268 / 727
一番後悔していたのは……
しおりを挟む
「え~~……という訳で、ティールさんとラストさんには皆さんをお守りするだけの力があると分かっていただけたでしょうか
「「「「はい」」」」
訓練場から客室に戻り、受付嬢から納得出来たのかと尋ねられ……納得出来てません!!!! と答えるほど、ボルガたちはボンクラではなかった。
ティールはラストほど心を折る様な戦い方はしなかったが、それでソニアの全力を受け止めてから今度は攻めに転じ、反撃のチャンスを与えることなくやられた。
ボルガもソニアも二人に完敗し、二人が自分たちよりも強いという事実が身に染みて分かった。
「それは良かったです。それでは、こちらの部屋は引き続き使っても良いので、使い終わったら職員に報告をお願いします」
そう言うと、受付嬢はニコニコ顔で部屋から出て行った。
受付嬢としては二人がレッサーヴァンパイアやヴァンパイアに加えて、リザードマンジェネラルやスカーレットリザードマンといった強敵を二人が倒したと信用しているので、その二人が学生に嘗められるのは少し腹が立っていた。
なので、二人と生徒たちの実力差を解らせるために、わざと率先して模擬戦を行ったらどうかと提案した。
すると見事にラストとティールは全力を出した生徒に圧勝。
ラストはボルガの攻撃を全て紙一重で躱し、最後に一撃加えて圧倒。
ティールも結果だけ見ればソニアを子ども扱いしながらサクッと勝利。
(お二人を下に見るなんて、百年早いんですよ!!!)
受付嬢が二人の実力に関わっている訳ではないが、それでも二人が生徒に圧勝したことで受付嬢の心はとても晴れやかになっていた。
そして六人がいる客室では……一斉にボルガたちが二人に頭を下げた。
「その、調子に乗っていてすいませんでした!!!」
「「「すいませんでした」」」
腰を九十度に折った、綺麗な謝罪。
アラッドとしては元々まだまだ自分が子供なので、相手の実力を把握出来ない人からは下に見られてもしょうがないと思っていた。
(ほっ、ちゃんと自分たちが間違ってたら謝れるタイプの貴族なんだな。良かった良かった。ここでまだ何かしらごねるようだったら、ラストの鉄拳か蹴りが飛んでたよ)
模擬戦でボルガを圧倒したことで、ある程度怒りは霧散されていた。
部屋に着くころには、もうイライラなどの感情はなかったが……もし四人が結果を認めない、不満があるという様子であれば、パンチやドロップキックが飛んでいた……かもしれなかった。
少しは怒りを抑えられるようになったラストだが、それでも我慢の限界というものがある。
「顔を上げてくれ。解ってくれたなら、それで良いよ。特に怒ってないから……な、ラスト」
「…………そうだな」
明らかに怒ってはいたというオーラが体から漏れており、四人は体を震わせながら冷や汗が流れた。
素直に認めたからこそ、怒りが爆発することはなかった。
ラストの実力を身に染みて分かったからこそ、あれ以上生意気で上から目線な態度を取らなくて良かった、心の底から思った四人。
そこからは互いのことを知るために、軽く自己紹介を始めた。
少しガキ大将っぽさがある、体格が良い男子生徒……ボルガ・シンキリア
得意な得物は槍と風魔法。
落ち着いた雰囲気を持つ好青年な男子生徒……ディックス・リンカークス
得意な得物はレイピアと火魔法。
凛とした美しさを持つクールな金髪ロングの女子生徒……ソニア・ガルガンテ
得意な得物はロングソードと水魔法
ふわっとした空気を放つほわほわ系な女子生徒……ララ・アルガ―
得意な得物は杖と水魔法と土魔法。
四人の中では、あまり自分に自信がないララが、何故自分みたいな者がティールを下に見ていたのかと……一番後悔していた。
ラストとティールも軽い自己紹介を終え、ティールは街に来たばかりの四人にヤドラスの案内をするよと提案。
ディックスたちはなるべく二人と仲良くなっておきたいと思い、有難く提案を受け入れた。
「「「「はい」」」」
訓練場から客室に戻り、受付嬢から納得出来たのかと尋ねられ……納得出来てません!!!! と答えるほど、ボルガたちはボンクラではなかった。
ティールはラストほど心を折る様な戦い方はしなかったが、それでソニアの全力を受け止めてから今度は攻めに転じ、反撃のチャンスを与えることなくやられた。
ボルガもソニアも二人に完敗し、二人が自分たちよりも強いという事実が身に染みて分かった。
「それは良かったです。それでは、こちらの部屋は引き続き使っても良いので、使い終わったら職員に報告をお願いします」
そう言うと、受付嬢はニコニコ顔で部屋から出て行った。
受付嬢としては二人がレッサーヴァンパイアやヴァンパイアに加えて、リザードマンジェネラルやスカーレットリザードマンといった強敵を二人が倒したと信用しているので、その二人が学生に嘗められるのは少し腹が立っていた。
なので、二人と生徒たちの実力差を解らせるために、わざと率先して模擬戦を行ったらどうかと提案した。
すると見事にラストとティールは全力を出した生徒に圧勝。
ラストはボルガの攻撃を全て紙一重で躱し、最後に一撃加えて圧倒。
ティールも結果だけ見ればソニアを子ども扱いしながらサクッと勝利。
(お二人を下に見るなんて、百年早いんですよ!!!)
受付嬢が二人の実力に関わっている訳ではないが、それでも二人が生徒に圧勝したことで受付嬢の心はとても晴れやかになっていた。
そして六人がいる客室では……一斉にボルガたちが二人に頭を下げた。
「その、調子に乗っていてすいませんでした!!!」
「「「すいませんでした」」」
腰を九十度に折った、綺麗な謝罪。
アラッドとしては元々まだまだ自分が子供なので、相手の実力を把握出来ない人からは下に見られてもしょうがないと思っていた。
(ほっ、ちゃんと自分たちが間違ってたら謝れるタイプの貴族なんだな。良かった良かった。ここでまだ何かしらごねるようだったら、ラストの鉄拳か蹴りが飛んでたよ)
模擬戦でボルガを圧倒したことで、ある程度怒りは霧散されていた。
部屋に着くころには、もうイライラなどの感情はなかったが……もし四人が結果を認めない、不満があるという様子であれば、パンチやドロップキックが飛んでいた……かもしれなかった。
少しは怒りを抑えられるようになったラストだが、それでも我慢の限界というものがある。
「顔を上げてくれ。解ってくれたなら、それで良いよ。特に怒ってないから……な、ラスト」
「…………そうだな」
明らかに怒ってはいたというオーラが体から漏れており、四人は体を震わせながら冷や汗が流れた。
素直に認めたからこそ、怒りが爆発することはなかった。
ラストの実力を身に染みて分かったからこそ、あれ以上生意気で上から目線な態度を取らなくて良かった、心の底から思った四人。
そこからは互いのことを知るために、軽く自己紹介を始めた。
少しガキ大将っぽさがある、体格が良い男子生徒……ボルガ・シンキリア
得意な得物は槍と風魔法。
落ち着いた雰囲気を持つ好青年な男子生徒……ディックス・リンカークス
得意な得物はレイピアと火魔法。
凛とした美しさを持つクールな金髪ロングの女子生徒……ソニア・ガルガンテ
得意な得物はロングソードと水魔法
ふわっとした空気を放つほわほわ系な女子生徒……ララ・アルガ―
得意な得物は杖と水魔法と土魔法。
四人の中では、あまり自分に自信がないララが、何故自分みたいな者がティールを下に見ていたのかと……一番後悔していた。
ラストとティールも軽い自己紹介を終え、ティールは街に来たばかりの四人にヤドラスの案内をするよと提案。
ディックスたちはなるべく二人と仲良くなっておきたいと思い、有難く提案を受け入れた。
28
お気に入りに追加
1,802
あなたにおすすめの小説

大国に囲まれた小国の「魔素無し第四王子」戦記(最強部隊を率いて新王国樹立へ)
たぬころまんじゅう
ファンタジー
小国の第四王子アルス。魔素による身体強化が当たり前の時代に、王族で唯一魔素が無い王子として生まれた彼は、蔑まれる毎日だった。
しかしある日、ひょんなことから無限に湧き出る魔素を身体に取り込んでしまった。その日を境に彼の人生は劇的に変わっていく。
士官学校に入り「戦略」「戦術」「武術」を学び、仲間を集めたアルスは隊を結成。アルス隊が功績を挙げ、軍の中で大きな存在になっていくと様々なことに巻き込まれていく。
領地経営、隣国との戦争、反乱、策略、ガーネット教や3大ギルドによる陰謀にちらつく大国の影。様々な経験を経て「最強部隊」と呼ばれたアルス隊は遂に新王国樹立へ。
異能バトル×神算鬼謀の戦略・戦術バトル!
☆史実に基づいた戦史、宗教史、過去から現代の政治や思想、経済を取り入れて書いた大河ドラマをお楽しみください☆
元落ちこぼれ冒険者、実は最強だったので最強の役職『神龍』を目指そうと思います!
悪夢
ファンタジー
主人公「桐島 龍」は、桐島家の次男である、15歳になれば、冒険者になり、能力も与えられる世界で、龍は、父に認めてもらえる冒険者になるため、10歳で剣士の最高資格「剣聖」をとるも、誰でも取れる、と言われ、悔しがって12歳で魔術師の最高資格「大賢者」を取るも、その程度か?と言われ、最後には落ちこぼれ冒険者とまで言われてしまう…

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる