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悪魔的なハグ
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(この人、悪気はないんだろうけど……心臓に、悪過ぎる)
悪魔的なハグから解放してもらい、ティールの心臓はしばらくバクバク状態。
堅物寄りのラストも心臓バクバク状態が少しの間続いた。
(あんなことされたら、俺と歳が近い男子は……五つぐらい離れてる男の人でも、もしかしたらって勘違いするよな)
まだまだ人生経験が浅いティールだが、マリアが計算であんな行動を取っているとは思えない。
確信するにはまだ早過ぎるかもしれない。
それでも計算された優しさ、あざとさなどは感じなかった。
「あの、話が通ってるかもしれませんけど、盗賊団を討伐した……えっと、ティールとラストです」
自分が討伐戦には殆ど参加していないので、思わず言葉に詰まってしまった。
しかし死体の回収などには役だったので、一応自分の名前も出した。
「あっ、お二人だったんですね。本当にありがとうございます」
二人のギルドカードを確認し、今ギルド職員の中で有望株のルーキーだと噂されているティールとラスト。
それが確認出来、受付嬢はとても明るい表情となった。
事実の確認と、確認を終え……二人の功績へ正式に認定。
受付嬢とのやり取りはそれだけだったが、二人の注目度は一気に上がった。
「おいおい、あの話って本当だったのか?」
「竜人族の方は解るけど……もう一人は、ただの人族の子供……だよな?」
「とんでもないスキルでも持ってるんじゃないの? 人は見かけによらないって言うじゃない」
「二人ともCランクってのを考えると、有望株なのは間違いないだろうな…………いやでもよ、さすがに二人だけで盗賊団を潰すのは無理じゃねぇか?」
「……一対多数に向いてるスキルを持ってるとか?」
普通に考えれば、Cランクの冒険者でも盗賊団を一人で討伐するのは難しい。
よっぽど力量に差があるのであれば話は別だが、数の力は暴力だ。
その暴力の差を覆すのは難しい。
だが……実質的に一人で戦ったラストにはその常識を覆すだけの力があった。
(……理解している者もいるようだが、解っていない者もいるな)
ラストは少々イラついていた。
自分の力が褒められ、賞賛されるのは悪い気はしない。
だが……マスターであるティールの実力が侮られるのは、本人が仕方ないと思っていたとしても、個人的にはやはりイラついてしまう。
しかし、無意味に殺気や怒気を撒き散らしてはならない。
何度もそれを止められたことを思い出し、ぐっと堪えた。
「ティール、どんなことを話したの? もしかして昇格の候補に入ったとか?」
「いや、それはない。この前Cランクに上がったばっかりだし……いくらなんでも、そんな短期間でCからBは上がらないだろ」
謙虚な発言……ではなく、そこから先は大きな功績を得たとしても、そう簡単にサクッと上げられない壁がある。
「でも、二人だけで討伐したのを考えれば、遠くない内に昇格できるかもしれないじゃん!!」
「そうよ。レンの言う通りだと思う!!」
「なんで二人の方がそんなテンション高いんだよ……言っておくけど、俺が次にランクアップするとなれば、マリアさんと同じBランクってことになるんだぞ」
Dランクになればケツに殻が付いたひよこから卒業。
Cランクになれば、一流……プロと呼べる位置ではあるが、本当の上を知っている者たちは……Bランクに到達してから、ようやく冒険者としてプロ。
そう考えるものが多い。
「俺やラストにマリアさんみたいな一流としての品格とか……威厳? みたいなものはないだろ」
「え、ん~~~……それはそう、なのかな?」
レンは後ろで空気を読んで待機しているマリアの方をチラッと見た。
確かにモンスターと戦っている時は正直なところ、カッコイイと思ってしまう時はある。
ただ、普段の様子を考えると……母性などが強く、あまり威厳など感じなかった。
「だから、俺たちが仮にBランクに上がるとしても、もっと先の話だ。ほら、用事も終わったんだし早く晩飯を食べようぜ」
「うん!!」
