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ゼロからそろそろマイナスへ
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「……ラスト、今日も雪だな」
「そうだな、マスター」
イガルディスが有するダンジョン、森林暗危へ挑戦しようと意気込んでいた二人。
道中では狩りやすそうな獲物として、盗賊やモンスターに狙われそうになったこともあったが、全て返り討ち。
襲ってきた盗賊に関しては慣れない尋問を行い、アジトの場所を吐かせて二人で殴り込みを行った。
盗賊団の中にはそれなりに戦える者もいたが、二人が必殺の武器を抜けば敵ではない。
溜め込んでいお宝を手に入れ、臨時収入でがっぽり稼いだ。
街まで頭だった盗賊の首を持っていけば、懸賞金まで貰えた。
そんなこんなで順調に進んでいた二人だが、バラックからイガルディスまであと半分といったところで、雪に襲われた。
仕方なく、近くの街で雪が止むまで待つことに。
しかし……雪が降り始めた、今日で二か月が経過した。
雪に強弱の差はあれど、このままイガルディスまで進むのが億劫になるぐらい、雪が止まない。
季節や場所的に、雪が降ってもおかしくない時期ではある。
ただ……あまりにも長い。
元々近くに雪原があるような地域ではないにもかかわらず、二人が滞在している街に周辺は常に雪原状態。
(こういう環境でも動けるようにならなければダメだというのは分かってる。冒険者として活動していれば、雪原で活動することもある……でも、これはな~)
どんな困難な状況でも、ある程度頑張ろうという意思は持っている。
ただ、あまりにも雪が降り続けるため、ティールのテンションは完全にゼロ。
このままではマイナスに入るかもしれない。
それはティールの奴隷であり、パーティーメンバーでもあるラストも同じだった。
最初は冒険者ギルドの依頼を積極的に受け、街の外に出る機会もあったが……今は精々、積もった雪を溶か、凍った部分を砕いて滑らない様にする仕事しか受けていない。
「はぁ~~~……ラスト、ギルドの訓練場にでも行くか?」
「……そうだな。動かないのは良くない」
朝食を食べてから泊っている部屋に戻り、ベッドでゴロゴロとしていた二人。
ところが、このままゴロゴロするのはよろしくないと思ったのか、無理矢理起き上がり……寒い中ギルドの訓練場へと向かった。
一応寒さ対策のマジックアイテムは身に付けているので、何も持っていない者たちと比べれば、寒さは感じない。
しかし、それでも全然平気……とはならない。
「はは、やっぱり依頼を受けて外に出てる奴は、あんまりいないみたいだな」
冒険者ギルドの中には、併設されている酒場で昼も過ぎていないうちから酒を呑んでいる同業者たちがいた。
情けない……とは思わないティール。
(あぁでもしてないと、寒いんだろうな)
酒を呑めば、体が暖かくなり、寒さを少しは緩和できる。
ティールもそれは体験済みなので、昼前から酒場で酒を呑んでいる同業者たちに対して、特に文句はない。
二人は街中でも有名なマジックアイテムを売っている店で、寒さ対策のマジックアイテムであるイヤリングを購入したが、決して安い値段ではない。
Cランクの冒険者であっても、購入するのを少々躊躇う金額。
それを付けているお陰で、寒さで動きが鈍るということはないが……誰でも購入できる訳ではない。
「よし、素振りから行うか」
「あぁ」
普段通り準備運動を終えた二人は、まず素振りから開始。
その後はひたすら武器を変えながら模擬戦を行い、汗を流す。
一度模擬戦を終えたら、数分だけ休憩してまた直ぐに行うので、体が冷えることはない。
「あの、俺たちと模擬戦してくれませんか」
「良いぞ、やろうか」
この街に滞在し始めて既に二か月が経っているので、二人にも知人がかなり増えてきた。
