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生涯現役?

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モンスターパーティーの討伐を終え、イガルディスへ帰還した二人は宴会後の翌日……スタミナが量業者よりも多いラストとティールだが、さすがに休息日に指定。

「マスター、朝だぞ」

「……もう少し、寝る」

「そうか」

普段はサクっと起きるティールだが、本日は二度寝を結構。

主人がまだ寝ると言ったので、ラストも偶にはありかと思い、再びベッドに入った。

「マスター、もう昼だがどうする。まだ寝るか?」

「……いや、起きる」

まだ寝ようと思えば、寝れたかもしれないない。
しかし、これ以上寝てしまうと明日以降に影響すると思い、バキバキに固い体を無理矢理起こし、食堂へ向かった。

寝起きではあるが、半日も飯を食べていなかった為、がっつり昼食を食べてから、二人はとりあえず宿屋から出た。
特に目的はないが、宿屋にいてもやることはない。

「そういえば、まだギルドにモンスターの素材や魔石を……いや、そもそも解体をしていないのではないか?」

「っ、そうだったな。体を動かすには丁度良いし、やるか」

二人が冒険者ギルドに向かい、職員に事情を説明。

ギルドの方からも何人か解体師を送り、ティールとラストも含めて六人でモンスターの解体を始める。

「お前ら、良い腕してるな。どうだ、引退したらギルド専属の解体師にならねぇか」

十数年以上はその道で食っているプロから見ても、二人の……特にティールの解体技術やスピードには、目を見張るものがあった。

「引退したら、ですか……選択肢の一つには入れておきます」

まだ二十も超えていないティールにとって、引退後のイメージは中々浮かばない。

(引退、か。そもそも引退する年齢が何歳になるのか分からないし、まず……死なない可能性がゼロじゃない、からな)

モンスターパーティーの終盤、ティールがアドバースコングと戦っている頃、ラストも多くのモンスターを相手に激戦を繰り広げていた。

そのタイミングでティールが運悪くアドバースコングの強化された一撃を食らってしまった場合、直ぐに応援に駆け付けるのは不可能。

そして強化された一撃を食らってしまった場合、食らったダメージの影響で、数秒間は体を動かせない。
つまり、傷を癒すポーションを飲めない。

再生というチート回復スキルがあるが、完全に回復するのに多少の時間が必要。
それらの時間があれば、アドバースコングが止めの一撃を刺すことは難しくない。

今までの戦闘においても、死ななかった可能性がゼロであったことは、一度もない。

「お前さんの場合、ギルドが指導者として欲しいと思うかもしれねぇけどな」

「いや、先輩。ティールさんなら、どこかの貴族様が専属の騎士として欲しがるかもしれませんよ」

「そういう展開もあるかもな」

有名どころの冒険者を囲いたい。
そういう考えを持っている貴族は珍しくない。

完全に縛ることはなくとも、食客という扱いで自身の戦力の一つにする手もある。

「騎士ですか……俺はあんまり堪え性がないんで、そういう職業には向いてないですね」

まだ子供とはいえ、先日ダル絡みしてきたルーキーたちの骨を、一人残らずバキバキに折った。

その件に関しては解体師たちの耳にも入っており、苦笑いを浮かべる。

「マスターが結婚するなら話は別だが、俺としては生涯現役というイメージがあるな」

「生涯現役か。確かスピード重視の戦闘スタイルなんだよな? 個人的には、接近戦を得意とする連中の中でも、速さに優れた奴は生き残ってるイメージがあるからな……ティールなら、その道も全然あり得そうだな!」

こうして雑談しながら数時間……休みなしで解体し続けた成果もあり、全ての死体解体が終了。
必要ない素材や魔石を売って大金を得た翌日、二人はいつも通り朝からダンジョンに向かい、十一階層に転移した。
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