あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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色んな意味で良い相手

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ティールとライガルのタイマン中に、漁夫の利を狙おうと……正確には、ティールを狙おうとリザードマン二体が戦いに入ってきた。

声を上げることはなく、奇襲の基本は抑えている。

(チッ、一旦下がるか)

ライガルの事も警戒しつつ、リザードマン二体に攻撃魔法をぶつけて始末しようと考える。

「ガァァアアアアッ!!!!」

「えっ?」

ラストが動くよりも、距離的に自分が攻撃魔法を放つ方が先……そう思っていたが、それよりも先にライガルが動いた。

動いた先にいるのは……二体のリザードマン。

「「ギギャっ!?」」  

自分たちと対立することはない。
そう思っていた二体は、ライガルが自分たちに牙を向けたという事実に、驚きを隠せなかった。

(あ~あ、手を止めなきゃ良かったのに)

既にティールは日本のウィンドランスを放っており、別の方向からはライガルの爪撃が迫る。

結果……どちらの対応も中途半端になってしまい、あっという間に二体はミンチになった。

「……」

「気高いんだな」

ティールが何を言っているのかは解らない。

ただ、ライガルにとって自分の勝負を怪我されるのが我慢ならなかった。
リザードマン二体に襲い掛かった理由はそれだけ。

(そういう相手には、最高の攻撃をお返ししようか)

ラストがこそっと死体を回収している間……数秒ほど膠着状態になり、先にそれを破ったのはライガル。

既に使用している強化スキルに加えて、突進と爪撃のスキルを同時発動。
渾身の一撃を与える……つもりだったが、気付いたときには対戦相手の少年が視界から消えていた。

次の瞬間、体に熱を感じると、自分の体がバラバラになったのだと実感。

「っとと。凄いスピードだな」

ティールが使用したスキルは、爪撃。
ソニッククロウを発動し、ライガルが目で捉えきれない程の速さで移動。
その体を五等分に斬り裂いた。

「ヤバいヤバい、即回収しないと」

地面に垂れ流れる前に急いで血を回収。
空間収納からビンを取り出し、地面に垂れてない部分の回収に勤しむ。

「マスター、こっちはどうする」

「あ、あぁ……そっちは良いかな」

「了解」

適当にウィンドランスをぶち込み、ライガルの爪撃を食らったリザードマンの死体はボロボロ。

リザードマンの血も錬金術の素材として使えるが、今回は回収せずに原型がある素材だけ回収。

「先程の一撃、かなりの速さだったな」

「ラストから見てもそう思うか……正直、周囲の状況を確認しないと、使っちゃ駄目な技だなって思った」

ソニッククロウを使用した後、特に反動などはない。
ただ、攻撃時のスピードが格段に上がる。

その為……周囲を確認せずに発動すると、木や岩に激突してしまう場合もありうる。

実際、ティールは先程の戦闘で木に激突する一歩手前だった。

「あのモンスター……ライガルは、どうだった」

「観てて解るだろ。色んな意味で良いモンスターだったよ」

「そうだな。次は、俺が戦う」

「どうぞ」

宣言通り、ラストは十四層で遭遇したライガルと三分ほどバチバチのバトルを楽しんだ。

その戦いに非常に満足したラストだが、思いっきり楽しみ過ぎたせいで……死体はかなりボロボロ状態。
骨もバキバキに砕かれており、素材としての価値は著しく下がった。

「しょうがないって。俺も結果的に五等分に斬り裂いたし」

「……そう言ってくれると有難い」

今回のバトルでは少々バトルのみに集中し過ぎ、戦い終えた後の素材を気にする余裕が全くなかった。

ただ、十五層のボス部屋に到着する前にもう一度だけ運良く遭遇でき、ティールが対応。
最近真面目に実戦で鍛えている衝撃を駆使し、最後は脳を破壊。
なるべく綺麗ない状態で倒すことに成功。満足感を得た二人はそのまま進み続け……二度目の探索であっさりと最下層のボス部屋に到着した。

(十層の時みたいに、余裕ぶっこいてられないだろうな……気合入れてかないと)

自分たちの番が回ってくるまで集中力を高め、その時を待った。
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