そして冒険者歴的には同じルーキーに模擬戦やアドバイスを求められることが多く、あまり暇になることはない。
「そうだな、マスター」
イガルディスが有するダンジョン、森林暗危へ挑戦しようと意気込んでいた二人。
道中では狩りやすそうな獲物として、盗賊やモンスターに狙われそうになったこともあったが、全て返り討ち。
襲ってきた盗賊に関しては慣れない尋問を行い、アジトの場所を吐かせて二人で殴り込みを行った。
盗賊団の中にはそれなりに戦える者もいたが、二人が必殺の武器を抜けば敵ではない。
溜め込んでいお宝を手に入れ、臨時収入でがっぽり稼いだ。
街まで頭だった盗賊の首を持っていけば、懸賞金まで貰えた。
そんなこんなで順調に進んでいた二人だが、バラックからイガルディスまであと半分といったところで、雪に襲われた。
仕方なく、近くの街で雪が止むまで待つことに。
しかし……雪が降り始めた、今日で二か月が経過した。
雪に強弱の差はあれど、このままイガルディスまで進むのが億劫になるぐらい、雪が止まない。
季節や場所的に、雪が降ってもおかしくない時期ではある。
ただ……あまりにも長い。
元々近くに雪原があるような地域ではないにもかかわらず、二人が滞在している街に周辺は常に雪原状態。
(こういう環境でも動けるようにならなければダメだというのは分かってる。冒険者として活動していれば、雪原で活動することもある……でも、これはな~)
どんな困難な状況でも、ある程度頑張ろうという意思は持っている。
ただ、あまりにも雪が降り続けるため、ティールのテンションは完全にゼロ。
このままではマイナスに入るかもしれない。
それはティールの奴隷であり、パーティーメンバーでもあるラストも同じだった。
最初は冒険者ギルドの依頼を積極的に受け、街の外に出る機会もあったが……今は精々、積もった雪を溶か、凍った部分を砕いて滑らない様にする仕事しか受けていない。
「はぁ~~~……ラスト、ギルドの訓練場にでも行くか?」
「……そうだな。動かないのは良くない」
朝食を食べてから泊っている部屋に戻り、ベッドでゴロゴロとしていた二人。
ところが、このままゴロゴロするのはよろしくないと思ったのか、無理矢理起き上がり……寒い中ギルドの訓練場へと向かった。
一応寒さ対策のマジックアイテムは身に付けているので、何も持っていない者たちと比べれば、寒さは感じない。
しかし、それでも全然平気……とはならない。
「はは、やっぱり依頼を受けて外に出てる奴は、あんまりいないみたいだな」
冒険者ギルドの中には、併設されている酒場で昼も過ぎていないうちから酒を呑んでいる同業者たちがいた。
情けない……とは思わないティール。
(あぁでもしてないと、寒いんだろうな)
酒を呑めば、体が暖かくなり、寒さを少しは緩和できる。
ティールもそれは体験済みなので、昼前から酒場で酒を呑んでいる同業者たちに対して、特に文句はない。
二人は街中でも有名なマジックアイテムを売っている店で、寒さ対策のマジックアイテムであるイヤリングを購入したが、決して安い値段ではない。
Cランクの冒険者であっても、購入するのを少々躊躇う金額。
それを付けているお陰で、寒さで動きが鈍るということはないが……誰でも購入できる訳ではない。
「よし、素振りから行うか」
「あぁ」
普段通り準備運動を終えた二人は、まず素振りから開始。
その後はひたすら武器を変えながら模擬戦を行い、汗を流す。
一度模擬戦を終えたら、数分だけ休憩してまた直ぐに行うので、体が冷えることはない。
「あの、俺たちと模擬戦してくれませんか」
「良いぞ、やろうか」
この街に滞在し始めて既に二か月が経っているので、二人にも知人がかなり増えてきた。
そして冒険者歴的には同じルーキーに模擬戦やアドバイスを求められることが多く、あまり暇になることはない。
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