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四人なら、いけるのでは?
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一日で色々と準備を終えたティールはカリスたちと一緒にダンジョンへ向かい、早速ジェットモウルの探索を始める。
ティールとしては、自分とラストに任せてくれた方が有難い。
そう思っていたが、カリスはジェットモウルの肝臓を手に入れるための冒険に、自分たちも参加すると二人に伝えた。
一度だけ、自分たちだけに任せてくれと言おうとしたが、カリスの眼には、他人からの言葉程度では変わらない意志を感じた。
それは従者三人たちも同じく、自分が何言ったところで、その意志は変わらないと感じ取り……説得を諦めた。
カリスたちが四人ともそれなりに戦えることもあり、探索中はそこまで気にしなくてもいいだろうと思っていた。
その思いはダンジョンに入ってから……本当に気にせず構わないと思い、小さな笑みを浮かべる。
(既に十層のボス、リベンジオークとオーク二体は倒してるし、ありがたい依頼主だな)
自分たちとの探索と比べて劣る点といえば、スタミナの量による移動速度のみ。
仮にティールとラストだけでジェットモウルを探すのであれば、日が暮れるまで少しの休憩を挟みながら、延々と探索を続ける。
しかし、それなりに戦うことが出来るが、カリスたちにそこまでのスタミナはなかった。
「はっ!!!!」
(一人でもオークを余裕で倒す、か。確か歳はラストと同じ十七だったよな。将来的には、Bランク冒険者クラスの実力者になるか?)
細剣使って華麗に戦い、隙あれば攻撃魔法で殲滅。
戦い方が綺麗過ぎることもなく、貴族としてそれは良いのかと思わなくもないが、実戦的な力がかなり高い。
その力は、ティールの予想を上回っていた。
(従者さんたちの実力も、本当に従者なのか? って思ってしまう程強い……カリスさんたちなら、倒せなくもなさそうだけどな)
Bランクの中にも、実力の差は存在する。
今までブラッディ―タイガー、スカーレッドリザードマン、グリフォン、アサルトレパードなどと死闘を体験してきたティールだが、全員が同じ実力を持っているとは思っていない。
結局化け物であることには変わりないが、カリスたち四人の総合力は、それらの化け物に牙を突き立てられる存在だと感じる。
とはいえ、二人の様にある程度余裕を持って戦うのは厳しい。
ティールの見立てでは、全員が百二十パーセントの実力を引き出し、本当に命を捨てる結果になっても構わない……それだけの覚悟を持っていれば、勝てる。
その結果、どれだけの犠牲が出るかは分からない。
「では、今日はこの辺りで休息を取りましょうか」
日が暮れてきたため、本日の探索は終わり。
セーフティーポイントまでは到着しなかったので、本日は野営中にモンスターが襲ってくる可能性がある。
(……今日もがっつり寝そうだな)
野営の準備中、普段と変わらない様子で準備を行うティールを見て、ラストはそんなことを思った。
「……ティールさんは、戦闘以外も並外れた力を持っているんですね」
「褒めたって、これ以上の料理は出てきませんよ」
「いえいえ、そんなことは考えてませんよ。ダンジョンの食事で、これ以上の内容を望めば天罰が下りますよ」
カリスの言葉に、従者たちも完全に同意。
既にダンジョンの探索経験があるカリスたち。
地上に戻るまで、普段通りの食事は望めないと諦めていた。
(この幸運に感謝しなければ)
初めは、ティールとラストが見た目以上の素晴らしい実力を持っていると知り、目的を手伝って欲しいと考えていた。
今回の探索で、その実力が本物であることは確認済み。
ただ、他人よりも超が五つほど優れた空間収納を有しているとは思っておらず、四人は何度もティールに感謝しながら夕食を食べた。
しかし……四人が驚くのは、まだこれだけではなかった。
ティールとしては、自分とラストに任せてくれた方が有難い。
そう思っていたが、カリスはジェットモウルの肝臓を手に入れるための冒険に、自分たちも参加すると二人に伝えた。
一度だけ、自分たちだけに任せてくれと言おうとしたが、カリスの眼には、他人からの言葉程度では変わらない意志を感じた。
それは従者三人たちも同じく、自分が何言ったところで、その意志は変わらないと感じ取り……説得を諦めた。
カリスたちが四人ともそれなりに戦えることもあり、探索中はそこまで気にしなくてもいいだろうと思っていた。
その思いはダンジョンに入ってから……本当に気にせず構わないと思い、小さな笑みを浮かべる。
(既に十層のボス、リベンジオークとオーク二体は倒してるし、ありがたい依頼主だな)
自分たちとの探索と比べて劣る点といえば、スタミナの量による移動速度のみ。
仮にティールとラストだけでジェットモウルを探すのであれば、日が暮れるまで少しの休憩を挟みながら、延々と探索を続ける。
しかし、それなりに戦うことが出来るが、カリスたちにそこまでのスタミナはなかった。
「はっ!!!!」
(一人でもオークを余裕で倒す、か。確か歳はラストと同じ十七だったよな。将来的には、Bランク冒険者クラスの実力者になるか?)
細剣使って華麗に戦い、隙あれば攻撃魔法で殲滅。
戦い方が綺麗過ぎることもなく、貴族としてそれは良いのかと思わなくもないが、実戦的な力がかなり高い。
その力は、ティールの予想を上回っていた。
(従者さんたちの実力も、本当に従者なのか? って思ってしまう程強い……カリスさんたちなら、倒せなくもなさそうだけどな)
Bランクの中にも、実力の差は存在する。
今までブラッディ―タイガー、スカーレッドリザードマン、グリフォン、アサルトレパードなどと死闘を体験してきたティールだが、全員が同じ実力を持っているとは思っていない。
結局化け物であることには変わりないが、カリスたち四人の総合力は、それらの化け物に牙を突き立てられる存在だと感じる。
とはいえ、二人の様にある程度余裕を持って戦うのは厳しい。
ティールの見立てでは、全員が百二十パーセントの実力を引き出し、本当に命を捨てる結果になっても構わない……それだけの覚悟を持っていれば、勝てる。
その結果、どれだけの犠牲が出るかは分からない。
「では、今日はこの辺りで休息を取りましょうか」
日が暮れてきたため、本日の探索は終わり。
セーフティーポイントまでは到着しなかったので、本日は野営中にモンスターが襲ってくる可能性がある。
(……今日もがっつり寝そうだな)
野営の準備中、普段と変わらない様子で準備を行うティールを見て、ラストはそんなことを思った。
「……ティールさんは、戦闘以外も並外れた力を持っているんですね」
「褒めたって、これ以上の料理は出てきませんよ」
「いえいえ、そんなことは考えてませんよ。ダンジョンの食事で、これ以上の内容を望めば天罰が下りますよ」
カリスの言葉に、従者たちも完全に同意。
既にダンジョンの探索経験があるカリスたち。
地上に戻るまで、普段通りの食事は望めないと諦めていた。
(この幸運に感謝しなければ)
初めは、ティールとラストが見た目以上の素晴らしい実力を持っていると知り、目的を手伝って欲しいと考えていた。
今回の探索で、その実力が本物であることは確認済み。
ただ、他人よりも超が五つほど優れた空間収納を有しているとは思っておらず、四人は何度もティールに感謝しながら夕食を食べた。
しかし……四人が驚くのは、まだこれだけではなかった。
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