルターもそれには少々戸惑いの表情を浮かべた。
しかし、直ぐに二人が岩窟竜という……もう名前からして堅そうな敵と遭遇したという話を思い出し、もしものことを考えて真剣に話を聞き、真面目に素振りを行った。
高速移動をしながら魔法を発動するというのも、徐々にではあるが慣れ始めていた。
まだ指導期間が終了するまで数日あるものの、既に教えられることは皆無。
であれば、もう自分たちが指導係でいる必要はないのでは? そう思った二人はヴァルターの父親であるギャルバに一応事実を伝えた。
「ふむ……本当に教えることはないのか?」
「はい、本当にありません。要らないお世話かもしれないがと思いながら様々なことをお伝えしましたが、こう……本当に呑み込みが早いんです。応用的な動きはともかく、基礎的な動きはその日の夕方ごろにはある程度出来るようになっていました」
「つまり、専門外の武器を使っても相手の不意を突くことぐらいは出来る、ということかな」
「問題無く行えるかと。ただ、あの呑み込みの速さは才能と言うよりも、ヴァルター様の学ぶ姿勢……学べる事に対しての貪欲さが影響しているかと思います」
ティールはヴァルターの勤勉さ、素振り一つに対して納得がいかない部分に対して疑問を持つ、ティールやラスト、一応現場に居る騎士に意見を求め、動きを修正する取り組み。
それらの行動、努力などをセンスや才能という言葉では済ませたくなく、敢えて「ヴァルター様は超弩級の天才です!!!!」なんて伝え方はせず……心の内の強さなどの凄さを当主であるギャルバに伝えた。
「そうか。では、一応ヴァルターに聞いてみよう」
こうしてギャルバがヴァルターに話を要約すると、真正面から却下された。
「僕は……まだ、ティールさんとラストさんと、一緒にいたいです」
「…………分かった。指導係の期間が終わるまではお前の指導係でいてくれるように伝えよう」
珍しく……本当に珍しく、控えめな我儘だった。
その報告を受けたティールは……それはそれで嬉しいと思い、無意識にニヤけていた。
とはいえ、教えることがなくなったというのは事実。
なので二人は残りの数日間、現場でヴァルターを鍛えることにした。
つまり……実戦につぐ実戦で戦闘中の勘を養い、経験値を得る。
最後の数日を噛みしめ、ヴァルターは気合を入れて戦い続ける。
ただ、その気合が空回りすることはなく、冷静にダッシュボアのタックルを受け流し、暗黒剣技で止めを刺す。
(この辺りに生息しているモンスターのレベルがそこまで高くはないとはいえ、まだ十歳……まだ十歳の子供がダッシュボアをほぼノーダメージで倒すって、超凄いよな)
感心しながら弟子の戦闘光景を眺める師、二人。
「どうでしたか!!!」
「見事なカウンターでしたよ」
「あぁ、そうだな。あそこで躱されては、ダッシュボアとしてはお手上げ状態だろう」
その戦いで一度休憩と昼食時間に入り、解体を終えたダッシュボアの肉にかぶりつく。
「ティールさん、ラストさん。これから……強くなる為に、続けることはありますか」
「………………戦う者にとって体が資本です。毎日肉を良く食べる人は筋肉モリモリといった印象は強いですが、野菜などもキッチリ取っておいた方が良い? という話を師であるエルフの女性から聞いたことがあります」
「つまり、食事は人並み以上に食べた方が良い、という事ですね」
「無理なさらない程度で大丈夫だと思いますよ」
貴族であるため、肉も野菜も大量に食べられる。
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