あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

文字の大きさ
上 下
289 / 726

卑怯もクソもない

しおりを挟む
ラストは残っている魔力を殆どバスターソードに注ぎ込み、ブラッディ―タイガーの炎を刃に纏い、必殺の一撃を放つ。

「はぁぁあああああああッ!!!!」

技の名は炎爪虎。
ただの斬撃だけではなく、バスターソードがラストの意志に応え、通常の斬撃に加えて左右に一つずつ同じ炎の斬撃が生み出され……それはまるで、ブラッディ―タイガーの炎爪そのものだった。

「ぬぉおおおおおああああああッ!!!!」

身体能力では若干負けている。
そう解っていながらも、ハンマー使いは一歩も引こうとせず、ラストの炎爪虎を受け止めた。

炎爪虎の使用に魔力を多く使ってしまったため、あまり長くは強化系のスキルが使用できない状態。
第三者から見ればラストが優勢に思われるかもしれないが、実際のところギリギリの状態だった。

だが、それはラストも分かっているため、その一撃に全力を賭けようと力を込める。

「ぬぉおおおおおっ!!!!!!」

心の底から吼える。
しかしハンマー使いも底時からは負けておらず、炎爪虎を全身全霊で押し返そうとする。

「でぇぇええりゃああああああッ!!!!」

ハンマー使いもかなり魔力残量が減ってきた状態ではあるが……最後の最後に奥の手が残っており、その機を逃すつもりは一切ない。

お互いに拮抗している状態が続く中、ラストはその異変に気付いた。

(こいつ……この状況で笑ってるのか?)

何故こんな状況で笑っていられるのか?
自分の弱点でも見つけたのか、倒す策略を思い付いたのか?
それとも諦めた故に出た笑みなのか……どこからくる笑みなのか分からず、その迷いが……ほんの一瞬ではあるが、ラストの力の弱まりに繋がった。

そしてこの瞬間、ハンマー使いの勝機が開いた。

「ふんぬぁぁああああああッ!!!」

ハンマー使いの男が身に着けていたマジックアイテム、根性の指輪が発動。
ランクは三であり、効果は魔力残量が一定量まで減ると、一定時間だけ装備者の身体能力を向上させる。

ラストの気の緩みと、マジックアイテムの発動条件が重なり、ハンマー使いはついにラストの炎爪虎を弾き返した。

「ッ!!!??? チッ!!」

だが、ラストの頭の中には既にもしかしたら、こういう結果になるかもしれないという予想があり、炎爪虎が弾かれた瞬間に速攻でその場から動いていた。

その速さはハンマー使いが渾身の一撃をラストにぶち込むより速く、もちろん一瞬だけ部分竜化を使用していた。
構想で移動した理由は……この戦いではもう使わないであろうと思い、地面に突き刺していソードブレイカー。

バスターソードはハンマー使いに弾かれた時に手元から離れてしまい、転移に突き刺さっていた。

第二の武器であるソードブレイカーを引き抜き、今度は右腕のみを部分竜化。

「ふんっ!!!!!!」

投擲のスキルを発動し、全力投球でハンマー使いに止めを刺しにいった。

根性の指輪によって身体能力が一時的に向上していたハンマー使いだが、反応速度までは向上しておらず、一瞬だけとはいえ部分竜化したラストの速さと腕力は、現ハンマー使いの身体能力をも上回っていた。

「ぐほ……ぐっ! が……ぐ」

最後に何かを言おうとしたハンマー使いだが、ラストがぶん投げたソードブレイカーは見事にハンマー使いの首に命中。
刃は喉を完全に貫いており、まともに喋れない状態。

「力と力の勝負で決着を着けられなかったのは……少しだけ悪いと思うが、これは殺し合いだ。卑怯もクソもないだろ」

そう言い終えると転移に突き刺さったバスターソードを引っこ抜き、万が一が起こらない様に鉤爪使いとハンマー使いの首を斬り落とした。

「はぁ~~~~~……危なかった。マスター、こちらは終った……ふふ、マスターは仕事が早いな」

「バカ言え、そっちこそ十分早いっての」

ティール的には、自分の方が対人戦では有利な武器を持っていたので、もう少しラストより速く殺し終えて援護に向かおうと思っていたが、その心配は全く必要なかった。
しおりを挟む
感想 122

あなたにおすすめの小説

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

生臭坊主の異世界転生 死霊術師はスローライフを送れない

しめさば
ファンタジー
急遽異世界へと転生することになった九条颯馬(30) 小さな村に厄介になるも、生活の為に冒険者に。 ギルドに騙され、与えられたのは最低ランクのカッパープレート。 それに挫けることなく日々の雑務をこなしながらも、不慣れな異世界生活を送っていた。 そんな九条を優しく癒してくれるのは、ギルドの担当職員であるミア(10)と、森で助けた狐のカガリ(モフモフ)。 とは言えそんな日常も長くは続かず、ある日を境に九条は人生の転機を迎えることとなる。 ダンジョンで手に入れた魔法書。村を襲う盗賊団に、新たなる出会い。そして見直された九条の評価。 冒険者ギルドの最高ランクであるプラチナを手にし、目標であるスローライフに一歩前進したかのようにも見えたのだが、現実はそう甘くない。 今度はそれを利用しようと擦り寄って来る者達の手により、日常は非日常へと変化していく……。 「俺は田舎でモフモフに囲まれ、ミアと一緒にのんびり暮らしていたいんだ!!」 降りかかる火の粉は魔獣達と死霊術でズバッと解決! 面倒臭がりの生臭坊主は死霊術師として成り上がり、残念ながらスローライフは送れない。 これは、いずれ魔王と呼ばれる男と、勇者の少女の物語である。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

【完結】辺境の魔法使い この世界に翻弄される

秋.水
ファンタジー
記憶を無くした主人公は魔法使い。しかし目立つ事や面倒な事が嫌い。それでも次々増える家族を守るため、必死にトラブルを回避して、目立たないようにあの手この手を使っているうちに、自分がかなりヤバい立場に立たされている事を知ってしまう。しかも異種族ハーレムの主人公なのにDTでEDだったりして大変な生活が続いていく。最後には世界が・・・・。まったり系異種族ハーレムもの?です。

女神様の使い、5歳からやってます

めのめむし
ファンタジー
小桜美羽は5歳の幼女。辛い境遇の中でも、最愛の母親と妹と共に明るく生きていたが、ある日母を事故で失い、父親に放置されてしまう。絶望の淵で餓死寸前だった美羽は、異世界の女神レスフィーナに救われる。 「あなたには私の世界で生きる力を身につけやすくするから、それを使って楽しく生きなさい。それで……私のお友達になってちょうだい」 女神から神気の力を授かった美羽は、女神と同じ色の桜色の髪と瞳を手に入れ、魔法生物のきんちゃんと共に新たな世界での冒険に旅立つ。しかし、転移先で男性が襲われているのを目の当たりにし、街がゴブリンの集団に襲われていることに気づく。「大人の男……怖い」と呟きながらも、ゴブリンと戦うか、逃げるか——。いきなり厳しい世界に送られた美羽の運命はいかに? 優しさと試練が待ち受ける、幼い少女の異世界ファンタジー、開幕! 基本、ほのぼの系ですので進行は遅いですが、着実に進んでいきます。 戦闘描写ばかり望む方はご注意ください。

スキル盗んで何が悪い!

大都督
ファンタジー
"スキル"それは誰もが欲しがる物 "スキル"それは人が持つには限られた能力 "スキル"それは一人の青年の運命を変えた力  いつのも日常生活をおくる彼、大空三成(オオゾラミツナリ)彼は毎日仕事をし、終われば帰ってゲームをして遊ぶ。そんな毎日を繰り返していた。  本人はこれからも続く生活だと思っていた。  そう、あのゲームを起動させるまでは……  大人気商品ワールドランド、略してWL。  ゲームを始めると指先一つリアルに再現、ゲーマーである主人公は感激と喜び物語を勧めていく。  しかし、突然目の前に現れた女の子に思わぬ言葉を聞かさせる……  女の子の正体は!? このゲームの目的は!?  これからどうするの主人公!  【スキル盗んで何が悪い!】始まります!

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

その無能、実は世界最強の魔法使い 〜無能と蔑まれ、貴族家から追い出されたが、ギフト《転生者》が覚醒して前世の能力が蘇った〜

蒼乃白兎
ファンタジー
15歳になると、人々は女神様からギフトを授かる。  しかし、アルマはギフトを何も授かることは出来ず、実家の伯爵家から無能と蔑まれ、追い出されてしまう。  だが実はアルマはギフトを授からなかった訳では無かった。  アルマは既にギフト《転生者》を所持していたのだ──。  実家から追い出された直後にギフト《転生者》が発動し、アルマは前世の能力を取り戻す。  その能力はあまりにも大きく、アルマは一瞬にして世界最強の魔法使いになってしまった。  なにせアルマはギフト《転生者》の能力を最大限に発揮するために、一度目の人生を全て魔法の探究に捧げていたのだから。  無能と蔑まれた男の大逆転が今、始まる。  アルマは前世で極めた魔法を利用し、実家を超える大貴族へと成り上がっていくのだった。

処理中です...