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頑張っても無意味?
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「はぁ~~~~……全く。女性に飢えてたとしても、もう少しやり方ってのがあるだろ」
「あ、あの。ありがとうございました!!!」
「ティール君たちが来てくれた助かった。ありがとう」
イギルたちを追い払ってくれたティールとラストに対し、ソニアとララは深々と頭を下げた。
「二人とも頭を上げてくれ。俺たちは今、ソニアたちの護衛なんだし、あぁいうのを追っ払うのも俺たちの仕事だから。な」
「……そうだな」
契約内容としては、遺跡の調査以外で護衛を行う必要はない。
それはラストも分かっているが、先程のような場面を見て、見ぬふりを出来るほど腐ってはいない。
「にしても、良くソニアとララに声を掛けたな。あのバカたちは」
「……マスターの言葉通り、女性に飢えていたのだろう。普段ならばやらないナンパなど、無茶をしてでも異性と繋がりたいと思ったのではないか?」
ラストも過去に気になっていた人がおり、自然界の常識として雄は何かしらの理由で雌を求める。
という流れは解っているので、イギルたちの欲望を否定するつもりはない。
それはティールも同じだった。
だが……さすがに今回のナンパは色々と無理があると、ツッコみたかった。
(もっとナンパをするにしても、服装を整えたりアクセサリーを身に付けたり、香水を使ったり……だ、駄目だ。わ、笑ってしまう!!!)
イギルがキッチリ服装や身に着けるアクセサリーに気を使い、香水を自身に吹きかけている場面をイメージしてしまい、笑いを堪えるのに必死になる。
「マスター、大丈夫か?」
「あ、あぁ。大丈夫だ。ちょっと変なことを想像してしまってな。は、ははは……けど、二人で行動してればナンパされるのは珍しくないんじゃないか?」
「そうね……物凄く多いというわけではないけれど、それなりに男性から声を掛けられることはあるわね」
異性から声を掛けられることが多いというのは、女性にとって一種のステータスとなりうる。
ただ、二人の表情は過去の経験を思い出すと、苦い表情になった。
「まぁ、碌な男にしか声を掛けられないがな」
「そ、そっか……ナンパするやつなんて、大抵はそんな奴かもな」
「ティール君は、そういうのに興味あったりするの」
「え? いや、別に俺は……うん、ナンパしようとかは思わないかな」
いずれは好きな人と結ばれたいと思っている。
だが、その結ばれ方の一つとしてナンパという方法を取ろうとは思わない。
それは本心だった。
「ところで、俺たちはこれからギルドの訓練場で動くつもりだけど、二人はどうする?」
「そうね……もしよければ、付いて行っても良いかしら」
「あぁ、勿論」
訓練場に対や四人は軽く体を動かした後、ソニアの相手はラストが行い、魔法をメインに使うララの相手はティールが担当。
二人の体力が底をついたところで、ティールとラストは昼前と同じく、全力で動き始めた。
「……ララ、私たちは本当にバカだったな」
「そ、そうだね」
どういう意味でバカだったのか、ララは即座に理解した。
目の前で大剣を持つラストと、同じく大剣を持つティールがスキルなどは使わずに、全力で斬り合っている。
二人はまだ二年生なので、自分たちよりも強い三年生の存在を知っているが……そんな三年生達よりも、二人の方が圧倒的に強いと感じる。
そんな二人を下の見ていた数日前の自分たちを思い出し、深々とため息をついた。
(あれが、野生の中で鍛え抜かれた真の実力……といったところか。強くなる為には、もっと自分に厳しくならねばな)
(あんなに魔法に詳しくて、センスもあるのに武器や体術専門のラスト君と互角に戦えるなんて……私も、少しは魔法以外で戦える様にならないと駄目だよね)
二人の模擬戦を観て、向上心が燃え上がると同時に、今回の遺跡探索中に自分たちが被害に会うことはないと……そんな甘い考えを持ってしまった。
「あ、あの。ありがとうございました!!!」
「ティール君たちが来てくれた助かった。ありがとう」
イギルたちを追い払ってくれたティールとラストに対し、ソニアとララは深々と頭を下げた。
「二人とも頭を上げてくれ。俺たちは今、ソニアたちの護衛なんだし、あぁいうのを追っ払うのも俺たちの仕事だから。な」
「……そうだな」
契約内容としては、遺跡の調査以外で護衛を行う必要はない。
それはラストも分かっているが、先程のような場面を見て、見ぬふりを出来るほど腐ってはいない。
「にしても、良くソニアとララに声を掛けたな。あのバカたちは」
「……マスターの言葉通り、女性に飢えていたのだろう。普段ならばやらないナンパなど、無茶をしてでも異性と繋がりたいと思ったのではないか?」
ラストも過去に気になっていた人がおり、自然界の常識として雄は何かしらの理由で雌を求める。
という流れは解っているので、イギルたちの欲望を否定するつもりはない。
それはティールも同じだった。
だが……さすがに今回のナンパは色々と無理があると、ツッコみたかった。
(もっとナンパをするにしても、服装を整えたりアクセサリーを身に付けたり、香水を使ったり……だ、駄目だ。わ、笑ってしまう!!!)
イギルがキッチリ服装や身に着けるアクセサリーに気を使い、香水を自身に吹きかけている場面をイメージしてしまい、笑いを堪えるのに必死になる。
「マスター、大丈夫か?」
「あ、あぁ。大丈夫だ。ちょっと変なことを想像してしまってな。は、ははは……けど、二人で行動してればナンパされるのは珍しくないんじゃないか?」
「そうね……物凄く多いというわけではないけれど、それなりに男性から声を掛けられることはあるわね」
異性から声を掛けられることが多いというのは、女性にとって一種のステータスとなりうる。
ただ、二人の表情は過去の経験を思い出すと、苦い表情になった。
「まぁ、碌な男にしか声を掛けられないがな」
「そ、そっか……ナンパするやつなんて、大抵はそんな奴かもな」
「ティール君は、そういうのに興味あったりするの」
「え? いや、別に俺は……うん、ナンパしようとかは思わないかな」
いずれは好きな人と結ばれたいと思っている。
だが、その結ばれ方の一つとしてナンパという方法を取ろうとは思わない。
それは本心だった。
「ところで、俺たちはこれからギルドの訓練場で動くつもりだけど、二人はどうする?」
「そうね……もしよければ、付いて行っても良いかしら」
「あぁ、勿論」
訓練場に対や四人は軽く体を動かした後、ソニアの相手はラストが行い、魔法をメインに使うララの相手はティールが担当。
二人の体力が底をついたところで、ティールとラストは昼前と同じく、全力で動き始めた。
「……ララ、私たちは本当にバカだったな」
「そ、そうだね」
どういう意味でバカだったのか、ララは即座に理解した。
目の前で大剣を持つラストと、同じく大剣を持つティールがスキルなどは使わずに、全力で斬り合っている。
二人はまだ二年生なので、自分たちよりも強い三年生の存在を知っているが……そんな三年生達よりも、二人の方が圧倒的に強いと感じる。
そんな二人を下の見ていた数日前の自分たちを思い出し、深々とため息をついた。
(あれが、野生の中で鍛え抜かれた真の実力……といったところか。強くなる為には、もっと自分に厳しくならねばな)
(あんなに魔法に詳しくて、センスもあるのに武器や体術専門のラスト君と互角に戦えるなんて……私も、少しは魔法以外で戦える様にならないと駄目だよね)
二人の模擬戦を観て、向上心が燃え上がると同時に、今回の遺跡探索中に自分たちが被害に会うことはないと……そんな甘い考えを持ってしまった。
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