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許されると思う……その理由は?
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「なっ、待て!! 話しただろ!!!」
「いや、待たないよ」
短刀使いの暗殺者から依頼主の情報を聞きだすことに成功。
その後、その暗殺者を開放することはなく、スパッと首を斬り裂いた。
「……なんで、こういう連中って生き残る可能性があると思うんだろうな」
ティールとしては、口の中に酸をぶち込まれて死ななかっただけ、有難いと思え……という気持ちだった。
「そこは確かに疑問だな」
使えそうな武器などを剥ぎ取りながら、二人は馬鹿どもの脳内が、何故お花畑なのかについて考え始める。
「俺たちが若いからか?」
「若くとも、そこら辺のことを冷静に判断できる者はいるだろう」
ラストの言葉を聞き、ティールは脳内にエリックとリーシアが思い浮かんだ。
(あの二人なら、冷静な判断を下せそうだな)
ただ……それはそれで、馬鹿どもが調子に乗る材料に思えた。
「けどさ、若いからこそ……変な正義感という、うっかり信じてしまうというか……そういう部分がありそうじゃないか?」
「なるほど……年齢が関係あるかは解らないが、冒険者の中にもいわゆる甘ちゃんと呼ばれる者たちが、少なからずいるだろう」
「そういう人たちが相手なら、見逃してくれると思ってそうだよな」
結論が出た二人。
そして剥ぎ取りも終わり、二人は死体をそのままにして、探索を再開した。
「丁度良いし、ここで休息を取るか」
「あぁ、そうだな」
二人はダンジョン内に存在する安全地帯に到着し、早速夕食の準備を始めた。
安全地帯には他の冒険者もおり、始めて見る二人の顔に興味深々の者が多々いる。
そんな者たちからの視線を気にせず、二人は……主にティールがメインで夕食を作る。
(何気に調理のスキルも上がってきたよな)
冒険者になれば、それなりに料理を行う機会が増える。
殺した盗賊の死体から偶々手に入ることもあり、現在のスキルレベルは三。
それがどのレベルかと言うと……普通にお店を持てるレベルの腕前。
料理スキルの有無で多少ではあるが、料理の味も変わってくる。
「おい、むっちゃ良い匂いしないか?」
「えぇ、本当に良い匂い……どう考えても、あの子たちが作ってる場所からよね」
「現状を考えると、それ以外ありえないな」
安全地帯で夜を過ごす者たちの中には、保存食だけで食事を済ませる者たちもいた。
そんな場所でふんだんに調味料を使い、肉汁が止まらない料理を作れば……どうなるかは目に見えている。
(……マスターは、気付いてるのか?)
ラストの仕事は主にティールの手伝いなので、周囲がどういった状況なのか既に気付いていた。
しかし、ティールは料理に集中しており、肉が焼き上がるまでにもう一品野菜を使って調理を始めた。
(なっ!? 野菜料理だと!!??)
(えっ、嘘でしょ……く、腐ってない……よね!?)
(ヤバい、さっき食べたばかりなのに、腹が……)
ティールはまだ気づいていないが、既に大勢の同業者たちが飢えた獣の様な表情で、二人の方に目を向けていた。
「……うん、良い感じだな。よし、食べようか」
「あ、あぁ……しかしマスター、周りをどうするつもりだ」
「周り?」
ぐるっと周囲を見渡すと、ラストが何を言いたいのか直ぐに解った。
(おわっ!? ……えっ? 皆さん……ちゃんと夕食食べてるの?)
食べる前に、ちょっと一運動して食べれるモンスターを狩ってくれば良いじゃないか。
なんて思うティールだが、ぶっとんだ性能の空間収納を持っていない者たちは、色々あってそこまで余裕がない。
故に……速攻で多数の冒険者たちがティールの元に訪れた。
「少年、食べ終わってからでも構わない。私たちにも、料理を作ってもらえないだろうか」
「お、俺たちにも頼む!! ちゃんと金は払うから!!!」
「私たちにもお願い」
「えっと……それでは、俺たちが食べ終わるまでに値段を決めておいてください」
「「「「「「分かった!!!」」」」」」
こうして二人が味はそこそこ良く、満腹になれる夕食を食べている間、同業者たちは真剣に夕食一人分の値段を話し合っていた。
「いや、待たないよ」
短刀使いの暗殺者から依頼主の情報を聞きだすことに成功。
その後、その暗殺者を開放することはなく、スパッと首を斬り裂いた。
「……なんで、こういう連中って生き残る可能性があると思うんだろうな」
ティールとしては、口の中に酸をぶち込まれて死ななかっただけ、有難いと思え……という気持ちだった。
「そこは確かに疑問だな」
使えそうな武器などを剥ぎ取りながら、二人は馬鹿どもの脳内が、何故お花畑なのかについて考え始める。
「俺たちが若いからか?」
「若くとも、そこら辺のことを冷静に判断できる者はいるだろう」
ラストの言葉を聞き、ティールは脳内にエリックとリーシアが思い浮かんだ。
(あの二人なら、冷静な判断を下せそうだな)
ただ……それはそれで、馬鹿どもが調子に乗る材料に思えた。
「けどさ、若いからこそ……変な正義感という、うっかり信じてしまうというか……そういう部分がありそうじゃないか?」
「なるほど……年齢が関係あるかは解らないが、冒険者の中にもいわゆる甘ちゃんと呼ばれる者たちが、少なからずいるだろう」
「そういう人たちが相手なら、見逃してくれると思ってそうだよな」
結論が出た二人。
そして剥ぎ取りも終わり、二人は死体をそのままにして、探索を再開した。
「丁度良いし、ここで休息を取るか」
「あぁ、そうだな」
二人はダンジョン内に存在する安全地帯に到着し、早速夕食の準備を始めた。
安全地帯には他の冒険者もおり、始めて見る二人の顔に興味深々の者が多々いる。
そんな者たちからの視線を気にせず、二人は……主にティールがメインで夕食を作る。
(何気に調理のスキルも上がってきたよな)
冒険者になれば、それなりに料理を行う機会が増える。
殺した盗賊の死体から偶々手に入ることもあり、現在のスキルレベルは三。
それがどのレベルかと言うと……普通にお店を持てるレベルの腕前。
料理スキルの有無で多少ではあるが、料理の味も変わってくる。
「おい、むっちゃ良い匂いしないか?」
「えぇ、本当に良い匂い……どう考えても、あの子たちが作ってる場所からよね」
「現状を考えると、それ以外ありえないな」
安全地帯で夜を過ごす者たちの中には、保存食だけで食事を済ませる者たちもいた。
そんな場所でふんだんに調味料を使い、肉汁が止まらない料理を作れば……どうなるかは目に見えている。
(……マスターは、気付いてるのか?)
ラストの仕事は主にティールの手伝いなので、周囲がどういった状況なのか既に気付いていた。
しかし、ティールは料理に集中しており、肉が焼き上がるまでにもう一品野菜を使って調理を始めた。
(なっ!? 野菜料理だと!!??)
(えっ、嘘でしょ……く、腐ってない……よね!?)
(ヤバい、さっき食べたばかりなのに、腹が……)
ティールはまだ気づいていないが、既に大勢の同業者たちが飢えた獣の様な表情で、二人の方に目を向けていた。
「……うん、良い感じだな。よし、食べようか」
「あ、あぁ……しかしマスター、周りをどうするつもりだ」
「周り?」
ぐるっと周囲を見渡すと、ラストが何を言いたいのか直ぐに解った。
(おわっ!? ……えっ? 皆さん……ちゃんと夕食食べてるの?)
食べる前に、ちょっと一運動して食べれるモンスターを狩ってくれば良いじゃないか。
なんて思うティールだが、ぶっとんだ性能の空間収納を持っていない者たちは、色々あってそこまで余裕がない。
故に……速攻で多数の冒険者たちがティールの元に訪れた。
「少年、食べ終わってからでも構わない。私たちにも、料理を作ってもらえないだろうか」
「お、俺たちにも頼む!! ちゃんと金は払うから!!!」
「私たちにもお願い」
「えっと……それでは、俺たちが食べ終わるまでに値段を決めておいてください」
「「「「「「分かった!!!」」」」」」
こうして二人が味はそこそこ良く、満腹になれる夕食を食べている間、同業者たちは真剣に夕食一人分の値段を話し合っていた。
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