342 / 725
膨らむ妄想
しおりを挟む
まだ完全に決まった訳ではないが、ティールとラストの心にはダンジョンに挑戦したいという気持ちが大きくなってきた。
そうとなれば……経験豊富な先輩に相談だと思い、二人は翌朝色々あって大金を渡されたマリアの元に伺った。
「ダンジョンに挑戦したいのね」
「はい、そうですね。今すぐかはちょっと迷ってますけど、近いうちに挑戦したいと思ってます」
「俺もマスターと同じ意見です」
夕方ごろにマリアとレンと合流し、二人と一緒に夕食を食べながら、今後の目標について先輩に相談。
「ダンジョンか……僕もいずれは挑戦したいけど、まだまだ無理だね」
レンはマリアと行動する時以外はミーサとザジの二人と共に行動しており、現在着実にレベルアップ中。
そろそろDランクが見えてきた三人だが、まだ自分たちにダンジョンを攻略出来るほどの力はないと自覚している。
「そうね。レンたちにはまだ早いわね。ティール君とラスト君も冒険者歴を考えるとまだ早いのだけど……確か、二人ともランクはCなのよね」
「はい」
「あぁ」
ダンジョンを保有する街には、他の街にはない面倒な暗黙のルールなどが存在する。
縄張り争い……ではないが、そういったことに近い問題もある。
地上では冒険者ギルドのルールに従わなくてはならないが、職員たちの目も……ダンジョンの中までは届かない。
(どのダンジョンが良いかしら)
そこは心配要素ではあるが、まぐれではなくBランクモンスターを倒せる力がある二人が、そういった厄介事で潰れるとは思えない。
後は、ダンジョンの難易度が問題となる。
バラックに腰を下ろすまで、マリアは亡くなった旦那と当時の仲間と一緒にいくつもの街を巡り、複数のダンジョンを攻略している。
(二人という点を考えると……あのダンジョンかしら)
階層数、モンスターの強さなどを考えた結果、一つのダンジョンが今の二人が攻略するのに適していると思った。
そのダンジョンは……森林暗危。
「……今の二人には、イガルディスという街にある森林暗危という名前のダンジョンがお勧めね」
「森林暗危、ですか」
ダンジョンの名前を聞き、二人は頭の中で妄想を膨らませる。
(フィールドは森林ってことだよな……暗危ってのは、奇襲を仕掛けるモンスターが多いってことか?)
(ふむ……俺が望む戦いが出来るかは解らないが、楽しみであるのは確かだな)
妄想が終わると、二人は同時に薄っすらと笑みを浮かべた。
「二人とも良い表情ね。ただ、先輩としてはもう一人、パーティーメンバーを増やして欲しいところね」
マリアの言葉には、もし可能なら増やした方が良いよ……程度の考えではなく、絶対に増やした方が良いという考えが含まれている。
「新しいパーティーメンバー……増やした方が良いなとは思ってるんですけど、中々見つからないと言いますか」
ティールの場合、そもそも探していない。
実際のところ、もう一人ぐらいは欲しいなと考えている。
しかし、積極的に探そうとは思っていなかった。
ラストは着実に実戦を経験して成長しており、ティールも最凶のスキルを使って戦力を増加している。
今の状態ならば、よっぽど無理しない限りはダンジョン攻略も不可能ではないと考えている。
実際に……その考えは二人の戦闘力を考えれば間違ってはいないが、それでも安全性は決して高くない。
(……弓か、魔法が使える者が好ましいな)
新しいパーティーメンバーを探す。
この件に関して、ラストは意外にも否定的な考えはなかった。
「それもそうでしょうね。二人の戦力に……これからの成長に付いていける冒険者はそう簡単に見つからないはずよね」
仮にいたとしても、そういった人材はだいたいクランという冒険者だけで構成された組織がゲットしているか、もしくは自分のパーティーを既に持っている可能性が高い。
「でも、そういった存在を見つける為に、人が集まるダンジョンを有する街に行くのも良いと思うわ」
「……頭に入れておきます」
とりあえず先輩の言葉に返事したのではなく、ティールは本気で次のパーティーメンバーを探そうと決めた。
そうとなれば……経験豊富な先輩に相談だと思い、二人は翌朝色々あって大金を渡されたマリアの元に伺った。
「ダンジョンに挑戦したいのね」
「はい、そうですね。今すぐかはちょっと迷ってますけど、近いうちに挑戦したいと思ってます」
「俺もマスターと同じ意見です」
夕方ごろにマリアとレンと合流し、二人と一緒に夕食を食べながら、今後の目標について先輩に相談。
「ダンジョンか……僕もいずれは挑戦したいけど、まだまだ無理だね」
レンはマリアと行動する時以外はミーサとザジの二人と共に行動しており、現在着実にレベルアップ中。
そろそろDランクが見えてきた三人だが、まだ自分たちにダンジョンを攻略出来るほどの力はないと自覚している。
「そうね。レンたちにはまだ早いわね。ティール君とラスト君も冒険者歴を考えるとまだ早いのだけど……確か、二人ともランクはCなのよね」
「はい」
「あぁ」
ダンジョンを保有する街には、他の街にはない面倒な暗黙のルールなどが存在する。
縄張り争い……ではないが、そういったことに近い問題もある。
地上では冒険者ギルドのルールに従わなくてはならないが、職員たちの目も……ダンジョンの中までは届かない。
(どのダンジョンが良いかしら)
そこは心配要素ではあるが、まぐれではなくBランクモンスターを倒せる力がある二人が、そういった厄介事で潰れるとは思えない。
後は、ダンジョンの難易度が問題となる。
バラックに腰を下ろすまで、マリアは亡くなった旦那と当時の仲間と一緒にいくつもの街を巡り、複数のダンジョンを攻略している。
(二人という点を考えると……あのダンジョンかしら)
階層数、モンスターの強さなどを考えた結果、一つのダンジョンが今の二人が攻略するのに適していると思った。
そのダンジョンは……森林暗危。
「……今の二人には、イガルディスという街にある森林暗危という名前のダンジョンがお勧めね」
「森林暗危、ですか」
ダンジョンの名前を聞き、二人は頭の中で妄想を膨らませる。
(フィールドは森林ってことだよな……暗危ってのは、奇襲を仕掛けるモンスターが多いってことか?)
(ふむ……俺が望む戦いが出来るかは解らないが、楽しみであるのは確かだな)
妄想が終わると、二人は同時に薄っすらと笑みを浮かべた。
「二人とも良い表情ね。ただ、先輩としてはもう一人、パーティーメンバーを増やして欲しいところね」
マリアの言葉には、もし可能なら増やした方が良いよ……程度の考えではなく、絶対に増やした方が良いという考えが含まれている。
「新しいパーティーメンバー……増やした方が良いなとは思ってるんですけど、中々見つからないと言いますか」
ティールの場合、そもそも探していない。
実際のところ、もう一人ぐらいは欲しいなと考えている。
しかし、積極的に探そうとは思っていなかった。
ラストは着実に実戦を経験して成長しており、ティールも最凶のスキルを使って戦力を増加している。
今の状態ならば、よっぽど無理しない限りはダンジョン攻略も不可能ではないと考えている。
実際に……その考えは二人の戦闘力を考えれば間違ってはいないが、それでも安全性は決して高くない。
(……弓か、魔法が使える者が好ましいな)
新しいパーティーメンバーを探す。
この件に関して、ラストは意外にも否定的な考えはなかった。
「それもそうでしょうね。二人の戦力に……これからの成長に付いていける冒険者はそう簡単に見つからないはずよね」
仮にいたとしても、そういった人材はだいたいクランという冒険者だけで構成された組織がゲットしているか、もしくは自分のパーティーを既に持っている可能性が高い。
「でも、そういった存在を見つける為に、人が集まるダンジョンを有する街に行くのも良いと思うわ」
「……頭に入れておきます」
とりあえず先輩の言葉に返事したのではなく、ティールは本気で次のパーティーメンバーを探そうと決めた。
28
お気に入りに追加
1,803
あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

聖女の力を隠して塩対応していたら追放されたので冒険者になろうと思います
登龍乃月
ファンタジー
「フィリア! お前のような卑怯な女はいらん! 即刻国から出てゆくがいい!」
「え? いいんですか?」
聖女候補の一人である私、フィリアは王国の皇太子の嫁候補の一人でもあった。
聖女となった者が皇太子の妻となる。
そんな話が持ち上がり、私が嫁兼聖女候補に入ったと知らされた時は絶望だった。
皇太子はデブだし臭いし歯磨きもしない見てくれ最悪のニキビ顔、性格は傲慢でわがまま厚顔無恥の最悪を極める、そのくせプライド高いナルシスト。
私の一番嫌いなタイプだった。
ある日聖女の力に目覚めてしまった私、しかし皇太子の嫁になるなんて死んでも嫌だったので一生懸命その力を隠し、皇太子から嫌われるよう塩対応を続けていた。
そんなある日、冤罪をかけられた私はなんと国外追放。
やった!
これで最悪な責務から解放された!
隣の国に流れ着いた私はたまたま出会った冒険者バルトにスカウトされ、冒険者として新たな人生のスタートを切る事になった。
そして真の聖女たるフィリアが消えたことにより、彼女が無自覚に張っていた退魔の結界が消え、皇太子や城に様々な災厄が降りかかっていくのであった。

異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~
中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」
唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。
人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。
目的は一つ。充実した人生を送ること。

前世の記憶さん。こんにちは。
満月
ファンタジー
断罪中に前世の記憶を思い出し主人公が、ハチャメチャな魔法とスキルを活かして、人生を全力で楽しむ話。
周りはそんな主人公をあたたかく見守り、時には被害を被り···それでも皆主人公が大好きです。
主に前半は冒険をしたり、料理を作ったりと楽しく過ごしています。時折シリアスになりますが、基本的に笑える内容になっています。
恋愛は当分先に入れる予定です。
主人公は今までの時間を取り戻すかのように人生を楽しみます!もちろんこの話はハッピーエンドです!
小説になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる