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あっさりイチコロ?
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高速移動しながら同時に魔法を発動する。
しかも詠唱なしに行うこの高等技術……これまで倒した相手の才能を奪ってきたティールだが、この技術に関しては紛れもなくティール本人が持っていた才能であった。
そのため、ヴァルターへの説明はあまり論理的ではなく、抽象的になってしまう。
どちらかと言えば論理派であるヴァルターは当然、直ぐに理解出来ず……その日はあまり進展せずに終わってしまった。
(頭の中が変にスッキリする感覚……つまり、武器と魔法……その二つを完全に分けて使えてるからこそ、頭が変にスッキリしてると感じるのかな?)
夕食を食べ終えた風呂で疲れを癒した後も、ティールから教えてもらった感覚を自分なりに解釈していた。
「っと、危ない危ない」
ヴァルターの視界の先には……先日から四男、オリアスの指導者となった女性冒険者、シャーリーがいた。
(……改めて見ると、本当に綺麗な人ですね)
数秒だけその姿を再確認し、直ぐにその場から離れる。
本人は全くそのつもりはない。そのつもりがなくとも……折角ティールが考え、ギャルバが現実にしようとした計画が崩れてしまう。
現在ヴァルターは十歳で、オリアスは八歳。
元々の性格の差というのもあるが、二人を比べてしまうと……非常にヴァルターが大人っぽく見えてしまう。
(あんなに綺麗な人がすぐ隣に居続けたら、オリアスはイチコロなんじゃないかな)
どんな女性がタイプなのか、なんて会話はしたことがない。
それでも……ヴァルターから見て、あれは掘れてしまっても仕方ない……と思わせる程の魅力を持つ女性。
現に、オリアスはいきなり想いを暴走させたりはしてないが、確実にシャーリーという女性を意識し始めていた。
翌日、先日と同じくヴァルターはティールから抽象的な指導を受けていた。
(ん~~~~……とりあえず、これ以上俺が教えることはないよな。まだ高速で動きながら魔法を発動することは出来ないけど、それでもなんか……あれだ、一歩も進んでないって感じに思えない。俺の指導力が高いからってわけじゃないんだろうけど)
かなり感覚で教えている自覚はある。
現在は剣を振るいながら詠唱なしで魔法を発動出来る様にする……それを模擬戦の中で何度も実行しようとしていた。
本当はそもそも詠唱をせずに魔法を発動することから始めるべきなのだが、ティールが長い間滞在できないため、強行突破を試みる。
「少し休憩にしましょうか」
「は、はい。分かり、ました」
慣れないことをさせているため、これまで行ってきた模擬戦と比べれば、攻撃の苛烈さは非常に抑えられている。
しかし……短期間の間に高等技術を習得するのであれば、荒治療する他ない。
そのため、当然の様に打撲などの怪我が増える。
「……ヴァルターさん。まだ高速移動しながら詠唱なしに魔法を発動する件に関しては一旦置いておき、別の事を学びませんか?」
「っ……やはり、僕には習得出来ないのでしょうか」
「そういう訳ではありません。寧ろヴァルターさんは俺の抽象的な説明を自分なり解釈しようと、確実に一歩ずつ前に進んでいます。ただ、その技術に関して……もう俺が細かく教えられることはないんですよ」
「マスターにも限界があるという事だ。その技術を習得する訓練であれば、俺やマスターがいない時でも出来るだろう」
「それは……そうかも、しれませんね」
眼を見れば解る。
ラストの言葉を聞き、しっかりと二人の考えを受け入れることが出来ていると。
(っ……ちょっと寒気がするな。この子は、俺みたいに先天性のスキルとして、知性のスキルを持ってる訳じゃないんだろ? そりゃ同年代の奴らが子供の頃、どういった考えを持っていたかなんて細かいデータはないけど……でも、ヴァルター様の向上心……前に進もうという強い意志には感服させられるな)
改めてヴァルターという少年の底力を知り、その強い意志に敬意を持った。
しかも詠唱なしに行うこの高等技術……これまで倒した相手の才能を奪ってきたティールだが、この技術に関しては紛れもなくティール本人が持っていた才能であった。
そのため、ヴァルターへの説明はあまり論理的ではなく、抽象的になってしまう。
どちらかと言えば論理派であるヴァルターは当然、直ぐに理解出来ず……その日はあまり進展せずに終わってしまった。
(頭の中が変にスッキリする感覚……つまり、武器と魔法……その二つを完全に分けて使えてるからこそ、頭が変にスッキリしてると感じるのかな?)
夕食を食べ終えた風呂で疲れを癒した後も、ティールから教えてもらった感覚を自分なりに解釈していた。
「っと、危ない危ない」
ヴァルターの視界の先には……先日から四男、オリアスの指導者となった女性冒険者、シャーリーがいた。
(……改めて見ると、本当に綺麗な人ですね)
数秒だけその姿を再確認し、直ぐにその場から離れる。
本人は全くそのつもりはない。そのつもりがなくとも……折角ティールが考え、ギャルバが現実にしようとした計画が崩れてしまう。
現在ヴァルターは十歳で、オリアスは八歳。
元々の性格の差というのもあるが、二人を比べてしまうと……非常にヴァルターが大人っぽく見えてしまう。
(あんなに綺麗な人がすぐ隣に居続けたら、オリアスはイチコロなんじゃないかな)
どんな女性がタイプなのか、なんて会話はしたことがない。
それでも……ヴァルターから見て、あれは掘れてしまっても仕方ない……と思わせる程の魅力を持つ女性。
現に、オリアスはいきなり想いを暴走させたりはしてないが、確実にシャーリーという女性を意識し始めていた。
翌日、先日と同じくヴァルターはティールから抽象的な指導を受けていた。
(ん~~~~……とりあえず、これ以上俺が教えることはないよな。まだ高速で動きながら魔法を発動することは出来ないけど、それでもなんか……あれだ、一歩も進んでないって感じに思えない。俺の指導力が高いからってわけじゃないんだろうけど)
かなり感覚で教えている自覚はある。
現在は剣を振るいながら詠唱なしで魔法を発動出来る様にする……それを模擬戦の中で何度も実行しようとしていた。
本当はそもそも詠唱をせずに魔法を発動することから始めるべきなのだが、ティールが長い間滞在できないため、強行突破を試みる。
「少し休憩にしましょうか」
「は、はい。分かり、ました」
慣れないことをさせているため、これまで行ってきた模擬戦と比べれば、攻撃の苛烈さは非常に抑えられている。
しかし……短期間の間に高等技術を習得するのであれば、荒治療する他ない。
そのため、当然の様に打撲などの怪我が増える。
「……ヴァルターさん。まだ高速移動しながら詠唱なしに魔法を発動する件に関しては一旦置いておき、別の事を学びませんか?」
「っ……やはり、僕には習得出来ないのでしょうか」
「そういう訳ではありません。寧ろヴァルターさんは俺の抽象的な説明を自分なり解釈しようと、確実に一歩ずつ前に進んでいます。ただ、その技術に関して……もう俺が細かく教えられることはないんですよ」
「マスターにも限界があるという事だ。その技術を習得する訓練であれば、俺やマスターがいない時でも出来るだろう」
「それは……そうかも、しれませんね」
眼を見れば解る。
ラストの言葉を聞き、しっかりと二人の考えを受け入れることが出来ていると。
(っ……ちょっと寒気がするな。この子は、俺みたいに先天性のスキルとして、知性のスキルを持ってる訳じゃないんだろ? そりゃ同年代の奴らが子供の頃、どういった考えを持っていたかなんて細かいデータはないけど……でも、ヴァルター様の向上心……前に進もうという強い意志には感服させられるな)
改めてヴァルターという少年の底力を知り、その強い意志に敬意を持った。
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