あっさりと初恋が破れた俺、神からのギフトで倒して殺して奪う

Gai

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一番後悔していたのは……

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「え~~……という訳で、ティールさんとラストさんには皆さんをお守りするだけの力があると分かっていただけたでしょうか

「「「「はい」」」」

訓練場から客室に戻り、受付嬢から納得出来たのかと尋ねられ……納得出来てません!!!! と答えるほど、ボルガたちはボンクラではなかった。

ティールはラストほど心を折る様な戦い方はしなかったが、それでソニアの全力を受け止めてから今度は攻めに転じ、反撃のチャンスを与えることなくやられた。

ボルガもソニアも二人に完敗し、二人が自分たちよりも強いという事実が身に染みて分かった。

「それは良かったです。それでは、こちらの部屋は引き続き使っても良いので、使い終わったら職員に報告をお願いします」

そう言うと、受付嬢はニコニコ顔で部屋から出て行った。
受付嬢としては二人がレッサーヴァンパイアやヴァンパイアに加えて、リザードマンジェネラルやスカーレットリザードマンといった強敵を二人が倒したと信用しているので、その二人が学生に嘗められるのは少し腹が立っていた。

なので、二人と生徒たちの実力差を解らせるために、わざと率先して模擬戦を行ったらどうかと提案した。

すると見事にラストとティールは全力を出した生徒に圧勝。
ラストはボルガの攻撃を全て紙一重で躱し、最後に一撃加えて圧倒。

ティールも結果だけ見ればソニアを子ども扱いしながらサクッと勝利。

(お二人を下に見るなんて、百年早いんですよ!!!)

受付嬢が二人の実力に関わっている訳ではないが、それでも二人が生徒に圧勝したことで受付嬢の心はとても晴れやかになっていた。

そして六人がいる客室では……一斉にボルガたちが二人に頭を下げた。

「その、調子に乗っていてすいませんでした!!!」

「「「すいませんでした」」」

腰を九十度に折った、綺麗な謝罪。
アラッドとしては元々まだまだ自分が子供なので、相手の実力を把握出来ない人からは下に見られてもしょうがないと思っていた。

(ほっ、ちゃんと自分たちが間違ってたら謝れるタイプの貴族なんだな。良かった良かった。ここでまだ何かしらごねるようだったら、ラストの鉄拳か蹴りが飛んでたよ)

模擬戦でボルガを圧倒したことで、ある程度怒りは霧散されていた。
部屋に着くころには、もうイライラなどの感情はなかったが……もし四人が結果を認めない、不満があるという様子であれば、パンチやドロップキックが飛んでいた……かもしれなかった。

少しは怒りを抑えられるようになったラストだが、それでも我慢の限界というものがある。

「顔を上げてくれ。解ってくれたなら、それで良いよ。特に怒ってないから……な、ラスト」

「…………そうだな」

明らかに怒ってはいたというオーラが体から漏れており、四人は体を震わせながら冷や汗が流れた。

素直に認めたからこそ、怒りが爆発することはなかった。
ラストの実力を身に染みて分かったからこそ、あれ以上生意気で上から目線な態度を取らなくて良かった、心の底から思った四人。

そこからは互いのことを知るために、軽く自己紹介を始めた。

少しガキ大将っぽさがある、体格が良い男子生徒……ボルガ・シンキリア
得意な得物は槍と風魔法。

落ち着いた雰囲気を持つ好青年な男子生徒……ディックス・リンカークス
得意な得物はレイピアと火魔法。

凛とした美しさを持つクールな金髪ロングの女子生徒……ソニア・ガルガンテ
得意な得物はロングソードと水魔法

ふわっとした空気を放つほわほわ系な女子生徒……ララ・アルガ―
得意な得物は杖と水魔法と土魔法。

四人の中では、あまり自分に自信がないララが、何故自分みたいな者がティールを下に見ていたのかと……一番後悔していた。

ラストとティールも軽い自己紹介を終え、ティールは街に来たばかりの四人にヤドラスの案内をするよと提案。
ディックスたちはなるべく二人と仲良くなっておきたいと思い、有難く提案を受け入れた。
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