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納得出来ない
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「いったい、これは……どういう事だ」
Bランクの冒険者が五人を含めた冒険者たちの討伐隊が現場に到着。
今回の討伐戦内容を考えれば、十分と言える戦力を集めることに成功。
しかし……目の前に広がる光景に、今回の依頼の為だけに呼ばれたBランク冒険者たちは、ギルドが嘘の情報を自分たちに伝えたのではと疑った。
だが、目の前には確かにゴブリンとウルフ系モンスターの死体が多く転がっている。
それらの情報から、ゴブリンにヴァルガングが従い、その影響で多くのウルフ系モンスターがゴブリンたちと共に行動をしていたという情報は理解出来る。
「……死体はそのまま放置されてる。でも、どうやら魔石だけは抜き取られてるみたいね」
「…………なぁ、今日までにギルドにゴブリンとウルフ系モンスターの魔石を多数売却した冒険者いないのかい?」
「そういった情報は聞いてねぇな。勿論嘘じゃねぇぜ。そんな明らかに今回の件と関わってそうな物が売却されたら、ギルドだって事情を訊くに決まってるだろ」
「そうだね……それじゃあ、目の前の光景はどう説明する?」
Bランク冒険者の中でもリーダー的存在である男の言葉に、カルパン在住のCランク冒険者が言葉が詰まる。
(んなの、俺だって何が起こったのか知りてぇっつぅの!!)
男は殺された同僚たちの仇を討つため、殺る気満々で今回の討伐戦に参加した。
にもかかわらず……ゴブリン、ウルフ系モンスターが拠点としていたであろう場所に到着したのに……仇であるモンスターたちは全員既に殺され、死体が転がっていた。
何かヤバい事を行おうとしていたかもしれない存在が、既に死んでいる。
これに関しては素直に喜ぶべき件である……という事はCランクの冒険者と、この一件の為に呼ばれたBランク冒険者も解る。
だが、片方は仲間の仇を討つため、己の手で奴らをぶっ殺すつもりでいた。
もう片方もこのまま放っておけば、大きな被害が人々に降りかかると思い、全速力で仲間と共にカルパンへやって来た。
「リーダー、色々と思う気持ちは解らなくもないけど、まずはこの状況をもう少し調べましょ」
「……そうだね」
いざ到着してみたら全滅している……この状況を見て、溜め込んでいた怒りや殺意、全力でここに来るまでの努力や覚悟をどう解消すれば良いのか……彼等は解らなかった。
「大体数は報告と一緒ぐらいね」
「んで、こいつがトップだったジェネラルの死体、か……俺の経験上、こいつは普通のジェネラルには思えねぇな」
獣人族の男の言葉通り、群れのトップであり、ヴァルガングを従えていたジェネラルは文字通り普通の個体ではなかった。
「そうだね。多分……身体能力は、オーガより少し上かな?」
「指揮能力があって、当然何かしらの方法で部下たちの士気を上げて、僅かでも身体能力を向上させられる術がある」
「んで、本人もオーガより強いってなると、マジでヤバい群れだったな」
「誰が殺ったのかは解らないけど、今ここで潰れたのは幸いと言えるね…………ただ、噂のヴァルガングの死体がないね」
討伐戦のリーダーである男の言葉通り、死体が散乱してる場所に最重要、再注意モンスター、ヴァルガングの死体がない。
「もしかしたら、ヴァルガングには逃げられたんじゃねぇの?」
「……絶対にないとは言えないけど、多分可能性としては薄いんじゃないかな」
「その根拠は?」
「ヴァルガングを除いて、ここまで地形、周囲の木々をボロボロに出来るモンスターが、今回の戦いにいるかな?」
「ん~~~~~……討伐しようとした連中の数が多かったかもしれない、ってのは関係ねぇか」
「多分関係無いね」
では、全力で戦ったであろうヴァルガングの死体が何故ないのか?
謎は増々深まる。
「仮に少人数でこいつらを倒せる冒険者……もしくは騎士? がいたとしても、ヴァルガングがもう無理だと思って、全力で逃げれば振り切れるんじゃねぇか? 素の身体能力だけを考えれば、脚力に優れた冒険者でも追いつくのは難しい筈だぜ」
「……そういう答えしかないのかな」
直ぐに納得は出来ない。
納得出来ないが、その他に思い付いた考えも、到底それなら仕方ないねと納得出来る内容ではなかった。
Bランクの冒険者が五人を含めた冒険者たちの討伐隊が現場に到着。
今回の討伐戦内容を考えれば、十分と言える戦力を集めることに成功。
しかし……目の前に広がる光景に、今回の依頼の為だけに呼ばれたBランク冒険者たちは、ギルドが嘘の情報を自分たちに伝えたのではと疑った。
だが、目の前には確かにゴブリンとウルフ系モンスターの死体が多く転がっている。
それらの情報から、ゴブリンにヴァルガングが従い、その影響で多くのウルフ系モンスターがゴブリンたちと共に行動をしていたという情報は理解出来る。
「……死体はそのまま放置されてる。でも、どうやら魔石だけは抜き取られてるみたいね」
「…………なぁ、今日までにギルドにゴブリンとウルフ系モンスターの魔石を多数売却した冒険者いないのかい?」
「そういった情報は聞いてねぇな。勿論嘘じゃねぇぜ。そんな明らかに今回の件と関わってそうな物が売却されたら、ギルドだって事情を訊くに決まってるだろ」
「そうだね……それじゃあ、目の前の光景はどう説明する?」
Bランク冒険者の中でもリーダー的存在である男の言葉に、カルパン在住のCランク冒険者が言葉が詰まる。
(んなの、俺だって何が起こったのか知りてぇっつぅの!!)
男は殺された同僚たちの仇を討つため、殺る気満々で今回の討伐戦に参加した。
にもかかわらず……ゴブリン、ウルフ系モンスターが拠点としていたであろう場所に到着したのに……仇であるモンスターたちは全員既に殺され、死体が転がっていた。
何かヤバい事を行おうとしていたかもしれない存在が、既に死んでいる。
これに関しては素直に喜ぶべき件である……という事はCランクの冒険者と、この一件の為に呼ばれたBランク冒険者も解る。
だが、片方は仲間の仇を討つため、己の手で奴らをぶっ殺すつもりでいた。
もう片方もこのまま放っておけば、大きな被害が人々に降りかかると思い、全速力で仲間と共にカルパンへやって来た。
「リーダー、色々と思う気持ちは解らなくもないけど、まずはこの状況をもう少し調べましょ」
「……そうだね」
いざ到着してみたら全滅している……この状況を見て、溜め込んでいた怒りや殺意、全力でここに来るまでの努力や覚悟をどう解消すれば良いのか……彼等は解らなかった。
「大体数は報告と一緒ぐらいね」
「んで、こいつがトップだったジェネラルの死体、か……俺の経験上、こいつは普通のジェネラルには思えねぇな」
獣人族の男の言葉通り、群れのトップであり、ヴァルガングを従えていたジェネラルは文字通り普通の個体ではなかった。
「そうだね。多分……身体能力は、オーガより少し上かな?」
「指揮能力があって、当然何かしらの方法で部下たちの士気を上げて、僅かでも身体能力を向上させられる術がある」
「んで、本人もオーガより強いってなると、マジでヤバい群れだったな」
「誰が殺ったのかは解らないけど、今ここで潰れたのは幸いと言えるね…………ただ、噂のヴァルガングの死体がないね」
討伐戦のリーダーである男の言葉通り、死体が散乱してる場所に最重要、再注意モンスター、ヴァルガングの死体がない。
「もしかしたら、ヴァルガングには逃げられたんじゃねぇの?」
「……絶対にないとは言えないけど、多分可能性としては薄いんじゃないかな」
「その根拠は?」
「ヴァルガングを除いて、ここまで地形、周囲の木々をボロボロに出来るモンスターが、今回の戦いにいるかな?」
「ん~~~~~……討伐しようとした連中の数が多かったかもしれない、ってのは関係ねぇか」
「多分関係無いね」
では、全力で戦ったであろうヴァルガングの死体が何故ないのか?
謎は増々深まる。
「仮に少人数でこいつらを倒せる冒険者……もしくは騎士? がいたとしても、ヴァルガングがもう無理だと思って、全力で逃げれば振り切れるんじゃねぇか? 素の身体能力だけを考えれば、脚力に優れた冒険者でも追いつくのは難しい筈だぜ」
「……そういう答えしかないのかな」
直ぐに納得は出来ない。
納得出来ないが、その他に思い付いた考えも、到底それなら仕方ないねと納得出来る内容ではなかった。
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