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最後まで好き勝手
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「……なぁ、ヴァルガング。お前……これ以上、人を殺せないって誓えるか」
「…………」
ティールは身振り手振りでヴァルガングに自身の要望を伝えた。
ある程度賢さがあるため、目の前の人間が何を伝えようとしているのか、理解するのは難しくない。
「おっ」
「ん?」
十秒ほど考え込んだヴァルガングは二人の要望に承諾。
その証拠として……ティールとラスト、王の素質を持つ二人と盟友契約を行った。
証拠に、二人の手の甲には数秒間、青色の牙が浮かび上がり、直ぐに消えた。
しかし……マークが消えても、そこにあるという感覚は残っている。
「えっと……あれか、友達になったって感じか」
「そういう事みたいだな」
ヴァルガングと盟友契約を結んだ二人だが、ヴァルガングの方から二人を呼び出すことは出来ない。
だが、俺はあなた達二人に従う。
そう示すために、ティールとラストはヴァルガングを好きなタイミングで召喚する事が出来る。
(なるほどなるほど。これは確かに、ヴァルガングが俺たちに従った、要望に応えるという証拠になるな)
(……ヴァルガングが盟友、か。これは恐らく凄いことなのだろうな)
ラストの感想通り、Bランクモンスターであるヴァルガングを盟友……簡単に言ってしまえば、従魔にしたという事実は、殆ど例がない功績と言える。
「……それじゃ、お前がこれから人を食わない、襲わないって信じるよ」
「ワゥッ!!!!」
盟友の声に応え、ヴァルガングはその場から走り去っていった。
「…………さて、ギルドの方にどう説明しようか」
「普通に逃げられてしまった、というだけでは駄目なのか」
「ん~~~~~…………ダメというか、ちょっとな」
ティールは冒険者になった初っ端からブラッディ―タイガーという怪物を一人で倒した。
その後もソロで、または途中から一緒に共に行動し始めたラストと共に何度もBランクモンスターを倒している。
そして森林暗危でモンスターパーティーが起こった際、大群のトップ的モンスターであるアドバースコングを討伐。
ボスを倒すまでに多くのモンスターを討伐している事からも、その殲滅力の高さをギルドが知らないわけがない。
「仮にそう説明したとして、ギルドが納得すると思うか?」
「周囲には誰もいなかった。それなら、納得するもしないも関係無いのではないか?」
「それはまぁ、そうなんだけど……」
確かにラストがヴァルガングが戦っている最中、周囲に他の冒険者たちの気配はなかった。
遠くから見られてる視線も感じなかった。
そういう事実を考えれば、二人がヴァルガングには逃げられましたと報告したところで、咎められたりすることはない。
「……であれば、そもそも報告しないというのはどうだ?」
「???」
「俺たちの戦いは、誰も観ていなかったのだろ」
「そうだな。全く気配も視線も感じなかった」
「そもそも俺たちがゴブリンとウルフ系モンスターの群れと戦ったという事実を知る者がいないのであれば、わざわざ説明する必要はない……という事にならないか」
(……ありっちゃありなんだけど、冒険者という立場を考えればアウトだよな)
ティールが考えている通り、今回の一件を冒険者ギルドに伝えないのはアウトである。
バレなければ嘘というのは嘘と認識されない。
「…………バレないと思うか?」
「俺はバレないと思う。ギルド、他の同業者たちからすれば早く片づけたい内容なのだろうが、ヴァルガングという危険なモンスターがいると解ってるのだろ。それなら、討伐出来るだけの戦力を集める必要があるだろう」
「確かにそれはそうなんだが……しょうがない。そういうのを無視して好き勝手動いたんだし、最後の最後まで今回は好き勝手に動くとするか」
「それが一番だ。もし心配なら、このゴブリンの死体だけは残していけば良いんじゃないか?」
「……ナイスな案だ、ラスト」
夕方まで適当なモンスターを狩って街に戻り、素材と魔石を売却。
後日、多くの冒険者が討伐に向かったが……そこには腐った死体が散乱していた。
「…………」
ティールは身振り手振りでヴァルガングに自身の要望を伝えた。
ある程度賢さがあるため、目の前の人間が何を伝えようとしているのか、理解するのは難しくない。
「おっ」
「ん?」
十秒ほど考え込んだヴァルガングは二人の要望に承諾。
その証拠として……ティールとラスト、王の素質を持つ二人と盟友契約を行った。
証拠に、二人の手の甲には数秒間、青色の牙が浮かび上がり、直ぐに消えた。
しかし……マークが消えても、そこにあるという感覚は残っている。
「えっと……あれか、友達になったって感じか」
「そういう事みたいだな」
ヴァルガングと盟友契約を結んだ二人だが、ヴァルガングの方から二人を呼び出すことは出来ない。
だが、俺はあなた達二人に従う。
そう示すために、ティールとラストはヴァルガングを好きなタイミングで召喚する事が出来る。
(なるほどなるほど。これは確かに、ヴァルガングが俺たちに従った、要望に応えるという証拠になるな)
(……ヴァルガングが盟友、か。これは恐らく凄いことなのだろうな)
ラストの感想通り、Bランクモンスターであるヴァルガングを盟友……簡単に言ってしまえば、従魔にしたという事実は、殆ど例がない功績と言える。
「……それじゃ、お前がこれから人を食わない、襲わないって信じるよ」
「ワゥッ!!!!」
盟友の声に応え、ヴァルガングはその場から走り去っていった。
「…………さて、ギルドの方にどう説明しようか」
「普通に逃げられてしまった、というだけでは駄目なのか」
「ん~~~~~…………ダメというか、ちょっとな」
ティールは冒険者になった初っ端からブラッディ―タイガーという怪物を一人で倒した。
その後もソロで、または途中から一緒に共に行動し始めたラストと共に何度もBランクモンスターを倒している。
そして森林暗危でモンスターパーティーが起こった際、大群のトップ的モンスターであるアドバースコングを討伐。
ボスを倒すまでに多くのモンスターを討伐している事からも、その殲滅力の高さをギルドが知らないわけがない。
「仮にそう説明したとして、ギルドが納得すると思うか?」
「周囲には誰もいなかった。それなら、納得するもしないも関係無いのではないか?」
「それはまぁ、そうなんだけど……」
確かにラストがヴァルガングが戦っている最中、周囲に他の冒険者たちの気配はなかった。
遠くから見られてる視線も感じなかった。
そういう事実を考えれば、二人がヴァルガングには逃げられましたと報告したところで、咎められたりすることはない。
「……であれば、そもそも報告しないというのはどうだ?」
「???」
「俺たちの戦いは、誰も観ていなかったのだろ」
「そうだな。全く気配も視線も感じなかった」
「そもそも俺たちがゴブリンとウルフ系モンスターの群れと戦ったという事実を知る者がいないのであれば、わざわざ説明する必要はない……という事にならないか」
(……ありっちゃありなんだけど、冒険者という立場を考えればアウトだよな)
ティールが考えている通り、今回の一件を冒険者ギルドに伝えないのはアウトである。
バレなければ嘘というのは嘘と認識されない。
「…………バレないと思うか?」
「俺はバレないと思う。ギルド、他の同業者たちからすれば早く片づけたい内容なのだろうが、ヴァルガングという危険なモンスターがいると解ってるのだろ。それなら、討伐出来るだけの戦力を集める必要があるだろう」
「確かにそれはそうなんだが……しょうがない。そういうのを無視して好き勝手動いたんだし、最後の最後まで今回は好き勝手に動くとするか」
「それが一番だ。もし心配なら、このゴブリンの死体だけは残していけば良いんじゃないか?」
「……ナイスな案だ、ラスト」
夕方まで適当なモンスターを狩って街に戻り、素材と魔石を売却。
後日、多くの冒険者が討伐に向かったが……そこには腐った死体が散乱していた。
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