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大金など惜しくない
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「すいません、少し宜しいでしょうか」
「……あなたは、誰ですか?」
「僕はカリス・オブレと申します。これから夕食ですか? でしたら、夕食をご馳走しますので、少しお時間を頂けないでしょうか」
「良いですよ」
夕食を奢ってくれるのであれば、話ぐらいは聞いても構わない。
即そう判断し、ティールはカリス・オブレという青年に付いて行く。
ちなみに、カリス・オブレには三人の従者が同行しており、カリスが貴族だということが一目で解る。
(何かやましい事を考えている、という雰囲気はなさそうだな)
ラストにとって、貴族は何かと面倒な存在。
クララ・インタールに関しては、良識があって自分たちに優しい存在だと解ってはいるが、腹の底では何を考えているのか解らない。
「自由に頼んでください」
「それじゃ、お言葉に甘えて」
ダンジョンからの探索帰りということもあり、それなりに腹が減っている二人。
とはいえ、本当に食べ過ぎない程度に……そこそこ料理を注文。
そして早速本題に入る。
「それで、冒険者である俺たちに声を掛けてきたって事は、何かを依頼したい。ということで宜しいですか」
「はい、その通りです」
ティールがパッと視たところ、自分に声を掛けてきた青年、カリス・オブレは弱くは思えなかった。
寧ろ、戦闘力だけならCランクの冒険者ほどある。
それはラストも同じ感想だった。
同じく、従者の三人も同程度の実力を持っていると感じた二人。
「実は、お二人にはジェットモウルの探索に付き合って欲しいんです」
「ジェットモウル……あぁ、確かに森林暗危に生息してるな」
ジェットモウルとは、Bランクのモグラのモンスター。
両手の爪を合わせ、体を回転させながら突進する攻撃を得意としている。
攻撃力、貫通力といった点であれば、アサルトレパードを超える。
「ふむ……しかし、ジェットモウルは発見数がかなり少なかったと思うが」
二人はギルドから森林暗危の情報を買っていたため、ジェットモウルが出現すると知っていた。
しかし、ラストの言う通り、森林暗危で発見されたジェットモウルの数は少ない。
まさに……レアモンスターという呼び名が相応しい。
ただ、ランクがBと高く、勿論戦闘力の高さからくるBなので、遭遇出来たら必ずしもラッキーとは言えない。
「解っています……それでも、ジェットモウルの肝臓が必要なんです」
表情に悲しみが浮かぶカリスを見て、二人は何か事情があるのだろうと察した。
(ジェットモウルの肝臓か。肝臓っていうと……錬金術の素材として使うのか?)
モンスターの内臓は薬に必要な素材として使える。
その為、家によっては素材入手に高額な金額を消費することも珍しくない。
「……俺たちには、そのジェットモウルの捜索と、討伐を手伝ってほしい。ってことで良いんですよね」
「はい、その通りです。どうか、お願いします」
カリスは貴族としてのプライドなど気にも留めず、二人に頭を下げて自分に助力してほしいと頼み込んだ。
この行動に従者三人の表情がピクリと動く。
従者としては、他者に……冒険者に対し、軽々しく頭を下げてほしくないという気持ちがある。
しかし、今この場でその様な発言をするということは、カリスの覚悟を踏みにじることになる。
「俺たちも冒険者なので、報酬は貰います」
そう告げると、カリスはアイテムポーチから重い音が聞こえる袋を取り出した。
「金貨二百五十枚があります」
「っ!?」
確かめてくれと言わんばかりに、ティールの方へ寄せる。
「その、ようですね……分かりました。是非、受けさせてもらいます」
鑑定のスキルを持つティールには、目の前の金貨が本物か偽物なのか、即判明できる。
ティールたちは夕食を食べ終えた後、まだギリギリ空いていた冒険者ギルドに向かい、カリスは指名入りの手続きを行い、二日後に出発が決まった。
「……あなたは、誰ですか?」
「僕はカリス・オブレと申します。これから夕食ですか? でしたら、夕食をご馳走しますので、少しお時間を頂けないでしょうか」
「良いですよ」
夕食を奢ってくれるのであれば、話ぐらいは聞いても構わない。
即そう判断し、ティールはカリス・オブレという青年に付いて行く。
ちなみに、カリス・オブレには三人の従者が同行しており、カリスが貴族だということが一目で解る。
(何かやましい事を考えている、という雰囲気はなさそうだな)
ラストにとって、貴族は何かと面倒な存在。
クララ・インタールに関しては、良識があって自分たちに優しい存在だと解ってはいるが、腹の底では何を考えているのか解らない。
「自由に頼んでください」
「それじゃ、お言葉に甘えて」
ダンジョンからの探索帰りということもあり、それなりに腹が減っている二人。
とはいえ、本当に食べ過ぎない程度に……そこそこ料理を注文。
そして早速本題に入る。
「それで、冒険者である俺たちに声を掛けてきたって事は、何かを依頼したい。ということで宜しいですか」
「はい、その通りです」
ティールがパッと視たところ、自分に声を掛けてきた青年、カリス・オブレは弱くは思えなかった。
寧ろ、戦闘力だけならCランクの冒険者ほどある。
それはラストも同じ感想だった。
同じく、従者の三人も同程度の実力を持っていると感じた二人。
「実は、お二人にはジェットモウルの探索に付き合って欲しいんです」
「ジェットモウル……あぁ、確かに森林暗危に生息してるな」
ジェットモウルとは、Bランクのモグラのモンスター。
両手の爪を合わせ、体を回転させながら突進する攻撃を得意としている。
攻撃力、貫通力といった点であれば、アサルトレパードを超える。
「ふむ……しかし、ジェットモウルは発見数がかなり少なかったと思うが」
二人はギルドから森林暗危の情報を買っていたため、ジェットモウルが出現すると知っていた。
しかし、ラストの言う通り、森林暗危で発見されたジェットモウルの数は少ない。
まさに……レアモンスターという呼び名が相応しい。
ただ、ランクがBと高く、勿論戦闘力の高さからくるBなので、遭遇出来たら必ずしもラッキーとは言えない。
「解っています……それでも、ジェットモウルの肝臓が必要なんです」
表情に悲しみが浮かぶカリスを見て、二人は何か事情があるのだろうと察した。
(ジェットモウルの肝臓か。肝臓っていうと……錬金術の素材として使うのか?)
モンスターの内臓は薬に必要な素材として使える。
その為、家によっては素材入手に高額な金額を消費することも珍しくない。
「……俺たちには、そのジェットモウルの捜索と、討伐を手伝ってほしい。ってことで良いんですよね」
「はい、その通りです。どうか、お願いします」
カリスは貴族としてのプライドなど気にも留めず、二人に頭を下げて自分に助力してほしいと頼み込んだ。
この行動に従者三人の表情がピクリと動く。
従者としては、他者に……冒険者に対し、軽々しく頭を下げてほしくないという気持ちがある。
しかし、今この場でその様な発言をするということは、カリスの覚悟を踏みにじることになる。
「俺たちも冒険者なので、報酬は貰います」
そう告げると、カリスはアイテムポーチから重い音が聞こえる袋を取り出した。
「金貨二百五十枚があります」
「っ!?」
確かめてくれと言わんばかりに、ティールの方へ寄せる。
「その、ようですね……分かりました。是非、受けさせてもらいます」
鑑定のスキルを持つティールには、目の前の金貨が本物か偽物なのか、即判明できる。
ティールたちは夕食を食べ終えた後、まだギリギリ空いていた冒険者ギルドに向かい、カリスは指名入りの手続きを行い、二日後に出発が決まった。
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