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自分たちだけじゃない

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ニードファルコンに遭遇するまでに倒したモンスターの素材と、ニードファルコンの羽と血を売却。

三人はたんまりと金を手に入れ、ティールは冒険者ギルドを出る前に血をゲットする為にビンを購入。

「おい、ありゃ白金貨三枚以上あったよな」

「確かに……ってことは、マジでニードファルコンを倒したのか?」

「嘘でしょ!? だって……さ、さすがに無理じゃない」

「マリアさんがいるとしても、な……」

白金貨数枚以上を手に入れようと思ったら、Cランクのモンスターを大量に狩る。
そして狩ったモンスターの売れる素材を全て、ギルドの売却しなければならない。

だからこそ、ティールが亜空間の中から取り出した素材や魔石の量を考えても、大量の羽と血がニードファルコンの物と考えるのが妥当。

妥当ではあるが……マリアはBランクの冒険者ではあるが、戦闘特化のBランク冒険者ではない。
マリアのことを少しでも知っている者であれば、Cランクのモンスターに勝ったという話ぐらいでは驚かない。

ただ、基本的に後衛でのサポートがメインであり、攻撃力では戦闘タイプの冒険者には敵わない。
そうなってくると、他の二人が最低でもBランク以上の力を持っていることが、ニードファルコンに勝つ条件となる。

ある程度実力がある者や、実力はまだ低くとも異変や差を感じられる者であれば、二人が戦いの要になったのだと認められる。

しかしそれが出来ない者たちは、まだティールに対して訝しい目を向けていた。

「ラスト、いちいち構うなよ」

「あぁ、分かっているさ、マスター」

怒りこそ感じているが、なるべく表には出さない様に成長しているラスト。

「はぁ~~、もっと視る目を養ってほしいわね。そう簡単に鍛えられるものじゃないのは解ってるけど」

視る目がなければ、いずれ痛い目に合う。
マリアは自分が少しでも指導をするルーキーに対して、必ず一回は伝えていた。

しかし、先程のギルド内では過去にマリアが指導を行ったルーキーがティールに訝しい視線を向けていたので、思わずため息を吐いてしまう。

「色々と体験しない身に付かないものですからね…………今日はここにしましょうか」

良さげ料理店を見つけ、中へと入って店員に案内される。

マリアにニードファルコンの残りの素材を譲ると言われたので、本日はティールが夕食代を出すと決めていた。

マリアは自分の分は自分で出すと言ったが、素材の勝ちを考えれば必ずここは自分が出すべきだと、ティールは一歩も譲らなかった。

「やっぱり働いた後の飯は美味いな」

本日、いきなりニードファルコンに襲われたのは少々不運だったと言えるだろう。

しかしティールにとって、グリフォンと戦う前に近い実力を持つ強敵と戦えたのは幸運だった。
それはラストも同じ気持ちだった……だが、ティールに買ってもらった大剣をぶち壊されたことに関しては、己の不覚と受け止めた。

「そうね~~。でも、いきなりニードファルコンに襲われた時はびっくりしたわね」

「ですね。まっ、マリアもいたんで凄く戦いやすかったです」

お世辞ではなく、マリア程の強者が仲間として傍にいる。
それだけで頼もしさがあった。

ティールがマリアを褒めれば、今度はティールが褒められる。
そして今度はラストが褒められると、ラストは二人を褒める。

そんな褒め合いが行われる中……ラストの耳に気になる会話が入った。

「…………ラスト、どうしたんだ?」

ラストの意識が完全に自分たちとは違う方向に向いているの気付き、戻ってくるまで敢えて声をかけなかった。

「マスター、どうやらグリフォンを狙っているのは俺たちだけではないようだ」

「それは本当か」

「偶々耳に入った情報だが、可能性は高いかと」

とある貴族の令息がお付きの騎士、兵士などを連れて度々目撃されているグリフォンを討伐しに来た。

その情報が本当であれば、二人も気を引き締めなければならない。
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