425 / 728
うっかり死亡
しおりを挟む
「岩窟、竜? ……超ヤバいドラゴン、ってことっすか?」
「噂だけどな。その超ヤバいドラゴンが、ウリプール付近の山にいるらしいぜ」
狩り、依頼、訓練。
その三つ以外の時間は、全て急速に費やしてきたティール。
訓練も朝から晩まで行うことはなく、昼過ぎには切り上げて稀に歓楽街のカジノに行くこともしばしば。
怠けてはいないが、十分休息取っていたティールの耳に、面白良さげな情報が入った。
「その超ヤバいドラゴンは、何かやってたりするんですか?」
「いや、特に自分から人間に被害を加えてはいないみてぇだぜ」
「えっ……なら、なんでわざわざ割と人の街から近い場所に住んでるんですか?」
「そんなの俺にだって解んねぇよ。単純にあれじゃねぇか、住み心地が良いとか」
モンスターは割と気ままなこともあり、先輩冒険者の言う通り、住み心地を優先して拠点を選ぶ場合もある。
「でも、被害を出してるとか関係無しに、ドラゴンと聞けば挑みたくなるのが冒険者だろ」
「……そうっすね」
超ヤバいドラゴンと聞き、体に僅かな武者震いが起きた。
ラストにとっても非常にヤバ過ぎて畏怖する存在……ではあるが、主人と同じ様に武者震いした。
「まっ、その超ヤバいドラゴンは超強いが、どうやら温厚な性格らしい」
「超ヤバいのに、温厚なんですね」
「ランクが上になれば、そういうドラゴンもそこそこいるらしいぞ。ただ……岩窟竜としても、ただ殺られるわけにはいかねぇんだろう。戦闘に負けてもウリプールに戻れる冒険者もいるらしいが、殺される奴もいるらしい」
「……そのドラゴンも、力加減が完璧ではないのだろう」
「多分ラストの言う通りなんだろうな。挑んでも絶対に生きて帰ってこれる訳じゃねぇから、挑戦者は減ったみてぇだが、強欲な奴らはそう簡単に消えねぇだろうな」
言葉通り、岩窟竜レグレザイアのランクはA。
仮に……仮に討伐に成功すれば、一攫千金ゲットは確実。
素材を利用すれば、装備の質が上がって更に強さが増す。
(気になる……気になりはするが、勝負を挑んでも無駄だろうな)
興味津々ではあるが、喧嘩を売る気が一切湧かないティール。
ラストも一人の竜人族として興味が尽きない存在ではあるが、勇気と無謀をはき違えるほど愚かではない。
しかし……なにはともあれ、次の目的地は決まった。
いつでも準備万端な二人は、翌日にはウリプールへと向かい出した。
「岩窟竜、か……やっぱり、超防御力が高いよな」
「土属性のドラゴンは、ドラゴンの中でも一番強固な鎧を持つ。その分敏捷性は欠けるが、生半可な攻撃では掠り傷すら与えられない……らしいぞ」
同じ竜人族の猛者から聞いた話であり、ラストはその防御力の高さを体験したことはない。
ただ……やはり、無謀な勇気は湧いてこない。
その感覚は正しく、Bランクモンスターとは桁が違う戦闘力を持つ。
今まで何度も修羅場を潜り抜けてきてレベルアップしてきた二人だが、Aランクモンスターには挑むのは……あだ時期尚早。
「……防御力が恐ろしいく高いってことは、多分物理攻撃の威力も高いよな」
「経験上、そう予想出来るな」
人には向き不向きがある。
万能そうに思われるティールでも、不安になる部分はある。
それが防御力。
同世代と比べれば勿論一歩先を行っているが、仮に今ブラッディ―タイガーの爪撃を食らえば……依然として致命傷となりうる。
モロに食らえばの話ではあるが、相変わらず防御面はやや心もとない。
岩窟竜の物理攻撃など食らえば、文字通り潰れてしまう。
そんな戦えばおそらく死ぬであろう超強敵ではあるが……一目見てみたいという気持ちがあった。
(皆、岩窟竜に挑もうとするから死ぬんだよな。それなら……別に挑まなければ、死にはしない、よな?)
ティールはウリプールに到着後、早速岩窟竜が住処を正確に調べ始めた。
「噂だけどな。その超ヤバいドラゴンが、ウリプール付近の山にいるらしいぜ」
狩り、依頼、訓練。
その三つ以外の時間は、全て急速に費やしてきたティール。
訓練も朝から晩まで行うことはなく、昼過ぎには切り上げて稀に歓楽街のカジノに行くこともしばしば。
怠けてはいないが、十分休息取っていたティールの耳に、面白良さげな情報が入った。
「その超ヤバいドラゴンは、何かやってたりするんですか?」
「いや、特に自分から人間に被害を加えてはいないみてぇだぜ」
「えっ……なら、なんでわざわざ割と人の街から近い場所に住んでるんですか?」
「そんなの俺にだって解んねぇよ。単純にあれじゃねぇか、住み心地が良いとか」
モンスターは割と気ままなこともあり、先輩冒険者の言う通り、住み心地を優先して拠点を選ぶ場合もある。
「でも、被害を出してるとか関係無しに、ドラゴンと聞けば挑みたくなるのが冒険者だろ」
「……そうっすね」
超ヤバいドラゴンと聞き、体に僅かな武者震いが起きた。
ラストにとっても非常にヤバ過ぎて畏怖する存在……ではあるが、主人と同じ様に武者震いした。
「まっ、その超ヤバいドラゴンは超強いが、どうやら温厚な性格らしい」
「超ヤバいのに、温厚なんですね」
「ランクが上になれば、そういうドラゴンもそこそこいるらしいぞ。ただ……岩窟竜としても、ただ殺られるわけにはいかねぇんだろう。戦闘に負けてもウリプールに戻れる冒険者もいるらしいが、殺される奴もいるらしい」
「……そのドラゴンも、力加減が完璧ではないのだろう」
「多分ラストの言う通りなんだろうな。挑んでも絶対に生きて帰ってこれる訳じゃねぇから、挑戦者は減ったみてぇだが、強欲な奴らはそう簡単に消えねぇだろうな」
言葉通り、岩窟竜レグレザイアのランクはA。
仮に……仮に討伐に成功すれば、一攫千金ゲットは確実。
素材を利用すれば、装備の質が上がって更に強さが増す。
(気になる……気になりはするが、勝負を挑んでも無駄だろうな)
興味津々ではあるが、喧嘩を売る気が一切湧かないティール。
ラストも一人の竜人族として興味が尽きない存在ではあるが、勇気と無謀をはき違えるほど愚かではない。
しかし……なにはともあれ、次の目的地は決まった。
いつでも準備万端な二人は、翌日にはウリプールへと向かい出した。
「岩窟竜、か……やっぱり、超防御力が高いよな」
「土属性のドラゴンは、ドラゴンの中でも一番強固な鎧を持つ。その分敏捷性は欠けるが、生半可な攻撃では掠り傷すら与えられない……らしいぞ」
同じ竜人族の猛者から聞いた話であり、ラストはその防御力の高さを体験したことはない。
ただ……やはり、無謀な勇気は湧いてこない。
その感覚は正しく、Bランクモンスターとは桁が違う戦闘力を持つ。
今まで何度も修羅場を潜り抜けてきてレベルアップしてきた二人だが、Aランクモンスターには挑むのは……あだ時期尚早。
「……防御力が恐ろしいく高いってことは、多分物理攻撃の威力も高いよな」
「経験上、そう予想出来るな」
人には向き不向きがある。
万能そうに思われるティールでも、不安になる部分はある。
それが防御力。
同世代と比べれば勿論一歩先を行っているが、仮に今ブラッディ―タイガーの爪撃を食らえば……依然として致命傷となりうる。
モロに食らえばの話ではあるが、相変わらず防御面はやや心もとない。
岩窟竜の物理攻撃など食らえば、文字通り潰れてしまう。
そんな戦えばおそらく死ぬであろう超強敵ではあるが……一目見てみたいという気持ちがあった。
(皆、岩窟竜に挑もうとするから死ぬんだよな。それなら……別に挑まなければ、死にはしない、よな?)
ティールはウリプールに到着後、早速岩窟竜が住処を正確に調べ始めた。
30
お気に入りに追加
1,804
あなたにおすすめの小説

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!

私、のんびり暮らしたいんです!
クロウ
ファンタジー
神様の手違いで死んだ少女は、異世界のとある村で転生した。
神様から貰ったスキルで今世はのんびりと過ごすんだ!
しかし番を探しに訪れた第2王子に、番認定をされて……。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。

妹が聖女の再来と呼ばれているようです
田尾風香
ファンタジー
ダンジョンのある辺境の地で回復術士として働いていたけど、父に呼び戻されてモンテリーノ学校に入学した。そこには、私の婚約者であるファルター殿下と、腹違いの妹であるピーアがいたんだけど。
「マレン・メクレンブルク! 貴様とは婚約破棄する!」
どうやらファルター殿下は、"低能"と呼ばれている私じゃなく、"聖女の再来"とまで呼ばれるくらいに成績の良い妹と婚約したいらしい。
それは別に構わない。国王陛下の裁定で無事に婚約破棄が成った直後、私に婚約を申し込んできたのは、辺境の地で一緒だったハインリヒ様だった。
戸惑う日々を送る私を余所に、事件が起こる。――学校に、ダンジョンが出現したのだった。
更新は不定期です。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった
Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。
*ちょっとネタばれ
水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!!
*11月にHOTランキング一位獲得しました。
*なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。
*パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

神々に育てられた人の子は最強です
Solar
ファンタジー
突如現れた赤ん坊は多くの神様に育てられた。
その神様たちは自分たちの力を受け継ぐようその赤ん
坊に修行をつけ、世界の常識を教えた。
何故なら神様たちは人の闇を知っていたから、この子にはその闇で死んで欲しくないと思い、普通に生きてほしいと思い育てた。
その赤ん坊はすくすく育ち地上の学校に行った。
そして十八歳になった時、高校生の修学旅行に行く際異世界に召喚された。
その世界で主人公が楽しく冒険し、異種族達と仲良くし、無双するお話です
初めてですので余り期待しないでください。
小説家になろう、にも登録しています。そちらもよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる