あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

文字の大きさ
上 下
466 / 727

最後まで好き勝手

しおりを挟む
「……なぁ、ヴァルガング。お前……これ以上、人を殺せないって誓えるか」

「…………」

ティールは身振り手振りでヴァルガングに自身の要望を伝えた。

ある程度賢さがあるため、目の前の人間が何を伝えようとしているのか、理解するのは難しくない。

「おっ」

「ん?」

十秒ほど考え込んだヴァルガングは二人の要望に承諾。
その証拠として……ティールとラスト、王の素質を持つ二人と盟友契約を行った。

証拠に、二人の手の甲には数秒間、青色の牙が浮かび上がり、直ぐに消えた。
しかし……マークが消えても、そこにあるという感覚は残っている。

「えっと……あれか、友達になったって感じか」

「そういう事みたいだな」

ヴァルガングと盟友契約を結んだ二人だが、ヴァルガングの方から二人を呼び出すことは出来ない。

だが、俺はあなた達二人に従う。
そう示すために、ティールとラストはヴァルガングを好きなタイミングで召喚する事が出来る。

(なるほどなるほど。これは確かに、ヴァルガングが俺たちに従った、要望に応えるという証拠になるな)

(……ヴァルガングが盟友、か。これは恐らく凄いことなのだろうな)

ラストの感想通り、Bランクモンスターであるヴァルガングを盟友……簡単に言ってしまえば、従魔にしたという事実は、殆ど例がない功績と言える。

「……それじゃ、お前がこれから人を食わない、襲わないって信じるよ」

「ワゥッ!!!!」

盟友の声に応え、ヴァルガングはその場から走り去っていった。

「…………さて、ギルドの方にどう説明しようか」

「普通に逃げられてしまった、というだけでは駄目なのか」

「ん~~~~~…………ダメというか、ちょっとな」

ティールは冒険者になった初っ端からブラッディ―タイガーという怪物を一人で倒した。
その後もソロで、または途中から一緒に共に行動し始めたラストと共に何度もBランクモンスターを倒している。

そして森林暗危でモンスターパーティーが起こった際、大群のトップ的モンスターであるアドバースコングを討伐。
ボスを倒すまでに多くのモンスターを討伐している事からも、その殲滅力の高さをギルドが知らないわけがない。

「仮にそう説明したとして、ギルドが納得すると思うか?」

「周囲には誰もいなかった。それなら、納得するもしないも関係無いのではないか?」

「それはまぁ、そうなんだけど……」

確かにラストがヴァルガングが戦っている最中、周囲に他の冒険者たちの気配はなかった。
遠くから見られてる視線も感じなかった。
そういう事実を考えれば、二人がヴァルガングには逃げられましたと報告したところで、咎められたりすることはない。

「……であれば、そもそも報告しないというのはどうだ?」

「???」

「俺たちの戦いは、誰も観ていなかったのだろ」

「そうだな。全く気配も視線も感じなかった」

「そもそも俺たちがゴブリンとウルフ系モンスターの群れと戦ったという事実を知る者がいないのであれば、わざわざ説明する必要はない……という事にならないか」

(……ありっちゃありなんだけど、冒険者という立場を考えればアウトだよな)

ティールが考えている通り、今回の一件を冒険者ギルドに伝えないのはアウトである。

バレなければ嘘というのは嘘と認識されない。

「…………バレないと思うか?」

「俺はバレないと思う。ギルド、他の同業者たちからすれば早く片づけたい内容なのだろうが、ヴァルガングという危険なモンスターがいると解ってるのだろ。それなら、討伐出来るだけの戦力を集める必要があるだろう」

「確かにそれはそうなんだが……しょうがない。そういうのを無視して好き勝手動いたんだし、最後の最後まで今回は好き勝手に動くとするか」

「それが一番だ。もし心配なら、このゴブリンの死体だけは残していけば良いんじゃないか?」

「……ナイスな案だ、ラスト」

夕方まで適当なモンスターを狩って街に戻り、素材と魔石を売却。

後日、多くの冒険者が討伐に向かったが……そこには腐った死体が散乱していた。
しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

仲良しな天然双子は、王族に転生しても仲良しで最強です♪

桐生桜月姫
ファンタジー
 愛良と晶は仲良しで有名な双子だった。  いつも一緒で、いつも同じ行動をしていた。  好き好みもとても似ていて、常に仲良しだった。  そして、一緒に事故で亡くなった。  そんな2人は転生して目が覚めても、またしても双子でしかも王族だった!?  アイリスとアキレスそれが転生後の双子の名前だ。  相変わらずそっくりで仲良しなハイエルフと人間族とのハーフの双子は異世界知識を使って楽しくチートする!! 「わたしたち、」「ぼくたち、」 「「転生しても〜超仲良し!!」」  最強な天然双子は今日もとっても仲良しです!!

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

伯爵家の三男は冒険者を目指す!

おとうふ
ファンタジー
2024年8月、更新再開しました! 佐藤良太はとある高校に通う極普通の高校生である。いつものように彼女の伶奈と一緒に歩いて下校していたところ、信号無視のトラックが猛スピードで突っ込んで来るのが見えた。良太は咄嗟に彼女を突き飛ばしたが、彼は迫り来るトラックを前に為すすべも無く、あっけなくこの世を去った。 彼が最後に見たものは、驚愕した表情で自分を見る彼女と、完全にキメているとしか思えない、トラックの運転手の異常な目だった... (...伶奈、ごめん...) 異世界に転生した良太は、とりあえず父の勧める通りに冒険者を目指すこととなる。学校での出会いや、地球では体験したことのない様々な出来事が彼を待っている。 初めて投稿する作品ですので、温かい目で見ていただければ幸いです。 誤字・脱字やおかしな表現や展開など、指摘があれば遠慮なくお願い致します。 1話1話はとても短くなっていますので、サクサク読めるかなと思います。

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)

たぬころまんじゅう
ファンタジー
 小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。  しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。  士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。  領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。 異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル! ☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆

処理中です...