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どちらにしろ昂る
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「あぁ~~、クソ疲れたぜ」
「有難うございます」
「おうよ……おい、ちょっと多いぜ」
頼んだ罠の解錠が終了し、店主に代金を払う。
代金を受け取った店主は、払われた代金が少々多いことに直ぐ気付いた。
「良い仕事っぷりだったので、色を付けておきました」
「ったく、まだ年齢はガキのくせに……有難く貰っとくぜ。また宝箱を手に入れたら、うちに来い」
「えぇ、そうさせてもらいます。今回の討伐を終えても、また何度も潜るので」
「……ちょっとは休まねぇと、体壊すぞ」
もう現役ではないので、ティールとラストがどういったペースでダンジョンに潜っているのかまでは知らない。
しかし、口ぶりからして普通のペースではないことだけは確信が持てる。
「一応自分の体力は把握してます」
そう答えながら、解錠された宝箱の中身を早速見ていく。
宝箱の中には、銀貨や金貨に武器の類やポーションなどが入っている。
一層から十層までの間で手に入れた者に関しては、そこまで驚く内容ではなかった。
面白い物もあったが、店主も含めて腰を抜かす様な物はない……だが、十一階層以降の物は別。
「解ってはいたが、十一階層以降の宝箱は、基本的に旨味しかないな」
一階層から十階層の中で手に入る宝箱には、かなり当たりハズレの幅がある。
その幅によっては、膝から崩れ落ちる冒険者も少なくない。
だが、十一階層以降の宝箱に入っている物は、一つでも手に入れば、探索した価値があると思える物ばかり。
その中でもボスを倒して得た宝箱と、多数のモンスターとメタルアーマードビートルが出現した転移部屋で得た宝箱の中身に関しては、まさに別格。
「一気に金持ち……いや、お前らなら元から金は持ってるか」
「まぁ、そうですね。でも……こういうのは、金があるからといって、簡単に手に入る物ではありませんか」
多くの物は、ランク三から四の武器や防具、ポーションなどに持ち主の能力や耐性を向上するマジックアイテム。
その他には特別なブラシや、宝石の類も入っていた。
それらを売るだけでも、大きな財産となる。
他にも、大胆にも白金貨数枚が入っていた宝箱もあった。
「それもそうだな。俺は鍛冶屋でもないし、元々前衛のパワータイプだったから、そこまで惹かれねぇが……前言撤回、こっちの功績に関しては羨ましいと思っちまうな」
強敵を倒して手に入れた宝箱の中には、その強敵に関連付けられる物が入っていた。
「ミスリル鉱石は手に入るっちゃ手に入るが、簡単には手に入らねぇ高級鉱石だ」
「ですね。正直、今すぐにでも鍛冶師に何か造ってもらおうかと、気持ちが先走りそうになりました」
「はっはっは! そりゃ仕方ねぇよ。俺だって現役の時なら、同じ気持ちになる」
ミスリル鉱石を一致以上使われた武器は、一流冒険者の証とも言われている。
冒険者の中には、そういった武器を手に入れるのが目標の者もいる。
扱いやすく、重さを感じさせない……加えて、魔力の伝達率も最高。
武器として、全ての性能が高水準な鉱石。
勿論武器の素材としてだけではなく、防具の素材としても非常に優秀。
ティールとラストの二人も、ミスリル鉱石を前にして興奮を覚えた。
ただ……二人は既に、ランク四を超える武器を複数有している。
ミスリル製の武器は欲しいと思うが……同世代の者たちほど、渇望はしていない。
「んで、こっちの武器やローブとかはどうすんだ? やっぱりティールが使うのか?」
「そうですね……常時身に付けることはない。でも、何か事情がある場合に、俺が使うかもしれませんね」
アサルトレパードを倒して手に入れた宝箱の中には、暗殺や奇襲に優れたマジックアイテムの類が入っていた。
必ずしもそういった物が入っていることはないが、割合的には暗殺や奇襲系の場合が多い。
二人にとっては、そこまで使う場面は多くない。
とはいえ、それでもミスリル鉱石を目の前にした時と同じく、感情が昂っていた。
「有難うございます」
「おうよ……おい、ちょっと多いぜ」
頼んだ罠の解錠が終了し、店主に代金を払う。
代金を受け取った店主は、払われた代金が少々多いことに直ぐ気付いた。
「良い仕事っぷりだったので、色を付けておきました」
「ったく、まだ年齢はガキのくせに……有難く貰っとくぜ。また宝箱を手に入れたら、うちに来い」
「えぇ、そうさせてもらいます。今回の討伐を終えても、また何度も潜るので」
「……ちょっとは休まねぇと、体壊すぞ」
もう現役ではないので、ティールとラストがどういったペースでダンジョンに潜っているのかまでは知らない。
しかし、口ぶりからして普通のペースではないことだけは確信が持てる。
「一応自分の体力は把握してます」
そう答えながら、解錠された宝箱の中身を早速見ていく。
宝箱の中には、銀貨や金貨に武器の類やポーションなどが入っている。
一層から十層までの間で手に入れた者に関しては、そこまで驚く内容ではなかった。
面白い物もあったが、店主も含めて腰を抜かす様な物はない……だが、十一階層以降の物は別。
「解ってはいたが、十一階層以降の宝箱は、基本的に旨味しかないな」
一階層から十階層の中で手に入る宝箱には、かなり当たりハズレの幅がある。
その幅によっては、膝から崩れ落ちる冒険者も少なくない。
だが、十一階層以降の宝箱に入っている物は、一つでも手に入れば、探索した価値があると思える物ばかり。
その中でもボスを倒して得た宝箱と、多数のモンスターとメタルアーマードビートルが出現した転移部屋で得た宝箱の中身に関しては、まさに別格。
「一気に金持ち……いや、お前らなら元から金は持ってるか」
「まぁ、そうですね。でも……こういうのは、金があるからといって、簡単に手に入る物ではありませんか」
多くの物は、ランク三から四の武器や防具、ポーションなどに持ち主の能力や耐性を向上するマジックアイテム。
その他には特別なブラシや、宝石の類も入っていた。
それらを売るだけでも、大きな財産となる。
他にも、大胆にも白金貨数枚が入っていた宝箱もあった。
「それもそうだな。俺は鍛冶屋でもないし、元々前衛のパワータイプだったから、そこまで惹かれねぇが……前言撤回、こっちの功績に関しては羨ましいと思っちまうな」
強敵を倒して手に入れた宝箱の中には、その強敵に関連付けられる物が入っていた。
「ミスリル鉱石は手に入るっちゃ手に入るが、簡単には手に入らねぇ高級鉱石だ」
「ですね。正直、今すぐにでも鍛冶師に何か造ってもらおうかと、気持ちが先走りそうになりました」
「はっはっは! そりゃ仕方ねぇよ。俺だって現役の時なら、同じ気持ちになる」
ミスリル鉱石を一致以上使われた武器は、一流冒険者の証とも言われている。
冒険者の中には、そういった武器を手に入れるのが目標の者もいる。
扱いやすく、重さを感じさせない……加えて、魔力の伝達率も最高。
武器として、全ての性能が高水準な鉱石。
勿論武器の素材としてだけではなく、防具の素材としても非常に優秀。
ティールとラストの二人も、ミスリル鉱石を前にして興奮を覚えた。
ただ……二人は既に、ランク四を超える武器を複数有している。
ミスリル製の武器は欲しいと思うが……同世代の者たちほど、渇望はしていない。
「んで、こっちの武器やローブとかはどうすんだ? やっぱりティールが使うのか?」
「そうですね……常時身に付けることはない。でも、何か事情がある場合に、俺が使うかもしれませんね」
アサルトレパードを倒して手に入れた宝箱の中には、暗殺や奇襲に優れたマジックアイテムの類が入っていた。
必ずしもそういった物が入っていることはないが、割合的には暗殺や奇襲系の場合が多い。
二人にとっては、そこまで使う場面は多くない。
とはいえ、それでもミスリル鉱石を目の前にした時と同じく、感情が昂っていた。
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