450 / 693
こいつは例外
しおりを挟む
「あっ、ジンさん。夕食後ぐらいの、自警団の人たちを連れて、親方の元へ向かってください」
「おやっさんの仕事場にか? なんでだ?」
「実は……」
ティールは親方に頼んだ仕事内容を伝えた。
すると、ジン……よりも、指導を受けていた子供たちの方が盛り上がっていた。
「おいお前ら、盛り上がるのは勝手だが、おやっさんが造った装備を受け取れるのは自警団として動いてる奴らだけであって、お前たち候補生にはないぞ」
「「「「「「ッ!!!???」」」」」」」
ジンの言葉を聞き、ロウを含む候補生たちの表情は愕然。
ティールに救いの眼を求めるも、苦笑いを浮かべるだけ。
「バ~カ。当たり前だろ。お前らがそこそこ頑張ってんのは認めるが、ガキの内から真剣を使うなんて、無茶も良いところだ」
「で、でもティールさんは子供の頃から使ってたって!」
「ティールをお前らと一緒にすんな。そういうのはな、石ころを投擲するだけで雑魚をしっかり殺せるぐらい強くなってからもう一度言え」
雑魚とはいえ、モンスターを石ころでの投擲で瞬殺。
これがまた誇張された嘘ではない為、候補生たちはティールとの差に若干絶望。
しかし、自分のそういった話を信じてくれている子供たちに、ティールは僅かな希望を伝えた。
「えっと、皆は皆で出来ることがあるから、実際にモンスターと遭遇した場合、どういった手順で倒すかを考えるだけでも色々と変わってくると思うよ」
「実戦になったら思い通りにいかねぇなんてザラだけどな」
「ジンさん……」
ティールがそれらしいアドバイスをロウたちに送るも、ジンが事実ではあるものの、候補生たちのテンションが下がる言葉をぶっこんでくる。
「ラストはこう……良い感じのアドバイスはないか」
「…………」
主人からの要望に応えるため、ラストは数十秒の間全力で悩み、どうすれば彼らが雑魚モンスターを討伐出来るか……一応それらしい答えを導き出した。
「目があるモンスターは、そこを潰されると、途端に行動が大雑把になる」
「同時に痛みもあるから、数秒の間は動きを制限出来るかもしれないね」
「マスターの言葉通り、大きな隙が生まれる。そのため、木剣……もしくは木槍で挑むのであれば、まずそこを潰すのを勧める」
ラストのアドバイスはそこで終わらず、しっかりと続きがある。
「ただ、敵も向かってくる攻撃に対して避けるという選択肢がある。その時、モンスターが反撃して来ようとした場合、このように対処する」
突きのモーションを行ってから、外れたという仮定で蹴りを叩きこむ。
それを素早く三パターン、候補生たちの前で実演。
(ひゅ~~、流石ティールの相棒だな。動きにキレがあるぜ)
ジンは動きのキレ、対応策に関して賞賛を送る。
「お前たちはまだまだこれから大きくなる。体が大きくなれば、自然と蹴りのリーチも伸びる。カウンターを防ぐ選択肢としては一つの手だと思うぞ」
「「「「「「「は、はい!!!」」」」」」」
現役冒険者からの貴重なアドバイスを受けた子供たちは、早速ラストの動きを必死に真似し始めた。
「良いアドバイス内容だな。んで、ティール先輩からはもうアドバイスはないのか?」
「今の状態でアドバイス出来る内容って結構限られてると思うんですけど……まぁ、強いて言うなら実戦の時は足場や周囲の状況気にするぐらいですかね」
本当にティールが追加でアドバイスを口にしたことで、候補生たちは直ぐに動きを止めて集合し、先輩の言葉に
耳を傾けた。
「今こうやって特定の状況を想定して訓練するのも大事だけど、さっきジンさんが言った通り、いざ実戦になると思い通りに事が運ばない場合がある。その要因の中でも一番なのが、周囲の状況だと僕は思ってる」
村の中ではティールの言う通り、実際の戦場を想定した訓練が行えない。
「ティール先輩の言う通りだぞお前ら。お前らがこれからどういう道に進むのかは知らねぇが、体だけじゃなくて頭も鍛えていかねぇと実戦じゃあっさり死ぬからな」
「「「「「「「はい!!!」」」」」」」
師たちからのアドバイスを受け、候補生たちはより一層訓練への集中力を高めた。
「おやっさんの仕事場にか? なんでだ?」
「実は……」
ティールは親方に頼んだ仕事内容を伝えた。
すると、ジン……よりも、指導を受けていた子供たちの方が盛り上がっていた。
「おいお前ら、盛り上がるのは勝手だが、おやっさんが造った装備を受け取れるのは自警団として動いてる奴らだけであって、お前たち候補生にはないぞ」
「「「「「「ッ!!!???」」」」」」」
ジンの言葉を聞き、ロウを含む候補生たちの表情は愕然。
ティールに救いの眼を求めるも、苦笑いを浮かべるだけ。
「バ~カ。当たり前だろ。お前らがそこそこ頑張ってんのは認めるが、ガキの内から真剣を使うなんて、無茶も良いところだ」
「で、でもティールさんは子供の頃から使ってたって!」
「ティールをお前らと一緒にすんな。そういうのはな、石ころを投擲するだけで雑魚をしっかり殺せるぐらい強くなってからもう一度言え」
雑魚とはいえ、モンスターを石ころでの投擲で瞬殺。
これがまた誇張された嘘ではない為、候補生たちはティールとの差に若干絶望。
しかし、自分のそういった話を信じてくれている子供たちに、ティールは僅かな希望を伝えた。
「えっと、皆は皆で出来ることがあるから、実際にモンスターと遭遇した場合、どういった手順で倒すかを考えるだけでも色々と変わってくると思うよ」
「実戦になったら思い通りにいかねぇなんてザラだけどな」
「ジンさん……」
ティールがそれらしいアドバイスをロウたちに送るも、ジンが事実ではあるものの、候補生たちのテンションが下がる言葉をぶっこんでくる。
