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買い取ると言ってしまった……
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「だ、駄目か」
「はい、それはちょっとお断りさせていただきます」
丁寧な口調で断られ、ギルドマスターも諦めるしかなかった。
二人が依頼を受けては休息を取り、その翌日にはまた依頼を受ける。
もしくは自主的に狩りに向かい、モンスターの素材や魔石を取ってくる。
そんな二人の懐が寒いとは思えない。
加えて、ティールの空間収納が並外れているという情報も得ているので、管理が困る筈だからギルドに買い取らせた方が良いよ、なんてことも言えない。
「あっ、でもグリフォンの翼なら売っても良いですよ」
「それは本当かい!? 是非買い取らせてもらおう!!」
声高らかに宣言してしまったギルドマスター。
魔石を買い取れないのは惜しいが、それでもグリフォンの翼……羽も貴重な素材。
是非とも買い取りたい素材。
しかし……ティールが亜空間の中から取り出した素材は、ギルドマスターの予想と……少々異なっていた。
(と、ところどころ焦げてる!)
ティールが発動した雷雲を切り裂いてしまったため、もろに雷のダメージを受けてしまったため、当然羽も雷の影響で焦げてしまっている。
しかし、買い取ると言ってしまった以上、ギルドマスターとして宣言を撤回することは出来ない。
(仕方ない…………とはいえ、やはり買い取る価値はある)
そこそこ綺麗な状態という訳ではないので、平均よりも買取値段を下げても、それは常識の範囲内。
ティールもギルドマスターから提示された金額に満足しているので、交渉成功。
(……あっ、そういえば奪取をグリフォンに使うの忘れてたな)
だがしかし、倒したモンスターであれば、魔石からでもスキルを奪えるのは検証済み。
翼の買取が終了し、執務室から出てきた二人。
すると……一階には先程より多くの冒険者がいた。
その冒険者たちは、ティールとラストを探していた冒険者たちだった。
「お前ら、無事だったのか!!」
二人を探していた冒険者の一人、ジュークが嬉しそうに声を上げて二人に駆け寄ろうとするよりも先に……マリアが超ダッシュでティールとラストに駆け寄った。
「むぐっ!?」
「ぐっ!?」
マリアの超ダッシュに気を抜いていた二人は反応出来ず、力強い抱擁に捕まってしまった。
「……」
安否が気になっていた二人が、無事に街に帰ってきていた。
それが分かってただけでも、知人としては嬉しい事実。
嬉しいのだが……マリアに思いっきり抱きしめられている二人を見ると、ほんの少しだけ嫉妬の炎が燃え上がってしまった。
「二人とも、なんですぐに戻ってこなかったの」
「それは、その……なんか、テンションが上がってしまって、そのままグリフォンの巣を探しに行きました」
ドラゴンと同じく、グリフォンには宝石など、価値が高い物を集める趣味がある。
それは冒険者であれば、知識として頭に入っている常識。
なので、グリフォンの巣を探そうとする気持ちは解らなくもない……解らなくもないが、グリフォンを倒した後に巣を探しに行こうとする。
さすがにバカかと思ってしまう。
普通は一旦街に戻り、最低でも翌日から探しに行くもの。
それが普通なんだろうとティールとラストも分かってはいるが、あの時……そのままいけると思い、グリフォンの巣を探し始めてしまった。
「二人が強いのは知ってる。でも……あなたたちのことを心配に思っている人がいるのを、忘れちゃ駄目よ」
「わ、分かりました」
「うっす」
本当は、自分の命を顧みず、無茶な行動を起こしては駄目だと言いたかった。
しかし……二人にそんなことを言っても、守ってくれるとは思えない。
なにより、若い頃はマリアもさんざん無茶をしてきたので、あまり強くそういう事が言えなかった。
「ティール、ラスト!! 本当に心配したよ!!!」
「悪いな、レン……それと、後で話がある」
「?」
一先ず無事に二人がグリフォンを倒して戻ってきたということで、広い酒場で宴会が行われた。
「はい、それはちょっとお断りさせていただきます」
丁寧な口調で断られ、ギルドマスターも諦めるしかなかった。
二人が依頼を受けては休息を取り、その翌日にはまた依頼を受ける。
もしくは自主的に狩りに向かい、モンスターの素材や魔石を取ってくる。
そんな二人の懐が寒いとは思えない。
加えて、ティールの空間収納が並外れているという情報も得ているので、管理が困る筈だからギルドに買い取らせた方が良いよ、なんてことも言えない。
「あっ、でもグリフォンの翼なら売っても良いですよ」
「それは本当かい!? 是非買い取らせてもらおう!!」
声高らかに宣言してしまったギルドマスター。
魔石を買い取れないのは惜しいが、それでもグリフォンの翼……羽も貴重な素材。
是非とも買い取りたい素材。
しかし……ティールが亜空間の中から取り出した素材は、ギルドマスターの予想と……少々異なっていた。
(と、ところどころ焦げてる!)
ティールが発動した雷雲を切り裂いてしまったため、もろに雷のダメージを受けてしまったため、当然羽も雷の影響で焦げてしまっている。
しかし、買い取ると言ってしまった以上、ギルドマスターとして宣言を撤回することは出来ない。
(仕方ない…………とはいえ、やはり買い取る価値はある)
そこそこ綺麗な状態という訳ではないので、平均よりも買取値段を下げても、それは常識の範囲内。
ティールもギルドマスターから提示された金額に満足しているので、交渉成功。
(……あっ、そういえば奪取をグリフォンに使うの忘れてたな)
だがしかし、倒したモンスターであれば、魔石からでもスキルを奪えるのは検証済み。
翼の買取が終了し、執務室から出てきた二人。
すると……一階には先程より多くの冒険者がいた。
その冒険者たちは、ティールとラストを探していた冒険者たちだった。
「お前ら、無事だったのか!!」
二人を探していた冒険者の一人、ジュークが嬉しそうに声を上げて二人に駆け寄ろうとするよりも先に……マリアが超ダッシュでティールとラストに駆け寄った。
「むぐっ!?」
「ぐっ!?」
マリアの超ダッシュに気を抜いていた二人は反応出来ず、力強い抱擁に捕まってしまった。
「……」
安否が気になっていた二人が、無事に街に帰ってきていた。
それが分かってただけでも、知人としては嬉しい事実。
嬉しいのだが……マリアに思いっきり抱きしめられている二人を見ると、ほんの少しだけ嫉妬の炎が燃え上がってしまった。
「二人とも、なんですぐに戻ってこなかったの」
「それは、その……なんか、テンションが上がってしまって、そのままグリフォンの巣を探しに行きました」
ドラゴンと同じく、グリフォンには宝石など、価値が高い物を集める趣味がある。
それは冒険者であれば、知識として頭に入っている常識。
なので、グリフォンの巣を探そうとする気持ちは解らなくもない……解らなくもないが、グリフォンを倒した後に巣を探しに行こうとする。
さすがにバカかと思ってしまう。
普通は一旦街に戻り、最低でも翌日から探しに行くもの。
それが普通なんだろうとティールとラストも分かってはいるが、あの時……そのままいけると思い、グリフォンの巣を探し始めてしまった。
「二人が強いのは知ってる。でも……あなたたちのことを心配に思っている人がいるのを、忘れちゃ駄目よ」
「わ、分かりました」
「うっす」
本当は、自分の命を顧みず、無茶な行動を起こしては駄目だと言いたかった。
しかし……二人にそんなことを言っても、守ってくれるとは思えない。
なにより、若い頃はマリアもさんざん無茶をしてきたので、あまり強くそういう事が言えなかった。
「ティール、ラスト!! 本当に心配したよ!!!」
「悪いな、レン……それと、後で話がある」
「?」
一先ず無事に二人がグリフォンを倒して戻ってきたということで、広い酒場で宴会が行われた。
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