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鬱憤解消?
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「おっ、降りてきやがったぜ」
二人が入り口まで戻ると、当然……並んでいた冒険者たちが解散してるわけがなく、中には二人の帰還をニヤニヤと笑っている者もいた。
こういった場面では、よくラストが顔に感情が現れてしまうが、今はどこか達観した表情を浮かべている。
(こいつら、多分俺たちは失敗した……もしくは、何もせずに戻ってきたと思ってるんだろうな。そう考えてしまう気持ちは解るけど)
この場にいる者たちに上で何があったのかを教える必要はない。
必要はない、が……それを教えないのは、今後出会うかもしれない同業者たちへ変な噂が流れてしまうかもしれないと思い、ゆっくりと口を開く。
「悪いけど、ドラゴンの涙は俺たちが手に入れたから」
「「「「「「「「「「ッ!!!!????」」」」」」」」」」
冒険者たちは全員大なり小なり……ではなく、一人残らず表情を大きく変えた。
「ふ、ふざけんな!!! いくらお前らが歳に似合わねぇ実力を持ってても、二人であの化け物に勝てる訳ねぇだろ!!!!」
一人の男が順番待ちしていた同業者たちの思いを代弁。
現在順番待ちしている冒険者たちの中には友を殺された者もおり、そのためやや感情的になってる者が少なくない。
「くだらねぇ嘘ついてんじゃねぇぞ!!!」
「嘘じゃないっての、めんどくさいな……ほら、鑑定したらどうだ」
そう言いながら、ティールは亜空間の中からドラゴンの涙が入った特殊ビンを取り出した。
「ッ……」
「おっと、鑑定を使うにしてもそれ以上近づくな。理由は言わなくても解るよな」
何十メートルも離れている訳ではないので、その場から鑑定を使っても詳細は解かる。
ラストが牙竜の柄に手をかけていることもあり、冒険者たちの中で鑑定を使える者たちはその場で使用し……ティールが持つビンの中身を確認。
「ッ…………本当に、ドラゴンの涙だ」
「「「「「「「「「「ッ!!!!!」」」」」」」」」」
再度、冒険者たちに大きな衝撃が走る。
そして……何名かは、瞳が狩人の眼へと変化。
「止めとけって」
亜空間の中にドラゴンの涙をしまい、ティールはそっと……同業者たちが気付かない速度で疾風瞬閃と豹雷を抜剣していた。
「あんたら、かなり強いだろ。ドラゴンの涙を奪いに来るってなら……容赦は出来ない」
闘志が、闘気が……戦意を越えて殺気が膨れ上がる。
「もし、奪いに来るなら……あんたらを殺すつもりで迎撃する」
「ッ!!?? ん、の、ガキが……」
ティールの言葉通り、レグレザイアからドラゴンの涙を手に入れようと訪れていた冒険者たちは、皆当然の様に平均以上の実力を身に付けている者ばかり。
いくら努力の蓄積とスキルがチートであるティールであっても、殺意を抑えてなんとか出来るほど温い相手ではない。
「殺るのか? 殺り合うなら……上等だ、相手になるぞ」
二人とも少し前まで飯を食べ、それなりに魔力は消費したが、体力は満タンに近い。
結果としてドラゴンの涙は手に入れたが、正直……消化不良なところがあった。
数的には超不利ではあるが、正当防衛を理由に暴れる気満々。
ラストは彼らに対してかなりの鬱憤が溜まっていたこともあり、普段以上の実力を発揮してもおかしくない圧を発していた。
「……僕たちが悪かった。だから、矛を収めてくれないか」
一人の優男が代表して、争う気はないと口にする。
とはいえ、当然反論が出る。
「君たちもバカではないだろ。彼ら二人を相手にして、本当に無傷で……死なずにいられると思うのかい」
「ぐっ!! それは……クソがっ!!!!!!」
血気盛んで野蛮な連中も薄々気づいていた。
目の前の二人はスーパールーキー、どころの話ではない。
そんな安い言葉で表現できる実力者ではないと、本能は理解していた。
「すまないね。君たちには手を出さないと誓うよ」
「……後ろから刺してきたら、本気で殺しますから」
「ッ!! あぁ、勿論だよ」
最後の最後でダメ押しの殺気を放たれ、優男は一歩後退りながらも深く頷いた。
二人が入り口まで戻ると、当然……並んでいた冒険者たちが解散してるわけがなく、中には二人の帰還をニヤニヤと笑っている者もいた。
こういった場面では、よくラストが顔に感情が現れてしまうが、今はどこか達観した表情を浮かべている。
(こいつら、多分俺たちは失敗した……もしくは、何もせずに戻ってきたと思ってるんだろうな。そう考えてしまう気持ちは解るけど)
この場にいる者たちに上で何があったのかを教える必要はない。
必要はない、が……それを教えないのは、今後出会うかもしれない同業者たちへ変な噂が流れてしまうかもしれないと思い、ゆっくりと口を開く。
「悪いけど、ドラゴンの涙は俺たちが手に入れたから」
「「「「「「「「「「ッ!!!!????」」」」」」」」」」
冒険者たちは全員大なり小なり……ではなく、一人残らず表情を大きく変えた。
「ふ、ふざけんな!!! いくらお前らが歳に似合わねぇ実力を持ってても、二人であの化け物に勝てる訳ねぇだろ!!!!」
一人の男が順番待ちしていた同業者たちの思いを代弁。
現在順番待ちしている冒険者たちの中には友を殺された者もおり、そのためやや感情的になってる者が少なくない。
「くだらねぇ嘘ついてんじゃねぇぞ!!!」
「嘘じゃないっての、めんどくさいな……ほら、鑑定したらどうだ」
そう言いながら、ティールは亜空間の中からドラゴンの涙が入った特殊ビンを取り出した。
「ッ……」
「おっと、鑑定を使うにしてもそれ以上近づくな。理由は言わなくても解るよな」
何十メートルも離れている訳ではないので、その場から鑑定を使っても詳細は解かる。
ラストが牙竜の柄に手をかけていることもあり、冒険者たちの中で鑑定を使える者たちはその場で使用し……ティールが持つビンの中身を確認。
「ッ…………本当に、ドラゴンの涙だ」
「「「「「「「「「「ッ!!!!!」」」」」」」」」」
再度、冒険者たちに大きな衝撃が走る。
そして……何名かは、瞳が狩人の眼へと変化。
「止めとけって」
亜空間の中にドラゴンの涙をしまい、ティールはそっと……同業者たちが気付かない速度で疾風瞬閃と豹雷を抜剣していた。
「あんたら、かなり強いだろ。ドラゴンの涙を奪いに来るってなら……容赦は出来ない」
闘志が、闘気が……戦意を越えて殺気が膨れ上がる。
「もし、奪いに来るなら……あんたらを殺すつもりで迎撃する」
「ッ!!?? ん、の、ガキが……」
ティールの言葉通り、レグレザイアからドラゴンの涙を手に入れようと訪れていた冒険者たちは、皆当然の様に平均以上の実力を身に付けている者ばかり。
いくら努力の蓄積とスキルがチートであるティールであっても、殺意を抑えてなんとか出来るほど温い相手ではない。
「殺るのか? 殺り合うなら……上等だ、相手になるぞ」
二人とも少し前まで飯を食べ、それなりに魔力は消費したが、体力は満タンに近い。
結果としてドラゴンの涙は手に入れたが、正直……消化不良なところがあった。
数的には超不利ではあるが、正当防衛を理由に暴れる気満々。
ラストは彼らに対してかなりの鬱憤が溜まっていたこともあり、普段以上の実力を発揮してもおかしくない圧を発していた。
「……僕たちが悪かった。だから、矛を収めてくれないか」
一人の優男が代表して、争う気はないと口にする。
とはいえ、当然反論が出る。
「君たちもバカではないだろ。彼ら二人を相手にして、本当に無傷で……死なずにいられると思うのかい」
「ぐっ!! それは……クソがっ!!!!!!」
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目の前の二人はスーパールーキー、どころの話ではない。
そんな安い言葉で表現できる実力者ではないと、本能は理解していた。
「すまないね。君たちには手を出さないと誓うよ」
「……後ろから刺してきたら、本気で殺しますから」
「ッ!! あぁ、勿論だよ」
最後の最後でダメ押しの殺気を放たれ、優男は一歩後退りながらも深く頷いた。
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