五人で適当な店に入って夕食タイム……と思っていたが、当然の様にマリアがそこに付いてきた。
悪魔的なハグから解放してもらい、ティールの心臓はしばらくバクバク状態。
堅物寄りのラストも心臓バクバク状態が少しの間続いた。
(あんなことされたら、俺と歳が近い男子は……五つぐらい離れてる男の人でも、もしかしたらって勘違いするよな)
まだまだ人生経験が浅いティールだが、マリアが計算であんな行動を取っているとは思えない。
確信するにはまだ早過ぎるかもしれない。
それでも計算された優しさ、あざとさなどは感じなかった。
「あの、話が通ってるかもしれませんけど、盗賊団を討伐した……えっと、ティールとラストです」
自分が討伐戦には殆ど参加していないので、思わず言葉に詰まってしまった。
しかし死体の回収などには役だったので、一応自分の名前も出した。
「あっ、お二人だったんですね。本当にありがとうございます」
二人のギルドカードを確認し、今ギルド職員の中で有望株のルーキーだと噂されているティールとラスト。
それが確認出来、受付嬢はとても明るい表情となった。
事実の確認と、確認を終え……二人の功績へ正式に認定。
受付嬢とのやり取りはそれだけだったが、二人の注目度は一気に上がった。
「おいおい、あの話って本当だったのか?」
「竜人族の方は解るけど……もう一人は、ただの人族の子供……だよな?」
「とんでもないスキルでも持ってるんじゃないの? 人は見かけによらないって言うじゃない」
「二人ともCランクってのを考えると、有望株なのは間違いないだろうな…………いやでもよ、さすがに二人だけで盗賊団を潰すのは無理じゃねぇか?」
「……一対多数に向いてるスキルを持ってるとか?」
普通に考えれば、Cランクの冒険者でも盗賊団を一人で討伐するのは難しい。
よっぽど力量に差があるのであれば話は別だが、数の力は暴力だ。
その暴力の差を覆すのは難しい。
だが……実質的に一人で戦ったラストにはその常識を覆すだけの力があった。
(……理解している者もいるようだが、解っていない者もいるな)
ラストは少々イラついていた。
自分の力が褒められ、賞賛されるのは悪い気はしない。
だが……マスターであるティールの実力が侮られるのは、本人が仕方ないと思っていたとしても、個人的にはやはりイラついてしまう。
しかし、無意味に殺気や怒気を撒き散らしてはならない。
何度もそれを止められたことを思い出し、ぐっと堪えた。
「ティール、どんなことを話したの? もしかして昇格の候補に入ったとか?」
「いや、それはない。この前Cランクに上がったばっかりだし……いくらなんでも、そんな短期間でCからBは上がらないだろ」
謙虚な発言……ではなく、そこから先は大きな功績を得たとしても、そう簡単にサクッと上げられない壁がある。
「でも、二人だけで討伐したのを考えれば、遠くない内に昇格できるかもしれないじゃん!!」
「そうよ。レンの言う通りだと思う!!」
「なんで二人の方がそんなテンション高いんだよ……言っておくけど、俺が次にランクアップするとなれば、マリアさんと同じBランクってことになるんだぞ」
Dランクになればケツに殻が付いたひよこから卒業。
Cランクになれば、一流……プロと呼べる位置ではあるが、本当の上を知っている者たちは……Bランクに到達してから、ようやく冒険者としてプロ。
そう考えるものが多い。
「俺やラストにマリアさんみたいな一流としての品格とか……威厳? みたいなものはないだろ」
「え、ん~~~……それはそう、なのかな?」
レンは後ろで空気を読んで待機しているマリアの方をチラッと見た。
確かにモンスターと戦っている時は正直なところ、カッコイイと思ってしまう時はある。
ただ、普段の様子を考えると……母性などが強く、あまり威厳など感じなかった。
「だから、俺たちが仮にBランクに上がるとしても、もっと先の話だ。ほら、用事も終わったんだし早く晩飯を食べようぜ」
「うん!!」
五人で適当な店に入って夕食タイム……と思っていたが、当然の様にマリアがそこに付いてきた。
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