「ラストはこう……良い感じのアドバイスはないか」
「…………」
主人からの要望に応えるため、ラストは数十秒の間全力で悩み、どうすれば彼らが雑魚モンスターを討伐出来るか……一応それらしい答えを導き出した。
「目があるモンスターは、そこを潰されると、途端に行動が大雑把になる」
「同時に痛みもあるから、数秒の間は動きを制限出来るかもしれないね」
「マスターの言葉通り、大きな隙が生まれる。そのため、木剣……もしくは木槍で挑むのであれば、まずそこを潰すのを勧める」
ラストのアドバイスはそこで終わらず、しっかりと続きがある。
「ただ、敵も向かってくる攻撃に対して避けるという選択肢がある。その時、モンスターが反撃して来ようとした場合、このように対処する」
突きのモーションを行ってから、外れたという仮定で蹴りを叩きこむ。
それを素早く三パターン、候補生たちの前で実演。
(ひゅ~~、流石ティールの相棒だな。動きにキレがあるぜ)
ジンは動きのキレ、対応策に関して賞賛を送る。
「お前たちはまだまだこれから大きくなる。体が大きくなれば、自然と蹴りのリーチも伸びる。カウンターを防ぐ選択肢としては一つの手だと思うぞ」
「「「「「「「は、はい!!!」」」」」」」
現役冒険者からの貴重なアドバイスを受けた子供たちは、早速ラストの動きを必死に真似し始めた。
「良いアドバイス内容だな。んで、ティール先輩からはもうアドバイスはないのか?」
「今の状態でアドバイス出来る内容って結構限られてると思うんですけど……まぁ、強いて言うなら実戦の時は足場や周囲の状況気にするぐらいですかね」
本当にティールが追加でアドバイスを口にしたことで、候補生たちは直ぐに動きを止めて集合し、先輩の言葉に
耳を傾けた。
「今こうやって特定の状況を想定して訓練するのも大事だけど、さっきジンさんが言った通り、いざ実戦になると思い通りに事が運ばない場合がある。その要因の中でも一番なのが、周囲の状況だと僕は思ってる」
村の中ではティールの言う通り、実際の戦場を想定した訓練が行えない。
「ティール先輩の言う通りだぞお前ら。お前らがこれからどういう道に進むのかは知らねぇが、体だけじゃなくて頭も鍛えていかねぇと実戦じゃあっさり死ぬからな」
「「「「「「「はい!!!」」」」」」」
師たちからのアドバイスを受け、候補生たちはより一層訓練への集中力を高めた。
27
お気に入りに追加
1,798
あなたにおすすめの小説
【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた
きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました!
「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」
魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。
魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。
信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。
悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。
かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。
※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。
※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。
私の代わりが見つかったから契約破棄ですか……その代わりの人……私の勘が正しければ……結界詐欺師ですよ
Ryo-k
ファンタジー
「リリーナ! 貴様との契約を破棄する!」
結界魔術師リリーナにそう仰るのは、ライオネル・ウォルツ侯爵。
「彼女は結界魔術師1級を所持している。だから貴様はもう不要だ」
とシュナ・ファールと名乗る別の女性を部屋に呼んで宣言する。
リリーナは結界魔術師2級を所持している。
ライオネルの言葉が本当なら確かにすごいことだ。
……本当なら……ね。
※完結まで執筆済み
荷物持ちの代名詞『カード収納スキル』を極めたら異世界最強の運び屋になりました
夢幻の翼
ファンタジー
使い勝手が悪くて虐げられている『カード収納スキル』をメインスキルとして与えられた転生系主人公の成り上がり物語になります。
スキルがレベルアップする度に出来る事が増えて周りを巻き込んで世の中の発展に貢献します。
ハーレムものではなく正ヒロインとのイチャラブシーンもあるかも。
驚きあり感動ありニヤニヤありの物語、是非一読ください。
※カクヨムで先行配信をしています。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました
初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。
ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。
冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。
のんびり書いていきたいと思います。
よければ感想等お願いします。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる