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噂ではあるけれど
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討伐戦当日、二人は既に街から移動し、ダンジョンの十一階層に転移していた。
「っし、行くぞ! 野郎ども!!!!」
「「「「「「うぉぉおおおおおおおおおおっ!!!!!!」」」」」」
纏め役であるBランクの冒険者が声を上げ、全員戦闘のボルテージが高まる。
目的地は十三階層。
移動距離としては、二回層分。
最短距離を進み続ければ、半日程度進める。
冒険者の数が数なため、たとえ道中モンスターに襲われたとしても、誰かが怪我を負うことはまず無い。
そう言える程の戦力が集まっている。
今回の討伐戦で集まった冒険者たちの殆どはCランク。
Bランクの冒険者とDランクの冒険者も数組いるが、基本的に凡人でも諦めずに努力と実戦を重ねた者が辿り着ける天辺、Cランクまで到達した者たちが殆ど。
十一階層以降に出現するモンスターは、確かに油断ならない個体が多い。
ただ……質が高い戦力が多ければ、群れであっても十以下では、彼らの戦力を削ることは不可能……というより、今回に限っては元気一杯なルーキー、ティールとラストが討伐戦開始前から派手に動いてるので、誇張表現ではなく、戦力を全く消費していない。
「おいおい、率先して倒してくれるのは嬉しいけど、あんまり動いてると本番ガス欠になるぜ」
と、先輩が声を掛けるが、二人の表情は普段と変わらない。
「うっす。でも大丈夫です。本番前に軽く体動かしておきたいんで」
「マスターに同意だ。軽く動いていた方が、本番までにトップギアに持っていける」
「そ、そうか……まっ、二人がそれで大丈夫なら良いんだけどさ」
二人の目を見た先輩冒険者、その目に少々見覚えがあった。
(あれが噂のヤバヤバルーキーか……もしかして、若干戦闘狂入ってるか? なんか、凄い戦闘を楽しんでる目と表情だよな……それはそれで頼もしいけど)
戦闘が大好きな人間は、どこかしら共通点がある。
目なのか表情なのか……人による部分はあるが、先輩冒険者は二人の目から、その共通点を感じ取っていた。
「うっし、休憩に入る! 一時間後には十三層に入るから、それまでには最終準備を終えてろよ」
十三層に降りる階段前まで、数にものを言わせて高速移動してきた討伐隊。
冒険者歴が長い者が多く、スタミナも比較的多いのだが……最短距離とはいえ、二回層分を殆ど止まらず移動するのは、さすがに疲れを感じる。
「ラスト、ちょっと動くか」
「そうですね」
二人は討伐隊から少し離れた場所で、エキサイトし過ぎない模擬戦を始めた。
「おいおい……あいつらバカか?」
「いや、バカではないだろ」
「だってよ、ここに来るまでの戦闘に、全て参加してただろ。その分、ちゃんと休めって話だろ」
「それが普通なんだろうけど、あの二人は普通じゃないっぽいしな」
今回の討伐戦には、Cランク以上の冒険者を集める為に、イガルディス以外の街からも冒険者を集めていた。
その為、二人の普通ではない部分をまだ知らない冒険者たちも、少なからずいる。
そんな冒険者たちに、イガルディスをメインに活動している冒険者たちが、二人のヤバいエピソードを教えた。
「はっ!? ……嘘だろ」
「嘘じゃねぇって。受付嬢がしっかり確認してんだから」
「……街のどっかで素材を買ったとかじゃなくてか?」
「そんな面倒な真似しないだろ。とにかく、あいつらは二人だけで十五階層まで降りて、十五層ボスのアサルトレパードを倒してるんだよ。一回だけじゃなくて複数回な」
その説明に、男は再度軽い運動を続けている二人に視線を向けた。
「あっちの人族……ティールの方は、冒険者になりたての頃に、ブラッディ―タイガーを倒したらしいぞ」
「っ!!!??? いや、待てよ。さすがにそれは話し盛り過ぎだろ」
「知るか。別に噂で聞いた話だから、俺だって本当かどうか分からねぇ。でも、アサルトレパードを倒せる力があるな、絶対に無理とは言えないだろ」
「…………」
男は同業者の言葉を嘘だと完全に否定は出来ず、少しの間固まってしまった。
「っし、行くぞ! 野郎ども!!!!」
「「「「「「うぉぉおおおおおおおおおおっ!!!!!!」」」」」」
纏め役であるBランクの冒険者が声を上げ、全員戦闘のボルテージが高まる。
目的地は十三階層。
移動距離としては、二回層分。
最短距離を進み続ければ、半日程度進める。
冒険者の数が数なため、たとえ道中モンスターに襲われたとしても、誰かが怪我を負うことはまず無い。
そう言える程の戦力が集まっている。
今回の討伐戦で集まった冒険者たちの殆どはCランク。
Bランクの冒険者とDランクの冒険者も数組いるが、基本的に凡人でも諦めずに努力と実戦を重ねた者が辿り着ける天辺、Cランクまで到達した者たちが殆ど。
十一階層以降に出現するモンスターは、確かに油断ならない個体が多い。
ただ……質が高い戦力が多ければ、群れであっても十以下では、彼らの戦力を削ることは不可能……というより、今回に限っては元気一杯なルーキー、ティールとラストが討伐戦開始前から派手に動いてるので、誇張表現ではなく、戦力を全く消費していない。
「おいおい、率先して倒してくれるのは嬉しいけど、あんまり動いてると本番ガス欠になるぜ」
と、先輩が声を掛けるが、二人の表情は普段と変わらない。
「うっす。でも大丈夫です。本番前に軽く体動かしておきたいんで」
「マスターに同意だ。軽く動いていた方が、本番までにトップギアに持っていける」
「そ、そうか……まっ、二人がそれで大丈夫なら良いんだけどさ」
二人の目を見た先輩冒険者、その目に少々見覚えがあった。
(あれが噂のヤバヤバルーキーか……もしかして、若干戦闘狂入ってるか? なんか、凄い戦闘を楽しんでる目と表情だよな……それはそれで頼もしいけど)
戦闘が大好きな人間は、どこかしら共通点がある。
目なのか表情なのか……人による部分はあるが、先輩冒険者は二人の目から、その共通点を感じ取っていた。
「うっし、休憩に入る! 一時間後には十三層に入るから、それまでには最終準備を終えてろよ」
十三層に降りる階段前まで、数にものを言わせて高速移動してきた討伐隊。
冒険者歴が長い者が多く、スタミナも比較的多いのだが……最短距離とはいえ、二回層分を殆ど止まらず移動するのは、さすがに疲れを感じる。
「ラスト、ちょっと動くか」
「そうですね」
二人は討伐隊から少し離れた場所で、エキサイトし過ぎない模擬戦を始めた。
「おいおい……あいつらバカか?」
「いや、バカではないだろ」
「だってよ、ここに来るまでの戦闘に、全て参加してただろ。その分、ちゃんと休めって話だろ」
「それが普通なんだろうけど、あの二人は普通じゃないっぽいしな」
今回の討伐戦には、Cランク以上の冒険者を集める為に、イガルディス以外の街からも冒険者を集めていた。
その為、二人の普通ではない部分をまだ知らない冒険者たちも、少なからずいる。
そんな冒険者たちに、イガルディスをメインに活動している冒険者たちが、二人のヤバいエピソードを教えた。
「はっ!? ……嘘だろ」
「嘘じゃねぇって。受付嬢がしっかり確認してんだから」
「……街のどっかで素材を買ったとかじゃなくてか?」
「そんな面倒な真似しないだろ。とにかく、あいつらは二人だけで十五階層まで降りて、十五層ボスのアサルトレパードを倒してるんだよ。一回だけじゃなくて複数回な」
その説明に、男は再度軽い運動を続けている二人に視線を向けた。
「あっちの人族……ティールの方は、冒険者になりたての頃に、ブラッディ―タイガーを倒したらしいぞ」
「っ!!!??? いや、待てよ。さすがにそれは話し盛り過ぎだろ」
「知るか。別に噂で聞いた話だから、俺だって本当かどうか分からねぇ。でも、アサルトレパードを倒せる力があるな、絶対に無理とは言えないだろ」
「…………」
男は同業者の言葉を嘘だと完全に否定は出来ず、少しの間固まってしまった。
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