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言い訳にならない
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今日も今日とて探索を続ける二人。
因みに、現在ティールとラストは四階層を探索中。
ダンジョン探索を楽しんでいる部分があり、二人の脚を考えれば探索スピードは遅め。
そんな二人は現在……クラッシュシープに襲われていた。
「そういえば、こんなやつらいたな」
ツインヘッドベアーを探していた時に遭遇し、何度か倒した羊のモンスター。
「……普通の突進とは、違う?」
「あいつら、衝撃ってスキルを持ってるんだよ」
「なるほど。それであの威力が……納得だ」
身体強化と突進、衝撃のスキルが組み合わさり、太い太い木を容易に折ってしまう高威力の突進。
当れば、ティールは押されてしまうだろう。
ラストは……耐えきれるかもしれない。
とはいえ、普通に考えて食らいたくない。
(最近、存在を忘れてたな)
衝撃……このスキルを使うことを忘れており、久しぶりに思い出したティールは薄っすらと笑みを浮かべ、再び自分たちに向かって襲い掛かってくるクラッシュシープの動きを読み……カウンターで衝撃を脳にぶち込んだ。
「っ!?」
ティールが指先を振れただけでうめき声をあげ、そのまま倒れた。
この光景にラストは最初、主人がクラッシュシープに何をしたのか解らなかった。
だが、ティールのギフト内容を思い出し、一つの結論に至った。
「……マスター、既に衝撃を奪っていたのか」
「おぅ、そうだよ。以前、とあるモンスターを遭遇してた時に偶々襲われてな」
今回もスキルを奪い、自分の糧にしよう……そう思って既に息絶えているクラッシュシープに手を伸ばした瞬間、一つの槍が飛んできた。
「ふん!!!」
自分たちの後方に居る気配には気付いており、ラストはその矢を大剣で弾き飛ばす。
「ちっ!」
ティールは自分たちに何も危害を加えないのであれば、放っておいても良いかと思っていた。
しかし、今の矢には魔力纏われており、回転まで加えられていた。
完全に自分たちを殺すための攻撃。
(ジンさんの言う通り、まさか本当に体験することになるとはな)
ティールは直ぐにクラッシュシープの死体を亜空間にしまい、ラストと一緒に矢を放ってきた存在の元へ走る。
「こっちに気付いてるぞ!!!」
二人を襲おうとした冒険者たちは合計で三人。
年齢はラストより少し上。
実力は頑張ればそろそろCランクに手届くかも、といった程度。
「がっ!!??」
「ぎっ!?」
「いでぇえええええ!!!」
腕がない訳ではないので、決して弱くはない。
だが、ティールたちは万が一を考えてフルスロットルで動いており、三人がその速さについていけることはなく……あっさりと腕や脚の骨を打撃で折られた。
「あんたらさ、あの攻撃はシャレにならないよ」
ダンジョンで人が死ねば、時間経過で死体を飲み込まれる。
つまり、ダンジョンで人を殺しても証拠が残らない。
「わ、悪かった! ちょ、ちょっと試しただけなんだ!!!!」
二人でダンジョンを攻略する力があるのか、ちょっぴり過激な方法で試すだけだった……仮に本当にそんな考えを持っていたとしても、先程の攻撃は褒められた内容ではない。
現在の様に、二人に体の骨をバキバキに折られても文句は言えない。
「さすがにふざけるなって話ですよ、先輩。今の攻撃は完全に殺すつもりの攻撃でしたよ」
実害はなかったので、この程度で済ませる?
そういう訳には行かない。
このまま目の前の三人を地上に戻せば、腹いせに自分たちにあることないことを言いふらすかもしれない。
それは小さくても、自分たちがダンジョンで探索することに悪影響を及ぼすかもしれない。
「マスター、こいつらは餌にしてしまおう」
「……なるほど。それが一番良さそうだな」
「「「へっ?」」」
二人は馬鹿どもの脚と腕の骨を全て折り、装備を剥ぎ取って捨てた。
「す、すいませんすいませんすいません。あの、なんでもしますから!」
「必要ないですよ。ただ、先輩たちがこのまま冒険者活動を続けてたら、他の犠牲者が出そうなんで……くたばってください」
丁度良いタイミングでオーク二体を発見し、二人はオークの前にギリギリ息をしている三人を放り投げた。
「い、嫌だ!!」
「死にたくない!!!」
「うわぁあああ~~~!!!」
二人は馬鹿どもの叫びを無視し、その場から去り……探索を再開した。
因みに、現在ティールとラストは四階層を探索中。
ダンジョン探索を楽しんでいる部分があり、二人の脚を考えれば探索スピードは遅め。
そんな二人は現在……クラッシュシープに襲われていた。
「そういえば、こんなやつらいたな」
ツインヘッドベアーを探していた時に遭遇し、何度か倒した羊のモンスター。
「……普通の突進とは、違う?」
「あいつら、衝撃ってスキルを持ってるんだよ」
「なるほど。それであの威力が……納得だ」
身体強化と突進、衝撃のスキルが組み合わさり、太い太い木を容易に折ってしまう高威力の突進。
当れば、ティールは押されてしまうだろう。
ラストは……耐えきれるかもしれない。
とはいえ、普通に考えて食らいたくない。
(最近、存在を忘れてたな)
衝撃……このスキルを使うことを忘れており、久しぶりに思い出したティールは薄っすらと笑みを浮かべ、再び自分たちに向かって襲い掛かってくるクラッシュシープの動きを読み……カウンターで衝撃を脳にぶち込んだ。
「っ!?」
ティールが指先を振れただけでうめき声をあげ、そのまま倒れた。
この光景にラストは最初、主人がクラッシュシープに何をしたのか解らなかった。
だが、ティールのギフト内容を思い出し、一つの結論に至った。
「……マスター、既に衝撃を奪っていたのか」
「おぅ、そうだよ。以前、とあるモンスターを遭遇してた時に偶々襲われてな」
今回もスキルを奪い、自分の糧にしよう……そう思って既に息絶えているクラッシュシープに手を伸ばした瞬間、一つの槍が飛んできた。
「ふん!!!」
自分たちの後方に居る気配には気付いており、ラストはその矢を大剣で弾き飛ばす。
「ちっ!」
ティールは自分たちに何も危害を加えないのであれば、放っておいても良いかと思っていた。
しかし、今の矢には魔力纏われており、回転まで加えられていた。
完全に自分たちを殺すための攻撃。
(ジンさんの言う通り、まさか本当に体験することになるとはな)
ティールは直ぐにクラッシュシープの死体を亜空間にしまい、ラストと一緒に矢を放ってきた存在の元へ走る。
「こっちに気付いてるぞ!!!」
二人を襲おうとした冒険者たちは合計で三人。
年齢はラストより少し上。
実力は頑張ればそろそろCランクに手届くかも、といった程度。
「がっ!!??」
「ぎっ!?」
「いでぇえええええ!!!」
腕がない訳ではないので、決して弱くはない。
だが、ティールたちは万が一を考えてフルスロットルで動いており、三人がその速さについていけることはなく……あっさりと腕や脚の骨を打撃で折られた。
「あんたらさ、あの攻撃はシャレにならないよ」
ダンジョンで人が死ねば、時間経過で死体を飲み込まれる。
つまり、ダンジョンで人を殺しても証拠が残らない。
「わ、悪かった! ちょ、ちょっと試しただけなんだ!!!!」
二人でダンジョンを攻略する力があるのか、ちょっぴり過激な方法で試すだけだった……仮に本当にそんな考えを持っていたとしても、先程の攻撃は褒められた内容ではない。
現在の様に、二人に体の骨をバキバキに折られても文句は言えない。
「さすがにふざけるなって話ですよ、先輩。今の攻撃は完全に殺すつもりの攻撃でしたよ」
実害はなかったので、この程度で済ませる?
そういう訳には行かない。
このまま目の前の三人を地上に戻せば、腹いせに自分たちにあることないことを言いふらすかもしれない。
それは小さくても、自分たちがダンジョンで探索することに悪影響を及ぼすかもしれない。
「マスター、こいつらは餌にしてしまおう」
「……なるほど。それが一番良さそうだな」
「「「へっ?」」」
二人は馬鹿どもの脚と腕の骨を全て折り、装備を剥ぎ取って捨てた。
「す、すいませんすいませんすいません。あの、なんでもしますから!」
「必要ないですよ。ただ、先輩たちがこのまま冒険者活動を続けてたら、他の犠牲者が出そうなんで……くたばってください」
丁度良いタイミングでオーク二体を発見し、二人はオークの前にギリギリ息をしている三人を放り投げた。
「い、嫌だ!!」
「死にたくない!!!」
「うわぁあああ~~~!!!」
二人は馬鹿どもの叫びを無視し、その場から去り……探索を再開した。
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