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どこで買った?
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「これで、少しはマスターを馬鹿にする奴が減りそうだな」
「ん~~……どうだろうな。少しは減ってくれるかもしれないけど、三体の内二体のオークを俺が一人で倒したんだが、それすら信用しなさそうな連中が多そうだし」
リベンジオークの死体を受付嬢に提示したことで、二人が十層のボスを倒したという事実はギルドに伝わった。
同業者たちがその事実を信用するにしろ、しないにしろ……ギルドはそこまでの戦力が二人にあると、認識。
今回の話は買取を担当した受付嬢から上の者に伝えられ、既に各ギルドに伝わっているBランクモンスターを討伐したという話に、更に信憑性を帯び始めた。
「ほら、なんだかんだラストの実力が高いから、って思いそうじゃん」
「……評価してくれるのは嬉しいが、マスターの実力が侮られるのは不快だな」
少し目が肥えていれば、ラストが背負う武器が並の武器ではないことが解る。
それもあってか、ティールの実力を疑う者はまだ多かった。
そして場所は変わり、泊っている宿の食堂。
二人は適当に料理を頼む。
「十層のボスは、相手の土俵に付き合わなければ、そこまでの敵じゃなかった」
「流石だな。まぁ、あのオークは特性? が、結構厄介なタイプだったからな」
積み重なった腕力は非常に危険だが、戦闘が始まった段階で、スピードで翻弄してしまえば無理なく倒せる。
「これなら、十五層のボスも……と言いたいところだが、それは難しそうだな」
「だろうな。Bランクのモンスターが、簡単に倒せるわけがない」
過去に数回ほど似た様なモンスターと戦ったことがあるが、だからといって対策しやすいモンスターでもない。
二人にとって救いは、十層のボスモンスターの様に、主役以外のモンスターがいないことだった。
「それでも、良い挑戦になる筈だ」
「あぁ……何度も戦えるのは、本当に有難い」
二人の会話が耳に入った周囲の宿泊客たちは、ティールとラストの会話内容にはてなマークを浮かべた。
宿のランクを考えると、冒険者になりたてのルーキーとは思えない。
しかし、二人からベテランの様な風格は一切感じなかった。
(ん? ……変と言うか、嫌な視線だな)
宿に戻ってから数十分後、ようやくその視線に気付いた。
「っ……上手いな、この野菜料理」
「あぁ、そうだな。おかわりしようかな」
ラストも自分たちに向けられている悪意ある視線に気付いたが、そちらの方に顔を向けず、会話も自然に続けた。
(この街に来てから、まだ恨みを買うようなことは……そういえば、アホ三人を殺処分したか)
直接殺してはいないが、間接的には関わっている。
だが、ティールとラストがイガルディスに到着してからの日数を考えると、大きな恨みを買う時間すらない。
(あの時、周囲には俺達以外の冒険者いなかった筈だ)
アホ三人を間接的に殺すとき、周囲には確かに同業者などはいなかった。
(……考えても仕方ないか)
襲って来れば、確実に殺して奪う。
その根っこの部分だけは変わらない。
そして初めてのダンジョン探索から街に戻った二日後、再び二人はダンジョンへとダッシュで向かった。
(付いてきてるな)
ダンジョンに入ってからも、先日から自分たちに向けられている気配が付いてきている。
「面倒だな」
思わず零してしまった愚痴。
ダンジョンではモンスターと、気を付けなければならないトラップという危険な存在がある。
それに加えて、いつ襲ってくるから解らない悪意……を超えて、殺意ある視線が付いてきている。
(難無く付いてくるな……暗殺者の類か?)
自分たちの後方から戦闘音が聞こえないことから、ラストは自分たちの命を狙っているであろう者たちが、どういった存在なのか……ある程度予想出来た。
そして二人が十二層に降りた頃、その時が訪れた。
「ん~~……どうだろうな。少しは減ってくれるかもしれないけど、三体の内二体のオークを俺が一人で倒したんだが、それすら信用しなさそうな連中が多そうだし」
リベンジオークの死体を受付嬢に提示したことで、二人が十層のボスを倒したという事実はギルドに伝わった。
同業者たちがその事実を信用するにしろ、しないにしろ……ギルドはそこまでの戦力が二人にあると、認識。
今回の話は買取を担当した受付嬢から上の者に伝えられ、既に各ギルドに伝わっているBランクモンスターを討伐したという話に、更に信憑性を帯び始めた。
「ほら、なんだかんだラストの実力が高いから、って思いそうじゃん」
「……評価してくれるのは嬉しいが、マスターの実力が侮られるのは不快だな」
少し目が肥えていれば、ラストが背負う武器が並の武器ではないことが解る。
それもあってか、ティールの実力を疑う者はまだ多かった。
そして場所は変わり、泊っている宿の食堂。
二人は適当に料理を頼む。
「十層のボスは、相手の土俵に付き合わなければ、そこまでの敵じゃなかった」
「流石だな。まぁ、あのオークは特性? が、結構厄介なタイプだったからな」
積み重なった腕力は非常に危険だが、戦闘が始まった段階で、スピードで翻弄してしまえば無理なく倒せる。
「これなら、十五層のボスも……と言いたいところだが、それは難しそうだな」
「だろうな。Bランクのモンスターが、簡単に倒せるわけがない」
過去に数回ほど似た様なモンスターと戦ったことがあるが、だからといって対策しやすいモンスターでもない。
二人にとって救いは、十層のボスモンスターの様に、主役以外のモンスターがいないことだった。
「それでも、良い挑戦になる筈だ」
「あぁ……何度も戦えるのは、本当に有難い」
二人の会話が耳に入った周囲の宿泊客たちは、ティールとラストの会話内容にはてなマークを浮かべた。
宿のランクを考えると、冒険者になりたてのルーキーとは思えない。
しかし、二人からベテランの様な風格は一切感じなかった。
(ん? ……変と言うか、嫌な視線だな)
宿に戻ってから数十分後、ようやくその視線に気付いた。
「っ……上手いな、この野菜料理」
「あぁ、そうだな。おかわりしようかな」
ラストも自分たちに向けられている悪意ある視線に気付いたが、そちらの方に顔を向けず、会話も自然に続けた。
(この街に来てから、まだ恨みを買うようなことは……そういえば、アホ三人を殺処分したか)
直接殺してはいないが、間接的には関わっている。
だが、ティールとラストがイガルディスに到着してからの日数を考えると、大きな恨みを買う時間すらない。
(あの時、周囲には俺達以外の冒険者いなかった筈だ)
アホ三人を間接的に殺すとき、周囲には確かに同業者などはいなかった。
(……考えても仕方ないか)
襲って来れば、確実に殺して奪う。
その根っこの部分だけは変わらない。
そして初めてのダンジョン探索から街に戻った二日後、再び二人はダンジョンへとダッシュで向かった。
(付いてきてるな)
ダンジョンに入ってからも、先日から自分たちに向けられている気配が付いてきている。
「面倒だな」
思わず零してしまった愚痴。
ダンジョンではモンスターと、気を付けなければならないトラップという危険な存在がある。
それに加えて、いつ襲ってくるから解らない悪意……を超えて、殺意ある視線が付いてきている。
(難無く付いてくるな……暗殺者の類か?)
自分たちの後方から戦闘音が聞こえないことから、ラストは自分たちの命を狙っているであろう者たちが、どういった存在なのか……ある程度予想出来た。
そして二人が十二層に降りた頃、その時が訪れた。
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