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そっちだったか
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「……とりあえず回収するか」
後で解体するために、倒し終えたモンスターの死体を全て亜空間に放り込む。
しかし、その間にも部屋から出るための扉が現れない。
(おいおいおい……えっ、出られないのか!?)
全く関係無い部屋に転移させるトラップがあるというのは知っていた。
だが、その部屋から脱出できないという最悪の情報は持っておらず、冒険者ギルドから買い取ったダンジョンの情報にも記されていなかった。
(もしかして、新種のトラップなのか?)
部屋から出られないかもしれない……少しでもその可能性があると思うと、ブラッディ―タイガーと遭遇した時並みの震えが起こった。
しかし、さすがのダンジョンもその様な地獄は設置していない。
ただ……超えなければならない壁は、用意されていた。
「おっ、あいつを倒せば出られるってことか」
最後の最後に転移魔法陣が出現し、そこから一体のモンスターが召喚された。
ティールは個人的に獣系のモンスターが現れると予想していた。
森林暗危では大半のモンスターが獣系であるため、そう予想するのが当然と言えるだろう。
「……そうきたか」
「…………」
転移魔法陣から現れたのは、一体のカブトムシ。
その大きさは通常のカブトムシと比べ物にならない。
全長は七メートルは超えており、全身黒ではなく鋼。
現れたモンスターの名は、メタルアーマードビートル。
ランクはBと、言わずもがな強敵。
(森林という舞台を考えれば、そりゃ昆虫が現れてもおかしくないよな)
メタルアーマードビートルとは初めて遭遇する。
その為、いつも通り緊張感が半端ではない。
「っ!?」
超速ダッシュ。
既にメタルアーマードビートルは強化系のスキルを使用しており、全身に魔力を纏っている。
その力から繰り出せる突進は、ただの突進。
しかし、その威力は容易に鋼鉄を貫く。
一枚どころではなく、何十枚と重ねても簡単に貫いてしまう。
(くそっ!! かなり読み辛いな!!!)
昆虫は獣や人間、人型のモンスター等と違い、頭部に表情がない。
真剣勝負の場において、表情を相手に出方を読む重要な要素だが、昆虫にはそれが無いに等しい。
昆虫系のモンスターとの戦闘経験がゼロではないが、戦い辛い相手であることに変わりはなかった。
「おらっ!!!!」
風と雷の斬撃を同時に飛ばし、それは見事メタルアーマードビートルの甲殻に命中した。
「いっ!!??」
確かにティールが放った斬撃は命中したが、甲殻には薄い切り傷が付いた程度。
勿論全力の一撃ではないが、疾風瞬閃と豹雷から放った一撃。
決して薄皮を斬る程度の攻撃ではない。
(魔法耐性が高いのか? 防御力が高いのは見た目から想像出来るけど……まっ、戦い応えがある的と思うしかないか)
自身が冒険者という立場を考えれば、目の前の敵は乗り越えなければならない壁。
それを楽しめないようでは、この先の冒険を楽しめる筈がない。
そう思い、心を奮い立たせ、今度は自ら仕掛けにいった。
「あんたら、まだ動けるか」
「あぁ、勿論だ」
ティールが強敵とのバトルを始めた頃、ラストたちも強敵とバチバチに戦闘を繰り広げていた。
ジェットモウルはその巨体を生かした攻撃が脅威。
だが、ラストの腕力を考えれば、そこまで恐れる攻撃ではない。
厄介なのは……スムーズな地中への移動。
一度地中に潜ったかと思えば、一瞬で背後へ周り、鋭い爪撃をぶつけてくる。
従者三人も含めて、まだ重傷は負っていない。
それでも、ラストとしては苦しい戦いが続いていた。
(あまりこう言うのは良くないが、一人で戦う方がやりやすいな)
そう思っても、現場の状況を考えれば、そんな言葉を吐けるわけがない。
ティールのように結界系などの防御スキルも持っていない為、強制的に一人で戦う状況もつくれない。
だとしても……ラストの闘争心が消えることはなかった。
後で解体するために、倒し終えたモンスターの死体を全て亜空間に放り込む。
しかし、その間にも部屋から出るための扉が現れない。
(おいおいおい……えっ、出られないのか!?)
全く関係無い部屋に転移させるトラップがあるというのは知っていた。
だが、その部屋から脱出できないという最悪の情報は持っておらず、冒険者ギルドから買い取ったダンジョンの情報にも記されていなかった。
(もしかして、新種のトラップなのか?)
部屋から出られないかもしれない……少しでもその可能性があると思うと、ブラッディ―タイガーと遭遇した時並みの震えが起こった。
しかし、さすがのダンジョンもその様な地獄は設置していない。
ただ……超えなければならない壁は、用意されていた。
「おっ、あいつを倒せば出られるってことか」
最後の最後に転移魔法陣が出現し、そこから一体のモンスターが召喚された。
ティールは個人的に獣系のモンスターが現れると予想していた。
森林暗危では大半のモンスターが獣系であるため、そう予想するのが当然と言えるだろう。
「……そうきたか」
「…………」
転移魔法陣から現れたのは、一体のカブトムシ。
その大きさは通常のカブトムシと比べ物にならない。
全長は七メートルは超えており、全身黒ではなく鋼。
現れたモンスターの名は、メタルアーマードビートル。
ランクはBと、言わずもがな強敵。
(森林という舞台を考えれば、そりゃ昆虫が現れてもおかしくないよな)
メタルアーマードビートルとは初めて遭遇する。
その為、いつも通り緊張感が半端ではない。
「っ!?」
超速ダッシュ。
既にメタルアーマードビートルは強化系のスキルを使用しており、全身に魔力を纏っている。
その力から繰り出せる突進は、ただの突進。
しかし、その威力は容易に鋼鉄を貫く。
一枚どころではなく、何十枚と重ねても簡単に貫いてしまう。
(くそっ!! かなり読み辛いな!!!)
昆虫は獣や人間、人型のモンスター等と違い、頭部に表情がない。
真剣勝負の場において、表情を相手に出方を読む重要な要素だが、昆虫にはそれが無いに等しい。
昆虫系のモンスターとの戦闘経験がゼロではないが、戦い辛い相手であることに変わりはなかった。
「おらっ!!!!」
風と雷の斬撃を同時に飛ばし、それは見事メタルアーマードビートルの甲殻に命中した。
「いっ!!??」
確かにティールが放った斬撃は命中したが、甲殻には薄い切り傷が付いた程度。
勿論全力の一撃ではないが、疾風瞬閃と豹雷から放った一撃。
決して薄皮を斬る程度の攻撃ではない。
(魔法耐性が高いのか? 防御力が高いのは見た目から想像出来るけど……まっ、戦い応えがある的と思うしかないか)
自身が冒険者という立場を考えれば、目の前の敵は乗り越えなければならない壁。
それを楽しめないようでは、この先の冒険を楽しめる筈がない。
そう思い、心を奮い立たせ、今度は自ら仕掛けにいった。
「あんたら、まだ動けるか」
「あぁ、勿論だ」
ティールが強敵とのバトルを始めた頃、ラストたちも強敵とバチバチに戦闘を繰り広げていた。
ジェットモウルはその巨体を生かした攻撃が脅威。
だが、ラストの腕力を考えれば、そこまで恐れる攻撃ではない。
厄介なのは……スムーズな地中への移動。
一度地中に潜ったかと思えば、一瞬で背後へ周り、鋭い爪撃をぶつけてくる。
従者三人も含めて、まだ重傷は負っていない。
それでも、ラストとしては苦しい戦いが続いていた。
(あまりこう言うのは良くないが、一人で戦う方がやりやすいな)
そう思っても、現場の状況を考えれば、そんな言葉を吐けるわけがない。
ティールのように結界系などの防御スキルも持っていない為、強制的に一人で戦う状況もつくれない。
だとしても……ラストの闘争心が消えることはなかった。
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